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工場・住宅・マンションが混在する町の、大きな交差点に建つ住宅です。この敷地に、確かな安心の感じられる住空間を形づくるためには、周囲から一線を画して建ち、外に依存しない自立した世界を生み出す必要があると考えました。そのため、町の喧噪から住空間を切り離す手立てとして、すべての生活ゾーンを上に持ち上げることにしました。この骨格を支えとして、自立した世界を築いていくことにしました。
上下階の対象的な特徴と呼応して、1階は、鉄筋コンクリートで、内を守る堅固な基壇をなし、その上に木造で、大らかに住空間を架構しました。平面形状は、明確に領域を主張する形として、正方形の輪郭を基調とし、それを9分割して、中心に、すべての内部空間を結び付ける要となる階段を配置しました。2階のLDから3階・ロフトの子供室まで、一つながりの空間とし、中央の階段を上下するごとに、各場所が見え隠れしつつ連なり、多様な広がりが生まれるようにした。一方、この一体空間を支える骨組みとして、4寸角に統一された柱梁が、格子状に組み合う構造としました。水平垂直に走る柱梁が、一体空間をほどよい大きさに領域区分することで、広がりを損なうことなく、落ち着いた安定感が生まれ
ることをめざしました。また、9分割平面の1格間を、テラスに割り当て、外部を内部と同じ秩序に組み込みむことで、内外の結び付きを高めるとともに、テラスを介してぐるりと回れることで、行き止まりのない無限の広がりの感じられる住空間をめざしました。
空調設備は、一体空間において効果を発揮するOMソーラーシステムとした。ライフラインへの依存度の低い点でも、周囲依存しないつくりをめざすこの住宅に合っていると考えました。
自立した世界を求め、安定と広がりをめざすこの住宅の中で、住み手の内面が、健やかに育まれることを願っています。