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設計、監理、インテリア、エクステリア(庭・外構)を担当
京都の中京区、南道路に面した間口5m奥行き16mの敷地で、二条城の北東部に位置し、景観条例によって軒の出・色彩・屋根形状や勾配についての形態規制が加わる場所。
クライアントからは中庭や土間・テラスの他、盛り沢山な要望とともに古い町家がもつ空間性を現代的につくり出すことや、自然を感じられることが望まれました。「手間と奥」「ボイド(吹抜け)」「奥行き感」「内外の変化・反転」といった伝統的な町屋にも見られる空間概念を念頭に、生活の要望を満たすためのプランを求めて打ち合わせを重ねました。
最終的に、生活の主要拠点を2階とし、手前を2階建て・奥を3階建てのプライベートな空間、そして中央に「ボイド(吹抜け)」を設けた案に落ち着きました。「ボイド」は、中庭・テラス・バルコニーといった外部空間に加え、螺旋階段をガラス張りとし、廊下をエキスパンドメタルとすることで動線空間にも透光性を与えて「ボイド化」し、それらを集約した大きな「拡張ボイド」となっています。
「拡張ボイド」は上層へ行くほどに広がる形状であるため、1階の奥まで光と風を呼び込み、また「ボイド」を介して各部屋相互に立体的な繋がりが生まれ、どこにいても家族の気配を感じることができる。土間・玄関を抜け、細い廊下を奥へと進み階段を上ると急に視界が開け「拡張ボイド」の中心部にあたる2階テラスにたどり着きます。テラス空間は内部のような外部のような雰囲気が生まれ、ここではハンモックを吊るしたり、昼食を食べたり、リビングルームの延長として使ったり、壁面にプロジェクターを投影して屋外シアターとして使ったりといった生活イメージが打ち合わせプロセスの中から出てきました。
伝統的な空間概念が現代生活の具体性との関係の中でその豊かさをつくり出してくれる手応えを感じた仕事でもありました。
京都の景観条例、旧市街地型美観地区に建つ建物。 歴史的伝統的な京町家の様相を踏襲しながらも、 防火防犯対策としての袖壁を2階まで伸ばし、ひさしとそろえて、モダンで現代的な外観に。
2階リビングから中庭テラス越しに、ガラス張りの階段室を見る。 階段の向こう側にダイニングキッチンがあり、リビングとダイニングの間の家の中心に明るくプライベートな中庭テラスがある。 左は1階の坪庭を見下ろせる吹き抜け、右側はエキスパンドメタルの廊下で1階に光を落とすしかけ、暗くなりがちな都市住宅の工夫。
2階の明るい中庭テラスに面する廊下。 左は飾り棚ニッチ。 右手前の階段室はガラス張りで、下階に光を導く仕掛け。 廊下とテラスの向こうはリビングスペースになっている。
床座の2階にあるリビングから連なる中庭テラス方向を見る。 テラスの向こうにガラス張りの螺旋階段。
3階の子供室から坪庭を見下ろす。 坪庭の幅は1.6mほど。 坪庭の向こうに見えるのは2階のリビング。 ジューンベリーの樹木が植わる。 街中でありながら静かに自然を感じられる中庭。