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【カーサ カスバ】 家族4世代の住まい+仕事場+賃貸住居
この建築は、4世代4世帯の住居と仕事場、及び賃貸住居3戸からなる複合建築です。家族構成は20代の兄家族・弟・50代の親夫婦・70代の祖母です。高密度に積層する建築の中で、住まいが閉鎖的にならずに広がりが感じられるためには、ゆとりある外部空間が重要です。そこで、この計画では、家族の住戸が各々単独にテラス等の外部空間を持つのでなく、テラス等を共有することで、より大きく魅力的な外部空間を生み出すことにしました。また、この外部空間の共有を通して、家族住戸間に「気配を感じつつ、距離は確保する」という望ましい関係を生み出そうと考えました。
敷地は、近隣商業と第一種低層住居専用という2つの用途地域にまたがる住宅密集地にあります。まず敷地を2分する用途地域に合わせて、建物の半分を薄くて背の高い高層、残りを低層にして、この2つの間にまとまった広さを持つ「中庭」をつくりました。また、きびしい斜線制限をかわすために、低層棟は道路側へ、高層棟は奥へとずらし、コーナーに大きな「テラス」を生み出しました。
こうしてつくった「中庭」の両側に、祖母の住まいと親世帯の住まいを配置した。背の高い建物に囲まれた「中庭」に落ちる柔らかな間接光によって、祖母の住まいを穏やかで落ち着きのある空間にしました。親世帯住戸の階段から中庭越しに、祖母の生活の気配が感じ取れるような関係を形づくっていきました。
コーナーの「テラス」に、親世帯の居間と長男世帯の居間を配置しました。四角いテラスの直交する2辺に両者が位置することで、お互いの居間からは、相手の室内が見えなくなります。そのためどちらの居間も室内にいると、テラスはそのまま自分自身の居間の延長となり、大きな広がりを感じることができます。テラスに出てはじめて、そこが2つの居間を結びつける大切な場であることがわかるような構成にしました。
家族ごとの世界を守る緩衝地帯であり、その世界に広がりと魅力を生み出す空間であり、同時に、他の家族住戸との結びつきを育む場でもある、そういう外部空間の可能性を追求した建築です。
■掲載
「日経アーキテクチュア」2008年9月8日号(日経BP)
「建設ジャーナル2009.8号」(建設ジャーナル7/31発売)
「OZONEで賃貸マンション 個人オーナーと建てたこだわりの事例展」
■建築概要
用 途 :集合住宅
規 模 :B1階+4階
敷地面積:211.91㎡( 64.12坪)
建築面積:162.85㎡( 49.27坪)
延床面積:495.06㎡(149.79坪)
構 造 :鉄筋コンクリート造
設計監理:プライム/西島正樹
施 工 :春日建設
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photograph KAROKU KATO
プロジェクトの竣工年/制作年: 2008
プロジェクトの費用: 1億円以上2億円未満
国: 日本