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設計、施工、土地・物件探しを担当
家を購入する上で大前提にあった条件が、「グランドピアノが入れられる防音室がつくれる家」。和風過ぎないちょうどいい「和の家」。
緑に囲まれた閑静な住宅地に、本格的な防音室を備えた、思う存分演奏を楽しめるお部屋ができました。心に豊かさが生まれるような和のしつらえの住まいです。
住んでみてどうですか?との問いに、「すごくいいですよ、使いやすい、納得の仕上がりです。立地も建物もいい物件に決められたし、希望どおりのイメージにできました。この間さっそく音楽仲間を呼んでセッションしたんですよ。」と、素晴らしいジャズピアノを披露してくださいました。手間をかけて丁寧な暮らしをされているYさんのお住まいづくりに、日々の暮らしの大切さを改めて感じました。
まず始めたのは物件探し。防音室をつくるためには、物件の選定がとても重要です。特にマンションなど集合住宅では、音に関する問題がないか、部屋の構造は防音室をつくるのに適しているか、チェックするポイントが多くあります。こちらの物件は、管理がよく、建物の構造も防音室をつくっても大きな窓が2面取れるベストな形でした。
リビング入り口の扉は、素朴な表情のあるラワンベニヤを使った建具です。Yさん邸にぴったりのものをと、リフォーム担当望月がこだわり抜いてご提案したもの。「古風な建具がわたしも好きで、はじめはよく利用する時代家具を扱う店で探そうと思ったのですが、Yさん邸には和に寄り過ぎて合わないと感じました。そこで今回依頼したのは、町の小さな建具屋さんです。素材を選んで完全オリジナルでつくってもらいました。」 ガラスは昭和型板ガラスの一つ“ダイヤガラス”、ノブはハンコックのアンティークブラス、額縁の面取り形状など細部までこだわった造りです。扉を開けると珈琲道具を納めるオープンラックがあり、レトロなカフェのような雰囲気です。
Yさん邸の防音室の最大の特徴は、リビングに溶け込む形で設置されていることです。閉鎖された防音室ではなく、クリアなサッシで仕切ることで、リビングでは美しいグランドピアノが視界に入り、防音室の中でも閉塞感がありません。二重構造のサッシや換気システムは防音室専用もので、閉めるとほとんど中の音は聞こえません。
今回の防音専門業者さんはYさんのご紹介、設置に問題点などないか、リノベーションと連携をとってもらえるか、まずはお会いしてご相談するところから始まりました。「密に連携をとってもらえたので、床や壁の素材をリビングと揃えたり、希望がちゃんと反映できてよかったです。」とYさん。
壁を斜めにすると音の反響がよくなるとの専門業者さんのアドバイスで、書斎との間の壁を斜めにつくりました。もともとここは洋室が一つあったところですが、窓際にデスクを造作し、壁で防音室と仕切ることで、書斎スペースをつくりました。壁を斜めにしたことでリビング方向に書斎も広くなり、より使い勝手のいい形になりました。こちらの防音室は浮き床を採用し、建物に振動が伝わらないように設計された本格仕様。必要遮音性能のレベルによっても構造は異なります。グランドピアノも今回新調したもの。「音のトラブルが起きたら弾けなくなってしまうので、本格的な防音室ができて本当によかったです。まだ夜間は様子見ながら弾いてます。」と慎重なYさんです。
キッチンのサイズを優先したことで、洗面スペースは既存より狭い設計になりましたが、狭さを感じさせないデザインに出来上がりました。廊下側にしかなかった出入り口をキッチン側にもつくり、動線を効率的にする引き戸を設置しました。引き戸を開けていれば、LDKとつながる空間となり、狭さは全く感じません。壁の空間を利用してニッチ棚を設置、収納もたっぷりです。ミラーは余った床材で大工さんが造作してくれました。タイルはキッチンのものと色違い、カウンターはタモの集成材で造作。鳥好きのYさんの小物使いが楽しい世界観をつくっています。メーカーのオプションで選んだ収納の取手も可愛いアクセントです。
トイレは、TOTOのキャビネット付きのトイレに交換、上の吊り戸棚は扉だけ交換しました。扉はタモの集成材で造作、現場で合わせてカットしているので、サイズピッタリに仕上がります。Yさんのご希望でコーナーに小さな飾り棚も造作、小鳥の置物が可愛く座っています。
Yさんも最後まで迷ったという壁紙は、サンプルを取り寄せて選んだもの。赤味がかったグレージュで、やさしい色味でまとまりました。アイアンのペーパーホルダーとタオルハンガーは、柔らかな色調のカカオブラウン。レトロイメージともマッチしています。
防音室の壁側には大きなFIX室内窓を設置、二重構造で遮音性能もしっかりあります。内側は防音室専用素材ですが、外側のガラスに揺らぎのあるレトロガラスを使用しました。防音室から外の景色を見ると、絵画のように像が滲んで、やさしい雰囲気を醸しています。この室内窓は、テラス側の緑を防音室からも感じられるようにと設置されました。「今は季節がら緑は少なめですが、夏に向けて緑でいっぱいなります。レトロガラスは通す光も柔らかくて、ピアノを弾く時間を気持ちよく過ごせそうです。」
室内窓やクリアなサッシで壁面積を少なくすることで、隣接スペースとつながり、開放感のある防音室になりました。音楽仲間とのセッションも窮屈に感じずに楽しめそうです。
「洗練された無駄のない空間より、レトロでちょっと手間がかかるくらいの方が好きなんです。家を考え始めてから、ネットでいろんなリノベーション事例を調べましたが、しあわせな家さんの事例を見て、ここなら自分に合うな…って思ったんです。僕の強いこだわりにも、どこまでも嫌がらず付き合ってもらえました。僕が図面に書き込んで言いたい放題出した希望を、望月さんが専門知識で上手くまとめてくれました。動線や使い勝手のことをアドバイスもらったりして。」
住んでみてどうですか?との問いに、「すごくいいですよ、使いやすい、納得の仕上がりです。立地も建物もいい物件に決められたし、希望どおりのイメージにできました。この間さっそく音楽仲間を呼んでセッションしたんですよ。」と、素晴らしいジャズピアノを披露してくださいました。手間をかけて丁寧な暮らしをされているYさんのお住まいづくりに、日々の暮らしの大切さを改めて感じました。