注文住宅

大井の家

エリア:

東京都

内容:

光の移り変わりを感じる器として

東京都品川区の密集した住宅地に計画された住宅である。周囲は西面の道路とその向こうにある小公園のほかは隣家に囲まれ、さらに道路面より1mほど下がったレベルにこの敷地はある。

敷地形状は2カ所の鋭角コーナーを持った変形敷地であり、ますはこの敷地形状に沿った外壁を配置し、レベル差はスロープを設けることで対応している。周囲に対して存在感が突出しないよう2層のボリュームでおさえ、コーナーに3カ所の外部(坪庭)を配置。プライバシーを保ちながら外部に対して開いていられる生活空間をもたらしている。

内外を貫通する曲面壁は、主要な動線を導くと同時に季節における太陽軌道を意識して決められている。具体的には、夏の特に夕方の直射光は室内に導かず、冬季は長く陽光を室内に届け、暖かさをもたらすように計画している。

RCで大きな骨格をつくり、内部の間仕切りは家具工事で入れ子状になっており、将来的な用途可変にも対応できる。また、家具が建築に占める領域の拡張を意図しており、間仕切り的な役割からダイニングテーブルなど置き家具の領域までシームレスに繋がる。それにより、「建築」が住み手に対して手をさしだし、境界を曖昧にすることで、トータルに空間のイメージを構成していくことが可能となっている。

(廣部剛司)

このプロジェクト事例を手掛けた建築家

廣部剛司

建築家 / @神奈川県

建築は「音楽」のように 昔から趣味で音楽をやっていることもあって、曲をつくるように建築を設計しています。そういうと不思議なことに感じるかも知れませんが、私にとっては「建築」は音楽に似ている、と感じたところがこの道に進んだきっかけだったので自然なことなのです。 建築は建つ場所(地球)にしっかりと腰を据えていますが、地球そのものが動いてくれることで、1日の中でも様々な光が刻々と差し込み、季節によってもそれは変化していきます。建築の中に佇み、地球の動きを感じていられるということは、そこで過ごす人に「自分自身は地球の一部なのだ」と語りかけてくれます。尊厳を持って人がその空間に身を置くために、そういった感覚が持てるということが、とても大切なことなのではないかと感じています。 時間の推移と共に動くという意味では、人がその空間の中を「動く」時にも、音楽が生まれていきます。流れゆく時間の中で推移して、その瞬間に消えていくことが音楽の儚く美しいところで す。スケッチを重ねながら、建築を体験する流れ(シークエンス)に音楽的な構成を持ち込んでいます。それは空間体験を曲の記憶のように刻んでいくことでもあります。 また、音色を紡ぐということと、どんな素材を使うのかということも深く結びついています。それは寸法やプロポーションなどだけではコントロールできない空気感を支えています。 美しい音楽を聴いていて「心が動く」瞬間があります。そのとき、あまり言葉で説明できないような感情の動きが生まれる。できることならそんな建築をつくりたいといつも思っています。

廣部剛司

建築家 / @神奈川県

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