家づくりに役立つメールマガジンが届いたり、アイデア集めや依頼先の検討に役立つ機能や情報が満載!
アカウントをお持ちの場合
(OFFのときは写真にマウスオーバーで表示)
設計を担当
油絵が趣味の単身女性のお住い。築25年のマンションの一室のリノベーションしました。元々は畳敷きの和室のある、一般的な3LDKのファミリータイプのプランでしたが、アトリエにもなる2LDKのあるプランに改装する事にしました。
お施主さんの趣味の油絵は2mを超える大型のものでした。大きな絵画を取り回し出来るように既存の天井を抜いて大きな気積を確保することにしました。またアトリエは絵の具によって汚れてしまう可能性もあるという事でした。また回遊性を持たせるために新しく付替えた扉は全て引き戸とし、回遊性を持たせたプランに変更しました。
アトリエの壁は、絵の具の汚れが気にならないように、既存建物のコンクリート壁にマスキング塗装をして、特殊な柄を吹き付ける事にしました。既存のRC直貼りクロスを剥がすと、隠れていた継ぎ接ぎだらけのパテL跡が残った躯体コンクリートが現れました。市販の滑り止めシートをステンシル代わりに使い、RC面に直接張り付けてマスキング塗装する事で、荒々しい躯体の表面に花柄の様な模様が浮かび上がる独特な風合いの壁面になりました。
既存の天井を撤去して空間が広くなりました。壁の模様も、絵の具の飛び散りを気にせずに趣味の油絵に没頭することが出来ます。扉も引き戸にしてもらったのでグルグルと部屋を行き来出来るので便利です。廊下の突き当りの床の間の様に設えてもらった飾り棚も気に入っています。
予算が限られていたので、メリハリをつけた設計にしています。極力既存プランを活かしながら計画しており、設備関係もトイレの交換以外ほとんど手をつけていません。一番検討したのはマスキング塗装ですが、お金が掛からない様に実寸サイズのモックアップを自ら作り、作り方や調達まで何度も検討しました。一方で建具や家具などはシンプルでモダンなデザインが好みの施主に合わせてミニマルなデザインとしています。
私にとって独立して初めての仕事がこのリノベーションでした。施工は友人の家具職人にお願いしたのですが、マスキング塗装は上手く行くまで二人で試行錯誤を繰り返しました。施主は母親でもあるのですが、期待に応えられるように奮闘したのを今でも鮮明に覚えています。とても小さなリノベーションの仕事でしたが、今でもこれが私の原点なのかもしれません。
独特な風合いのマスキング塗装したコンクリート壁のあるアトリエ付きのリノベーションです。コンクリート壁は既存の建物を利用したもの。油絵を描くクライアントの為に、汚れの気にならないような模様のあるマスキング塗装を施しました。
ダイニングからアトリエを臨む。アトリエの壁面及び天井は、既存クロスを剥がしたコンクリート壁の上からマスキング塗装を施しています。花柄のような模様の塗装はダイニングから見ると霧がかかったような不思議な風合いです。
元々は、コンクリートに直貼りクロスを貼ってあった壁でした。クロスを剥がして、市販の滑り止めシートをステンシル代わりに使い、RC面に直接貼り付けマスキング塗装しました。すると粗い躯体コンクリートの表面に花柄模様が浮かびあがる独特なテクスチャーが浮かび上がってきました。 それは新しい塗装面と古いコンクリートの壁面の新旧が入り混じった不思議なハーモニーを奏でている様でもあります。
リビング兼アトリエは、既存クロスを剥がしたコンクリートの上から特殊なマスキング塗装を施しています。大きなイーゼルは趣味で油絵を描くクライアントのもの。模様は絵の具などの汚れが目立たない無い様にと配慮したものです。既製品の棚は奥の壁面が見通す事が出来るように透明度の高いものを選んでいます。
リビングからテラスをみる。既存コンクリートに施したマスキング塗装の壁面は自然光を受けて不思議な風合いを見せています。その素材感を活かすため、壁面に沿って並べた棚は奥の壁が見える様に透け感のあるものを選定しています。
リビング兼アトリエよりダイニングをみる。黒い三連引き戸の奥は寝室。開け放って一体として利用することも可能です。ダイニングには作り付けのテレビボード。コンクリートの梁もマスキング塗装を施しています。元々クロスを直に貼っていたので、塗装の隙間からパテ跡が透けて見えていますが、どこか抽象画のような不思議な趣があります。
ダイニングより窓を見る。テレビボードでもある作り付けの家具。左手の黒い引き戸と合わせて黒で統一。オープン棚で見せる部分と扉付きの部分とを使い分けられるようにしています。
元々和室であったアトリエを見る。奥の黒い壁は収納の扉と予備室への出入り口を兼ねたもの。右側壁に見えるのは、施主が趣味で描いている油絵。和室の天井は低かったので、大きな絵を取り回す為に現しとしています。また、絵の具の汚れが目立ちにくい様にコンクリート壁面にはマスキング塗装を施しています。
元々和室であったアトリエの壁を見る。奥の黒い壁は収納の扉と予備室への出入り口を兼ねたもの。またアトリエでは施主の趣味である油絵を思う存分描けるよう、絵の具の汚れが目立ちにくい様にコンクリート壁面にはマスキング塗装を施しています。
アトリエでの一枚。夜に照明を当てて撮影してみました。不思議な陰影が出るのでスポットライトの光も、マスキング塗装の壁は美しく受け止めてくれます。
既存のコンクリート壁の上からマスキング塗装を施した壁。手前にディスプレイしているのは金継ぎの器。塗装の模様はどこか金継ぎの器の柄の様にも見えるます。
玄関ホール突き当りの飾り棚。既存のアルコーブ照明を活かして床の間の様なデザインの飾棚をつくりました。ガラスが浮いているような不思議なデザインです。