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設計、施工、監理を担当
施主のS様から最初に伝えられたのは「家族格子」というキーワード。
「空間を壁で隔てず、格子を用いて互いの気配を感じられる家にしたい」という要望に応え、ひかリノベが提案したのは、斜めに切り込むような大胆な空間設計。
玄関からバルコニーに向かい、斜めに伸びる格子間仕切り。人影がほのかに感じられる格子の向こうには、子供部屋、寝室とウォークインクローゼット、書斎が並びます。床の段差と、建具の見切りも解消し、全室LDKからシームレスに行き来が可能です。
家族団らんの中心となるLDKと、ひと続きの空間に設けた書斎は、ご主人のたっての希望でした。
一般的な“書斎”といえば、仕事に集中したり、一人で思索に浸れるよう、外部との接触を遮断した設計が多いもの。
しかしS様にとって「仕事と家庭生活とは連続したもの」。書斎は日常のふとした瞬間に浮かんだアイデアを形にするための場所です。
「僕の性格上、リビングで子どもと遊んだり、寝転がってテレビを見たりしていても、いつも仕事のことを考えている。妻の何気ない一言からアイデアが浮かぶこともあります。生活の中に仕事が溶け込んでいるんです」
壁二面にわたるデスクカウンターは、作業性が高いだけでなく、思考を広げるという意味でも、可能な限り広く。書棚は資料や蔵書を収納するだけでなく、表紙を正面に向けてディスプレイしたり、絵画やオブジェを飾ったりすることを想定し、棚板の奥行や配置を計算しました。
「僕がここで仕事をしていると、子どもが興味があるらしくて、よく入ってくるんですよ」とS様は笑う。「普通、書斎に子どもは入れないんだろうけど、僕は逆。仕事をしている姿を見せることが、教育になる部分もあると思うんです。子どもも何をするところなのか理解しているようで、僕の真似なのか絵を書いていることが多いですね」
LDKの主役は、料理上手の奥様のこだわりがつまったキッチン。
将来はここで料理教室を開くことも検討しているとのことから、作業スペースを広く、左右どちらからも回り込めるレイアウトで、複数人での調理にも対応できるよう計画しました。
また、四方に視界を遮る壁を立てず、LDKの中心に配置したことで、キッチンから室内の全景を見渡すことができるようになっています。
調理中もお子様の様子に目が届きやすく、家族とコミュニケーションが取りやすいキッチン空間です。
キッチン前面から、向かって左手に伸びる形に造作した大型カウンターは、ダイニングテーブルとしてはもちろん、調理中は作業スペースとしても活躍します。
四人がゆったりと掛けられる広さで、来客時には前面に張り出した部分にも椅子を置けば、最大8人がカウンターを囲むことができます。
明るく温かみのある色、はっきりとあらわれた木目が印象的な、タモ集成材を用い、インテリアとしても主役級の存在感です。
収納はカウンター下と背面のキャビネット・吊り戸棚、さらにキッチン前面にも引出し収納を設けました。
LDKと一体となったキッチンは、食器や調理器具が見えてしまうと、部屋全体が雑然とした印象になってしまいがちです。
これだけ収納が多ければ、家族の食器、来客用の食器、カトラリー類、調理器具も、余裕をもって仕舞えます。
炊飯器や電気ケトル、オーブンといった家電類は、背面のキャビネット内に置き場を設け、リビングスペースからは目に入らないよう設計しました。
「子どもの成長とともに、食器も増えていきますよね。いまピッタリしまえるくらいだと、今後足りなくなるかもしれないということで、収納は大きく取っていただきました。以前はいただきものの食器など、箱に入れてしまいこんでいましたが、いまは全部棚に並べられるように。取り出しやすくなった分、使用する機会も増えそうです」
20畳を超える広いLDKの一角に書斎を設け、仕事中も家族と同じ時間を共有できるように。
格子でゆるやかなゾーニング。シンプルモダンな中に和の要素を添える格子は、デザイン的にもフォーカルポイントとなっている。
大型の二列型キッチン。横に配したカウンターはダイニングテーブルとしても、調理台としても便利。将来、料理教室を開くことを想定したレイアウトです。
調理台下、背面、そして正面にも収納が。増えてゆく食器やキッチンツールも余裕を持って収納できる。
玄関から斜めに切れ込むような間取り。動線の無駄を省き、各居室を最大限に広くとった、工夫ある空間設計です。
書斎のデスクカウンターは壁二面にわたる広さ。作業スペースが広いと、アイデアも広がりやすく。
猫ちゃんのキャットウォークは、ここからカーテンレール上、梁を通って、広いLDKいっぱいに繋がっています。