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設計、監理、インテリア、エクステリア(庭・外構)を担当
1980年代に大規模な開発が行われた住宅地の一角に計画した、木造2階建の独立住宅です。私たちはこの住宅で、郊外の比較的大きな敷地における住宅の建ちかた、周囲との距離の取りかたについて、様々な試みを行いました。
この住宅では、約340㎡の敷地中央に十字形の平面を持つ住宅を配置し、庭をその周囲に振り分けることによって、敷地内に「明の庭」「静の庭」「用の庭」「アプローチ」という、性質の異なる4つの外部空間を作り出しています。端のリビングルームは東西の2面、東端の和室は南北の2面が、それぞれ異なる庭に面しており、こうした内外を等価に扱う配置計画によって、自然光と風、そして内外を縫うような視線が室内を抜ける。移ろいゆく時刻や天候、季節を感じながら過ごすことのできる住宅を作りたいと考えました。
緩やかに繋がる1階の空間や、畑のある庭・芝生の庭などの外部空間でお子さんがのびのび走り回ったり遊んだりできることで、在宅期間も楽しく過ごすことができているとの感想をいただきました。
敷地全体は前面道路より1mほど高くなっており、玄関へ続く階段と、蛇籠の土留めを隔てて敷地端に設けたスロープでのアクセスが可能です。 正方形の敷地に対して十字形に計画したプランは4つ外部空間を有しており、そのうちの北東側の1角を駐車スペース兼アプローチとしています。
道路側の外観の一角には、庭に植えた高木が頭をのぞかせます。正方形の敷地の北西側に位置し、和室と寝室に面する「静の庭」は、外壁と一体とした塀によりしっかりとプライバシーも確保されています。
玄関からリビングに続く廊下には、帰宅時にも使いやすい小さな手洗いスペースを用意しました。カウンター奥の壁面には、汚れも気になりにくく、空間のアクセントにもなる内装用リサイクルボードを使用しています。
1階のLDK・和室と2階の子供部屋の空間は吹抜けを介してひと続きの空間となっており、お互いの視線や気配を感じられるのが特徴です。大きな空間であるため全館空調を導入し、吹出し口や照明の配置についても、性能を確保しつつ空間の連続性を損ねないため、検討を重ねました。
家の中心であるキッチン・ダイニングから小上がりを介して続く和室のスペースは、ふたつの庭に面した明るい空間です。 また、小上がり部分はダイニングのベンチとして使うこともできます。
キッチンに対面するカウンターは、気軽な食事やコミュニケーションの場となります。ステンレスのキッチン本体を囲む腰壁・カウンター・収納部分については、あたたかみのある木素材で製作しました。 右手奥のユーティリティーでは壁の仕上げにOSB合板を採用しており、用途に応じて壁にフックや棚板を設置することも可能です。
リビングに続くユーティリティーでは、大きめの洗面ボウルを選定し、鏡と一体の収納棚を造り付けました。南側の庭から光を取り込む窓の前には室内物干しを設けているほか、下がり天井には全館空調の吹出し口も計画しているため、快適な環境を保ちやすい空間になっています。
リビング奥には造作棚で隔てたスタディコーナーを設けました。南側の壁一面、約4.2mをカウンターとしているため、ワークスペースとしても広々使うことができます。またカウンター直上の壁は木素材で仕上げており、ピンナップボードとして使うことも可能です。 日中は吹抜け上部の窓から光が差し込みます。
十字型のプランの中心となっているキッチンは、隣接する和室やリビングの空間に常に目が届きやすいほか、ユーティリティとも行き来しやすく、スマートな家事動線を作り出しています。 キッチンの背面収納は、施主と検討を重ねた上で下部を引出し式に、上部をオープンな吊り棚としてお気に入りの食器や道具が見えるスタイルとしました。
寝室前からキッチン、南側のリビングの方へ抜ける廊下の一角には、生活動線に沿うかたちで使えるカウンター・収納スペースを設けました。立った状態での書き物等の作業にも使えるよう、カウンター高さは高めの1mに設定しています。
二つの庭に面するダイニングの両側には、それぞれの庭へ出入できるサッシ戸を設け、開放的な中で食事ができます。 キッチン、ダイニング部分は掃除がしやすいフロアタイル、リビングや廊下・階段にはオーク材の無垢フローリングを貼り分けました。床材は素材同士の色の相性や質感を考慮しながら選定し、段差なくフラットになるよう仕上げています。
1階の寝室に隣接するウォークインクローゼットは、棚板とハンガーパイプを作りつけたほか、壁面をOSB合板仕上げとすることで、フックや棚を追加することができる可変的な空間としました。
夜間は、軒下ダウンライトのやさしい明かりが人々を迎え入れます。