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設計、施工、土地・物件探しを担当
「団地っていいかも!」たまたま散歩で立ち寄った骨董店との出会いから、団地リノベーションを選んだTさん夫妻、奥様のインテリアデザインのセンスと風情ある団地が絶妙にマッチ。団地再生プロジェクトの未来が楽しみになるようなリノベーションのご紹介です。
人との出会いから団地の魅力を再発見。
ご実家の母屋が築150年超の古民家だったという奥様は、古いものの良さをよくご存知です。SNSで見つけた骨董店に興味が湧いて、散歩がてら二人で出かけたそう。
「場所を気に入ったのが最初。街の景観がなんだか懐かしい感じがしていいね、って。骨董店の店主さんが同世代で話が盛り上がって、商店街には若い移住者も多くて、すぐに仲良くなりました。ここに住むとなんか楽しいことが起こりそうな予感がしました。商店街に程近い団地の存在感もモダンでかっこよく、見に行ってみたら見晴らし の良い立地でいいなって思いました。」 とTさん。
Tさんのご希望は初めからリノベーションありき、インテリアデザインを学ばれていた奥様主導で内装デザインを決定しました。
団地には、他にも立地・周辺環境の良さなどメリットがたくさんあります。広い敷地にゆったりと建てられているので、棟と棟の間隔が広く、風通しがいい。プライベートも確保され、窓からの景観を楽しめる豊かさも魅力的です。
団地再生プロジェクトが評価されています。
老朽化が心配されるデメリットを持つ団地、購入時に大事なのは「見極め」です。Tさんが購入された団地は、「団地再生プロジェクト」を高く評価された物件です。築50年以上という高経年でありながら、耐震改修、外断熱改修など総合的な工事内容を、補助金の活用などを組み込んだ計画を立案し、完成しています。規模の大きい団地だと、区画ごとに組合が分かれていることもあり、修繕状況が違う場合もあるので注意が必要です。組合がしっかりしているか「見極め」が大切です。
「はじめにお願いしていた仲介業者さんは購入段階になっても資料を揃えてくれなくて、購入が一度頓挫しているんです。しあわせな家さんにお願いしたらすぐに調べてもらえて。ローンやリノベーションのことも連携していて、一緒に相談できたのもよかったですね。コミュニケーションが取れているのがよく分かるんです。引き渡しまですごくスムーズで、不安に思うことがなかったですね。」とTさん。
「暮らしの理想に共感してくれるフレンドリーさがいいですね。」
取材に訪れたのは桜の季節、窓の外は満開の桜でした。
「しあわせな家さんは、不動産のプロの視点からメリットもデメリットもしっかりと話してくれて、お金の面とか、工事の内容とか、心配事も腹を割って話してくれるっていう、その誠実さが良かったですね。」「ここで打ち合わせした時、望月さんが“窓から桜を眺めるなんていいですねー、ここで飲むビール絶対美味しいですよ!”って携帯で写真撮りながら自分のことのように楽しそうにしてくれていて、私たちの暮らしの理想を一緒に共感してくれてるって感じて、そんなフレンドリーさも安心感につながりました。」とTさん夫妻。これから団地には若い人が集まって、新しいコミュニティーが生まれゆきそうです。
Tさん邸はラワン材の壁や、飴色の床という落ち着いた色調でありながら、団地とは思えない空間の広さを感じます。そのポイントになっているのは、アールの壁です。もとは真っ直ぐな壁がありましたが、外すことのできる壁だったので、外して新たに曲面の壁をつくりました。この壁の後ろ側は収納になっていて、デッドスペースはありません。実はこのコーナー、TVの場所でもあります。「電化製品が極力見えないようにしたいので、TVは移動式にしています。二人ともあまりTVは観ない方で、観る時だけここに運んで来ます。」と奥様。眼から鱗の発想です!
