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設計、インテリアを担当
ご夫婦と愛猫二匹の為の家です。
物件購入前にご面談させて頂き、ご要望を実現できそうかご相談を受けました。別の業者さんに相談したところ取れない壁があるので希望のプランは難しいと言われて物件のご購入するべきかどうか迷われていました。
既存建物の構造形式が壁式RC造だった事もありご希望のワンルームの様な広々としたプランが実現できるのか、その上で寝室や収納等が確保できるのかが主なご希望でした。また二匹の猫ちゃんが楽しく暮らせる様な設えもご要望の一つでした。
見どころは物件の中央に配置したキッチンです。建物の特質上どうしても撤去出来ないコンクリートの壁面が部屋を分けてしまっていて折角の物件の広さが損なわれていました。あえて壁をキッチンの中に一体化してしまう事で部屋の中心的なシンボルとしています。そうすることでそれぞれの部屋がまるでワンルームの様な広がりを感じられる事が出来ました。
部屋の中央にキッチンを計画するという提案は考えもしなかったですが出来上がってみると不思議と今の生活に馴染んでいます。玄関の収納や寝室の収納など、機能的に必要なものはきちんと用意しつつ視線の抜けが用意されているので狭さを感じません。また玄関には猫が逃げ出さないようにプリーツ網戸を設置し使い勝手も考えて設計してもらいました。キッチンの下には猫が通りぬけられる様にパスを設けてもらったり、柱に猫の爪とぎ用の紐を巻き付けてもらったりと猫と楽しく暮らせる工夫も気に入っています。
ご相談を受けてファーストプランをご提案、これはいつもですが出来上がりの空間がイメージできるように3DのCGにて目の前で空間を動かしながら体験できるようにプレゼンテーションをさせて頂きました。
リノベーションは解体してみないと分からない事が沢山あります。今回はコストをバランスさせるためにもコンクリートの壁面をむき出しにしているデザインを取り入れています。解体後、リビングで見えてくるコンクリートの壁面には撤去出来ない接着材跡があり、そのままでは気になる程でした。そこで階段の斜めの角度に合わせたストライプ状の塗装(マスキング塗装)を施してインテリアの特徴としています。あえて元々のコンクリート面を残したこのデザインは世界でここだけの特別なデザインとなりました。
インナーテラスには趣味の植物をディスプレイしテラスとの連続性を作ります。 インナーテラス上部の木梁はディスプレイに利用できます。そのまま寝室の方に連続させた梁は寝室ではカーテンレールとなり寝室のプライバシーを守りながらワンルームの様な空間に感じられるよう部屋のアクセントとなっています。 カーテンも同じく広がりを感じられる様に、ベッド部分は隠しながら上部は透け感のあるレース仕様の切り替えパターンとなっています。それによりそれぞれの部屋からの採光や視線の抜けをワンルームの空間の様な空間の広がりに寄与することが出来ました。 コンクリートの壁面は敢えてむき出しとし、その上からストライプ状のマスキングペイントを施しています。荒々しいコンクリートは斜めのストライプ柄によってカジュアルなインテリアの一部となり、世界でこの部屋だけのデザインとしてアクセントになっています。
リビング。左手に造作のアイランドキッチン。アイランドキッチンは、かつて部屋を区切ってしまっていたコンクリートの壁面をまたぐ様にリビングダイニングを繋いています。またアイランドキッチンには目線高さ及び台下に窓やパスを設けて視線が抜けるとともに、愛猫が自由に部屋を行き来出来る様に計画されています。 また左手の壁面は既存のコンクリートに斜めのストライプ状の塗装をしたマスキングペイント。
正面のカウンターに見えるのはアイランドキッチン。開口からダイニングが見える。撤去出来ないコンクリートの壁を活かしてワンルームの様な空間演出としている。開口からは視線が抜けつつ、ペットの愛猫のパスにもなっている。 壁面は既存のコンクリートの上から階段の角度に合わせた斜めのストライプ状のマスキング塗装を施している。汚れが目立つ重々しいコンクリート壁をポップにしつつ既存コンクリートの荒々しい風合いを活かしたオリジナルのデザインです。
