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設計、施工、プロデュース・コーディネートを担当
古い内装が持っている魅力を引き出す再生リノベーション。一般的に「リノベーション」とは、古い内装を取り去ってスケルトンにして、まったく新しい空間をつくることを指すと思います。DEN PLUS EGGのリノベーションは違います。古い物件が持っている内装のいいところは残して活用し、変えたいところを改装するという手法を取ることが多いのです。
「元々の内装のいいところを残す」ために、時には大掛かりなレストアが必要になり、全部つくり直すより時間もコストもかかることが多いのですが、古き良きものは新しくつくり出せない貴重なものだと捉えて、ていねいにリノベーションをしていきます。
Sさん夫妻は、6年前にも市街地にある自宅のリノベーションをDEN PLUS EGGに依頼しています。今回は2回目の依頼で、前回のリノベーションでは白やグレーを基調にしたシックなインテリアだったので、今回は少し色を使ったインテリアにしたいと考えていました。アートを飾ることも考えているので、モノトーンの空間にアートだけが浮いて見えるより、アートとカラーが溶け込んだような空間にしたかったと言います。
ここ奥池に立つ別荘(中古住宅)は元の建築がとても美しく、S夫妻はひと目で気に入りました。そこで今回は元の建築をできる限り活かしたリノベーションをすることに。全部で9枚ある室内ドアはすべて元のものをリサイズして活用、天井や目隠しルーバー付きのエアコン室、洗面所の収納やお風呂のサウナなどかなり多くの部分を残しました。
一方でフローリングとキッチンはすべて変更、ダイニングルームの隣にあるひと続きのスペースを壁とドアで区切って寝室につくり変えました。山のふもとに建っているため冬は寒いので床暖房をつけることがS夫妻の希望でした。また同時に無垢材の使用も希望です。リノベーション案件では、新しく貼る床の高さに制限がありできないことも多いのですが、無垢のオーク材の厚めの突き板を駆使したフレンチヘリンボーンのフロアと床暖房の両方をしました。全体的に床面が上がったので、ドアの高さの調整が必要で、すべてのドアの下部をカットしてリサイズ、けれど風合いはそのままに。またドアに塗られていた白い塗装のイメージをそのまま使って寝室の間仕切り壁をつくり、Sさん指定のシンプルで真っ白なSONOSのシンプルなスピーカーを壁と天井、お風呂に埋め込みました。真っ白な壁はスクリーンの代わりになり、床に置いた小さなプロジェクターから大画面で映画を見ることができます。
ブルータイルとスモーキーマスタード色、眺めのいいキッチン。
キッチンにはブルーのタイルが使われています。奥さまは、「木や石、タイルなど自然物についた傷は味になる、けれどプラスティックやビニールはただ汚くなるだけ」と、とにかく自然物で全体をつくることが希望でした。それはDEN PLUS EGGがいつも掲げている家づくりの思想と一致する考え方。そのためデザインの打ち合わせはとてもスムーズでした。「キッチンのデザインを決めるとき真っ先に気に入ったのはブルーのタイルです。一つひとつ焼き色が違い、ガラス化した釉薬の風合いがとても美しいんです。ひと目見てすぐに気に入りました。このブルータイルを使うならキャビネットはどんな色がいいだろうと考えていたところ、設計担当者からスモーキーマスタード色を提案されました。今まであまり考えたことのない色だったのですが、ブルーとの相性が良く、その結果キッチン全体がとてもいい雰囲気になりました」という。
キッチンには、食洗機とオーブンレンジ、ガスオーブンとワインセラーなどS夫妻お気に入りの機材が動きやすい位置に配置され、その合間にスモーキーマスタードのキャビネットがデザインされています。もともとついていた天袋を取り去って、より開放的に、調理をしながら外の緑を眺められる景色のいいキッチンになりました。
ご主人は「とても驚いたのは、元々の建築が持っていたディテール、スリットを使ったデザインが、新しくつくった壁や間仕切りにも入れ込まれて、どこが元々でどこが新しい場所かわからないほど調和して全体が美しくなっているということ。また快適さを求める床暖房の機能と無塗装のナチュラルなフローリング材を使用したフレンチヘリンボーンの床というデザインが両立できると思わなかったので、それを実現してくれてとてもうれしい」という。