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設計、施工、プロデュース・コーディネートを担当
WEBクリエイターの旦那様と医療の現場に携わる奥様。生活を運営するうえでの大切な時間は各々に異なります。一つの空間で緩やかにつながり、ゆるやかに離れている「つかず離れずの距離感」を計画することが求められました。
また、お会いした当初からデザインに対しても強いこだわりを感じました。空間を刷新して、お客さまの主観的な美しさを満たすこと。これらを実現できる不動産を選択することが条件です。
住戸全体の形状は少しいびつで、梁や柱の型が住戸内に複数あらわれていました。洗練された内部空間を求めるお客様にとって、ポジティブな材料とは言えません。
設計ではこのお部屋内の凹凸を前向きに意匠利用しています。天井の梁はデフォルメ材料の一部に、カーテンボックスや間接照明に梁型を吸収することで、空間を司る線や造形に規則性をあたえ、美しさを持たせることを目指しています。
とても快適に過ごしているとのこと。二人の生活に充分にフィットした家は違和感なく、きれいに美しく保てています。
先ずすべきは、お客様の「美しさ」の定義を正確に理解することでした。複数のリノベーション完成後の住まいを一緒に体験したり、キービジュアルとなるスクラップをまとめたり…現存する情報のなかから好きなものの共通項をひも解くことで、「美しさ」という限りなく主観的・感覚的な要素を言語化していきます。
①華美装飾は好まず、機能的でシンプル
②空間には余計な線は与えず、できるだけ統一性を
③部屋単位で住まいを区切るのではなく、境界を曖昧にする
上記のようなキーワードが共有できました。リノベーションでこの希望を満たすことができる不動産を提案していきました。
担当している私の自邸をとても気に入ってくれて、随所にデザインを踏襲してくれたこと。
LDKの一角にはワークスペースを設けています。部屋として区切らず、クランクして奥まることで自然な場所感を持たせています。
LDKの天井には間接照明を配しています。できる限りシンプルな構成を目指し。壁のニッチや天井の意匠もシンメトリーにしています。
キッチンはモルタルをベースに天板は機能性を重視してステンレスに。キッチンバックの収納は施主の友人が製作してくださいました。
美しくスタイリッシュなキッチン。躯体形状がいびつで梁が複雑に室内を走っていました。それを前向きにデザイン昇華しています。
LDKとWICを仕切る壁は天井まで通さず。通気性を上げることと、感覚的な拡がりを持たせることを意図しています。間接照明を点灯するとより開放感が助長されます。
書斎はシンプルかつ開放的な計画。床の一部をタイルとすることでペット(犬)の清掃性への配慮と、空間にリズムを作っています。窓面の壁は室内側へ後退させることでブラインドを収納できる仕組みです。細かな配慮で空間の洗練度を上げていきます。
玄関から書斎までは一直線に歩けます。実はこのアプローチは廊下ではなく、洗面脱衣室、洗濯場、WICのなかを抜けていきます。廊下と各室機能を兼ねることでスペースを削減し、LDKに充てる面積を最大化しています。
この家唯一の廊下。約2m。玄関収納は施主の友人が製作。
洗面脱衣室。奥の扉からはWICにつながる。
WICは扉を設置せず。壁も天井まで届かない設計で通風環境を上げています。ホコリが服に付着するのは仕方ない。
トイレは至ってシンプル。
建具も枠がない納め方を採用。レバーハンドルも設置せず。できる限り存在感をなくす計画に。
細かなラインも意匠に影響するので、できる限り統一性をもたせています。美は細部に宿るというので、意識を巡らせてデザイン。