Tさん邸は、壁紙などの新建材を全く使っていません。巾木が無いのも特徴的です。壁は全て塗装、この美しいアールの壁には職人さんの技が光っています。新建材で覆う場合と違って、下地に直接塗装すると表面の凹凸が出やすく、滑らかな曲面をつくるのはとても高度な技術が必要です。また、巾木無しで隙間なく綺麗に施工するためには、材料の乾燥による伸縮を予測する経験豊富なプロの感や、床材保護の養生を入念に行う丁寧な仕事が必要なんです。
「工期中、仕事の邪魔にならないように17時以降に見にくると、工具なんかもすっごく綺麗に整頓されていて、いつも綺麗に掃除して戻られるんです。すごくいい大工さんにやってもらえて良かったです!」と奥様。
奥様は現在、創作活動をされていて、リビングや玄関に飾られた素敵なタペストリーも奥様の作品です。リビングに化粧柱つきの造作壁を設置して、奥様のワークスペースをつくりました。上部に空間がある緩いゾーンニングが、閉塞感なく、心地よく空間を分けています。こちら側の壁は全てラワン材で統一、ピン留めや棚の設置が容易なのもラワン材のいいところです。ワークスペースの反対側は、壁一面のCDラックが美しいオーディオコーナーになりました。造作壁に設置したスイッチは、tool-boxのアメリカンスイッチ。ミッドセンチュリーの世界観に合わせて、全てのスイッチ・コンセントはインダストリアルデザインに統一されています。
Tさん邸のミッドセンチュリーデザインは、本物を巧みに取り入れることで高い完成度を実現させています。ビニールクロスなどの新建材を徹底的に排除して、ラワン材など無垢材の素のシンプルな美しさに限定。パーケットとタイルの境目の見切りには、上質で経年変化を愉しめる真鍮を使いました。照明器具には1960年代の名作、ヴェルナー・パントンのフラワーポットをダイニングに採用。玄関にはフランク・ロイド・ライトのROBIE®を設置、ラワンの壁にとてもよく似合っています。
寝室は、テーマカラーに拘らず、リラックスできるブルーの壁にしました。「アンリ・ マティスの代表作《JAZZ》シリーズのブルーに惹かれて、ベンジャミンムーアで同じブルーを調色してもらおうと思ったら、ラインナップにピッタリの色があったんですよ。」と奥様。さすが3600色もあるベンジャミンムーアです。
寝室にした部分には、もともと小さな収納のついた洋室がありましたが、眠るだけの寝室は最小限のスペースでOK、余った分収納スペースを広げて、WIC(ウォークインクローゼット)をつくりました。
リビングと寝室をつなぐ位置にあり、使い勝手の良い動線です。床は全てリビングと同じスクールパーケット、中には無駄なく収納できるように、パイプや棚を工夫して設置してあります。開口部はリビングからは見えない位置に設定しているので、見た目すっきりです。
玄関を入って正面に見えるラワンの壁の中は、収納スペースになっています。リビングのアール壁の裏側にあたる場所です。大容量のシューズインクローゼットで、履き物以外にも、掃除用具や防寒着など、外回りで使うものを仕舞っておくのにとても便利です。
「はじめは取手無しのプッシュで開く扉にしようと考えていたんですが、望月さんが経年劣化で開閉しずらくなるリスクを考えて、この扉に合うハンドルを探してきてくれました!」と奥様。新しいものでも、経年で味わいの出る硫化イブシのハンドルなので、時と共にさらに馴染んでいってくれそうです。
ラワン材の天井が印象的な玄関ホール、真鍮とガラスの組み合わせがラワンにしっくり馴染む照明器具を合わせました。
ご実家には広い土間があったという奥様、玄関には土間を希望されていましたが、団地の規定で土間をつくることができません。そこでご提案したのが天然石調のタイルです。土間のような雰囲気があり、水にも強い磁器質です。洗面ボールの造作壁にも使って統一感を出しました。
「コロナがあってから、玄関入ってすぐに手が洗えるように、玄関に手洗い場をつくりたいなと思っていたんです。脱衣所も広くなったし、移動して良かったです。」と奥様。既存では脱衣所にあった洗面台を玄関ホールへ移動。洗濯機スペースがあった場所なので、配管問題も大丈夫でした。
グリーンのタイルが印象的なサニタリースペース。奥様のカラースキームの中のグリーンとオレンジ、アイボリーで配色されています。グリーンのタイルにオレンジの目地というのは、珍しい組み合わせですが、カラー設計に沿っているので、違和感なくマッチしています。団地の水回りには、隠してはいけない配管や、レトロな小窓や欄間など、風情あるパーツが残っています。トイレについていた既存の扉にもレトロガラスが使われていました。味のある部分はあえて残して再利用、扉は塗装し直して玄関ホール側に移動しました。床材は玄関ホールと色違いのものを選んで、ゾーンニングしています。