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設計を担当
この建物は若夫婦+父親の3人家族のための住宅である。
敷地は埼玉県上尾市に位置し、周囲は築25年程度の住宅と畑がちらほら見かけることのできる地域である。この地に25年前に家を構えた父、この地で育ち、都内で仕事をしている妻と、この地で新しい生活を始める夫の3人家族のために2世帯ではない1.5世帯という新しいかたちの生活のかたちを与える、そのような役割を求められたように思う。
既存の住宅を建て替えるにあたり、従前の容積率、建蔽率よりも厳しくなった数値の中で、許容建蔽率、許容容積率を最大限配置するとともに、家族の適切な距離、周囲との適切な距離を確保することも考慮して設計する必要があった。
外観は、4.55m×9.10mの平面形状で片流れの形状となっている。高さを決定するにあたり北側斜線ぎりぎりの高さと、周辺道路が4mと狭いため板金を運搬できる最大寸法の8.00mを建物高さとしている。
周辺建物が密接している中で、南側の気積を十分確保することで、日中を通した明るさの確保、通風の確保、プライバシーの確保を考慮した配置計画としている。
1階部分は父親世帯、2階は若夫婦世帯が暮らす1.5世帯住宅の計画であり、1階には父親の寝室、キッチン、共用の玄関、納戸、浴室、洗面脱衣室が配置されており、洗面脱衣室が共用空間であり父世帯とのバッファーゾーンの役割をしている。従前より厳しくなった制限の中で機能を最低限にし、空間に役割をもたせることで新しい生活のかたちがより豊かなものになるように考えている。
2階部分は、若夫婦のLDK、寝室とシンプルな平面構成となっており、建物の高さを守りつつ、最大限の天井高さとロフトを確保し、限られた平面形の中で開放的な空間を実現することが出来た。最大天井高さが4.0mあるLDKの開口部は床面から0.9mの位置に水平窓として配置することで空間の重心を低くし落ち着いた空間になるように計画したとともに、トップライトとの高低差を設ける事でドラフト効果による換気を期待している。
このプロジェクトを通して、問題とされている空き家が問題ではなく家族のかたちのあり方が問題であると再認識させられ、1.5世帯という暮らしのかたちが、家族のあり方、住まいのあり方の新しい一つの方法になったのではないかと私は思う。