ダイニングよりリビングを見る。 ダイニングは少し落ち着いたトーンのマホガニー塗装の突板の濃い茶色の造作棚によるインテリアデザイン。 また写真の中央にはアイランドキッチン。アイランドキッチンには窓の足元下にパスが設けられており、視線の抜けと通風を確保しつつリビング側にも回り込む一体のアイランドキッチンにより他の部屋と感覚的な一体感を得られるよう工夫しています。それはコンクリートの壁面により分断されていた既存プランとは大きく印象が異なるワンルームの様な空間です。 またキッチンの下のパスは愛猫が行き来するためのもの。 マホガニー塗装の棚にはお気に入りの食器や小物が生活を彩ります。
左手はリビング。右手は寝室。 三角形の土間はインナーテラス。 クライアントの趣味のガーデニング用に設けました。 土間上部には空中に飛んでいる木製梁は、グリーンのディスプレイとして、また寝室ではカーテンレールを仕込むガイドとして設置しています。 それぞれの部屋を撤去出来ないコンクリートの壁が区切っていますが、木の梁やアイランドキッチンなどが部屋と部屋を横断することで空間に広がりを与えています。
寝室よりリビング越しのアイランドキッチンを見る。 手前には階段の手すり。
階段と手摺。 階段下は愛猫のスペース。トイレやペットグッズの収納スペースに。 既存の柱に麻紐を巻き付けて、猫の爪とぎに。 左手には造作収納。 寝室回りの収納が納まる。
ワークスペースより階段を見る。 階段の手すり兼収納はテレワークが増えた夫婦のブレイクタイムに利用される予定。コーヒーポット等を設置できるように壁面にコンセントを用意している。 右手には二階テラスが見える。植栽が趣味のご夫婦の二人だけのガーデンスペース。
エントランスの飾り棚兼、靴箱。 玄関回りの収納は充実させつつ、閉塞感が出ない様に飾り棚を計画しました。 また光は取り入れつつ目隠しにもなる様に、レトロガラスを採用。 またこの土間スペースは猫が脱走しない様にプリーツ網戸が仕込まれていて、お出かけの際に、人と猫お互いのストレスが無くなる様にデザインしています。
アイランドキッチンに設置された内窓からダイニングを見る。 ダイニングは北側にあり、少し落ち着いたスペース。 逆にリビングは南面に面している為、明るく開放的なスペース。 それぞれを繋ぎながらいい距離感を調停するためのアイランドキッチン。
2階の階段吹き抜けより一階部分を見下ろす。 元々は階段室として壁で囲われていましたが、開放してワンルームに。
三角形のインナーテラスはモルタル仕上げの床で、趣味のガーデンニングを室内でも楽しめるスペースになっています。また上部には木梁がリビング~寝室を貫通していて、視線が繋がります。機能的には植物のディスプレイとして利用しつつカーテンレールにもなっていて機能が一体となったデザインです。 カーテンはツートンの切り替えで上部はレースになっていて、ベッドは隠しつつ光や視線が抜けるようなデザインです。
既存コンクリートの上からマスキングテープを斜めに貼り、塗装をした後にテープを剥がしました。マスキングした部分はコンクリートが透けて見えます。元々は、コンクリートに付着していた接着剤の跡を気にならないようにするためでしたが、敢えてコンクリートの風合いを残すこのストライプのデザインは世界でここにしかないオリジナルのデザインとしてこの部屋のアクセントになっています。
オークのヘキサフローリングとインナーテラスのモルタル土間のディテール
床のディテール。 床はヘキサゴンパターンという六角形の特殊なデザインのフローリングを採用していますが、モルタル土間との取り合いには真鍮の見切り材を入れて経年変化を楽しめる素材を採用しています。
モルタル土間とストライプのマスキング塗装されたコンクリート壁面、床のヘキサゴンフローリングの取り合い。部屋の至る所に細部までこだわったディテールが散りばめられています。