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設計、施工、監理を担当
当該住戸の直上住戸に住むご夫婦の依頼で設計したafterコロナ・withコロナを意識した住まい。
コロナウイルスの感染拡大により世界的に生活スタイルが変化し、住空間に求められる要望も変化しました。
自宅内で過ごす時間が増えた事、あるいは外出が再び制限される可能性への警戒は、これまで無自覚であったシェルター(=住居)が含意する牢獄性を前景化する事となりました。
そのような背景を受け、この住まいでは住居の牢獄性からの逃走、移動を伴わない逃走が試行されました。
具体的には、同一的に認知される様々な「まとまり」を少しずつずらし、結びつき過ぎた関係の糸を解きほぐす事で、別の仕方で再結合する可能性に対して開かれた暫定的「まとまり」としていくような方法で設計しました。
その結果、例えば通常脱衣室にある事が当然と思われがちな洗面台が玄関にはみ出し、床素材の切り替わりは居室の境界とずれ、壁と建具は途中で塗り分けられ、キッチンの意匠が隣の壁にずれ込む等、従来的まとまりがまとまりを依然保ちつつ、まとまりきらない状態(=閉じない関係)のまま漂う住居となっています。
2019年にSUVACO経由でリノベーションの設計監理をさせて頂いたご夫婦から、同じマンションの別の住戸も購入したとのことで設計のご依頼をいただきました。
当該住戸は2019年に完工した住戸(KABEの改修)の真下にあたり、ベースとなる既存プランは全く同じものでしたが、当時と現在とでは社会を取り巻く状況が予想に反して激変し、住空間への要求も変わりました。
そのような状況下で、真下の住戸が売りに出されたことを受け、afterコロナ・withコロナに対応した住居を新たに作り、完成後同じマンション内で移住する計画となりました。
お施主様の住まいが同じマンションの直上の住戸で、いつでも現場に来る事だできる距離感であったことから、施工の大部分をDIYで行う事により物価が高騰する中でも従来的な予算内に抑えることができました。
既存の解体から洗面台のモールテックス塗りまでDIYとしては非常に踏み込んだところまでご自身の手で行ったことで住まいへの愛着が湧いている一方、もうDIYはやりたくないとのことでした。笑
自宅でサウナに入れる事にとても満足されていました。
大部分をDIYで行ったため、普段の案件と比べて現場で考えて変更していく事が多く大変ではありましたが、机上での構想より確信を持って進める事だでき設計者としても刺激的な経験でした。
玄関から続く廊下の床材がLDの途中まで侵入し、キッチン作業台のタモ角材の意匠が写真右手の壁と扉にまで適用されています。
写真右手の壁の巾木には鏡を用いる事で、壁で認知される境界を超えて床が伸びているように感じられます。
構造フレームによる絶対的な領域の認知がズレることを期待し、梁の躯体表しに併せて、天井と壁に梁幅の躯体表し部分を設けています。
玄関を入るとモールテックス塗りの洗面台に迎えられます。洗面台を脱衣室から廊下に出す事で玄関に広がりが生まれました。
壁と同じ塗料で途中まで塗られたクローゼットの折戸
二人で入れる檜板貼りのサウナ