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設計、監理、インテリアを担当
鉄筋コンクリート造集合住宅の1階と地階、合計約200㎡のインテリアを改修する計画です。建築主の家族構成に合致し、かつ、今後の生活の変化を受け入れることのできるプランニングを行うことに加えていくつか解決するべきことがありました。
この住戸は建物の下階、かつ奥行きの大きな室であったので、特に冬期は室内への自然光が限られています。その一方、住戸の南側には緑豊かな庭があり、集合住宅としては得難い恵まれた環境も持ち合わせていました。
そこで私たちはまず室内の間仕切りを整理し、庭に面した南側の大開口から、北面の窓に通じる全体の通風を確保するとともに、光を柔らかく反射する材料を選択することで、室の奥深くまで自然光を取り入れる計画としました。これに加えて外壁と開口部に充分な断熱を行い、設備面では全館空調機を新たに設置することで、次世代の住宅にふさわしい、安定した温熱環境を生活空間に与えています。
家族には来客が多く、公の場としての佇まいと、気取らない日常を無理なく両立できることの必要性が感じられました。柔らかなカーペットを敷き詰めた広間とは別に設けられた、日常的なダイニングを兼ねたタイル敷きのキッチンは、こうした背景に基づいて計画されています。
これから小さな子供たちが育っていく若い一家を、先代から受け継いだ絵画や調度品が見守っています。家族の歴史と同じように、インテリアデザインも「無」から始めるのではなく、既存環境に新しいレイヤーを加えるように整えたいと考えました。
こどもの成長に合わせて、仕切られた子供部屋を作ること、先代から受け継いだ絵画や調度品をしつらえながら部屋全体を明るくシンプルな空間にしたいというご要望でした。
仕上げ材を丁寧に選定し、空間全体をシンプルかつ暖かみのある仕上げにしました。
具体的には、壁に淡いピンクがかった大判タイルを貼り、床はベージュがかったカーペット、家具には既存の家具との調和を考えウォールナットを選びました。
梁が目立たないように照明と合わせた下り天井を作りウォールナットで仕上げるなど、全体を整理しながらシンプルな空間を作り出しました。
キッチンとつながったコンパクトなダイニングで食事が出来るようになったり、こどものお友達が遊びに来ても思い切り遊べる大きな空間のリビングがあったり、生活がしやすくなったと喜んで頂きました。一緒に選んだ仕上げの色味も、ご家族の雰囲気とも合っていて、家のなかでくつろいで過ごしていらっしゃるそうです。
ご相談を受けてからプランニングに時間をかけました。空間が大きかったこともあり、どこにどの機能を持ってくるのが良いかをいくつか提案しながら考えました。プランを見ながら生活スタイルのヒアリングにも時間をかけて生活のイメージを共有しました。
真剣に家のこと、生活スタイルのことを考えている姿が素敵で、こちらも出来るだけ要望に応えたいと思いながら設計を進めていました。施工会社もとても強力的で、施主、設計、施工の3つが一緒になって作ったという感が強い現場でした。出来上がったときには、皆を招いてお披露目をして下さり、素敵な時間を共有できたと改めて実感しました。
大空間のリビング。壁いっぱいにウォールナットの造作飾り棚があります。 既存の梁を利用して、テーブルのための照明を仕込みました。 正面は構造壁を淡いピンクがかった大判タイルで仕上げています。 奥に見えているのはシンプルで明るい雰囲気のダイニングです。
リビングと子供部屋をつなぐ場所にあるスタディーコーナーです。 落ち着いて宿題をやったり、ノートパソコンをひろげたりして使っています。 タモの集成材でカウンターデスクを作りました。
キッチンとつながったシンプルでコンパクトなダイニング。 空間に合わせて、角の丸いフリッツハンセンのテーブルを選びました。
階段につながるR壁の廊下と洗面スペース。 洗面室はスタディコーナーへと繋がります。 廊下はRの壁が特徴で、狭さを感じない柔らかい空間を演出しています。
ふたつの寝室をつなぐ廊下です。壁いっぱいにクロゼットの扉が見えています。 廊下の長さをいかし、充分な収納スペースを確保しました。 扉はタモ材。壁の一部にもタモ材を使い、一体感を作り出しています。
1階のR壁と呼応するようにタモ材で仕上げたR壁の廊下です。小さな空間ですが、階段を上がると木に囲まれた不思議な場所に出ます。