2021/05/13更新1like10572view

著者:佐藤ゆうか

床材選びの基本!住宅に使われる床材の種類と特徴 総まとめ(画像付き)

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

床材は、部屋の印象に大きく影響する部分。その上豊富な種類があり、選ぶのはひと苦労。だからこそ、床材の種類と特徴を知っておくと、住まいや暮らしに合った床材を選ぶのに役立ちます。住宅に使われる床材の種類と特徴、選び方の6つのポイントをお伝えします。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

床材の種類と特徴

まずはフローリングです。フローリングは、大きく「単層フローリング」と「複合フローリング」の2種類に分けられます。

単層フローリング(無垢フローリング)

・無垢材をフローリングの形状に加工したもの
・樹種によって表情や色合い、硬さや防水性などの特徴が異なる
・調湿性、断熱性に優れる
・木材特有の温かみがあり、使うほど味わいが増す
・割れ、反りなどの変形をしやすい
・無塗装品は汚れが染みやすく、傷つきやすい

単層フローリングは、木材の温かみや木目の表情などの良さが楽しめますが、反面、複合フローリングより傷がつきやすく、お手入れが難しい特徴があります。

単層フローリングを選ぶ際は、傷や汚れも、味や思い出だと考えられるといいですね。
・合板を数枚重ね、表面に化粧材を張ったフローリング
・色合いや表情が安定しているので、扉や窓枠などとコーディネートしやすい
・変形しづらく、施工しやすい
・防水性や防音性など商品の加工方法によっていろいろな機能性がある
・掃除しやすい
・ワックスフリーなどの商品もあり、お手入れがしやすい
・使うたび劣化する

複合フローリングは、木材の温かみや優しい表情を活かしつつ、変形しやすく傷がつきやすいなどといった木材のデメリットをカバーしたものです。

中には、石目調のシート材で、石材床のような雰囲気のものもあります。建材メーカーや住設機器メーカーが発売している商品も多く、同じメーカーのキッチンや建具を選べば、簡単にコーディネートができるのも魅力です。

コルク

中川龍吾「田端の家(お茶室と防音室のある2世帯住宅)」
・コルク樫の樹皮を砕いて圧縮し、成型してつくられる
・原材料が樹皮のため、木を伐採する必要がなく、環境に優しい
・フローリングのような板状に成型したコルクフローリングと、タイル形状にしたコルクタイルがある
・腐りにくい
・保温性、断熱性、調湿性に優れるため、室内が快適になる
・耐火性・耐水性に優れる
・衝撃に強く、防音性に優れる
・すべりにくい
・柔らかみがある
・掃除しやすい
・アレルギーを起こしにくい
・色合いのバリエーションは少ない
・紫外線に弱く、日焼けしやすい
・補修が難しい
・比較的高価

エコロジーかつ、あらゆる面で優れた特徴を持つコルクの床材は、保育施設や、老人福祉施設などの公共建築物にも多く採用されています。

価格が比較的高価で、見た目のクセはありますが、水まわりにも難なく使える万能な床材と言えます。

タイル

床材に使われるタイルは大きく分けて2種類あります。

「せっ器質」と「磁器質」です。水まわりで「陶器質」のものが使われることもありますが、滑りやすいため、最近は少なくなりました。共通して、次の特徴があります。

・耐久性・耐水性・防火性に優れる
・掃除しやすく、汚れがつきにくい
・熱伝導率が高いため、床暖房と相性がいい
・比較的高価
・高級感と重厚感がある
・足ざわりは固く冷たい
・硬いため、足腰に負担がかかる

「せっ器質」と「磁器質」のタイルには、それぞれ次の特徴があります。

□せっ器質タイル
4D studio Nagano「大きな屋根の家」
・吸水率5%以下
・粘土や長石を1200℃前後で焼いて作られる
・素焼きのような質感の無釉タイルが多い
・叩くと石のようなコツンという音がする

□磁器質タイル
・吸水率1%以下
・変形しにくい
・石英や長石を1,200℃から1,350℃で焼いて作られる
・硬く丈夫
・汚れにくい
・叩くと金属のようなカーンという音がする

天然石

自然に作られる石材のことで、3種類あります。

「大理石」と「花崗岩(かこうがん)」と「石灰岩」です。
共通して、次の特徴があります。

・耐久性に優れる
・硬い
・傷やへこみに強い
・比較的高価
・掃除しやすい
・お手入れが難しく、シミになりやすい
・割れると補修できない
・冷たい

□大理石
・マーブル模様が特徴
・世界中で採取され、その種類は300以上
・ペールオレンジ色やホワイト色、黒色などが有名
・緑、青、赤、黄色などの豊富な色柄がある
・光沢があり、豪華な雰囲気がある
・ツルツルしているので滑りやすい
・アルカリ性と酸性に弱い

□石灰岩
(写真ではテレビがついている壁面に張られています。)
・ナチュラルな色合いと模様が特徴
・熱に強い
・吸水性がいいため、汚れやすい
・本磨き処理と防水処理が必須
・比較的軟らかい

□花崗岩
・通称 御影石
・産地によって色合いが異なる
・雲母を含んだ模様が特徴的
・耐久性に優れる
・耐熱性に劣る
・磨きやバーナーなどの仕上げ次第で表面の質感に変化をもたせられる

人造石

高野俊吾建築設計事務所「光が射し込む木のクリニック -PICTORUいずも画像診断室-」
・大理石や御影石を模して人工的に作られた石材
・天然石やガラスを粉砕し、固め、成型して作られる
・天然石より強い
・耐摩耗性に優れる
・ひび割れにくい
・汚れに強い
・カラーバリエーションが豊富
・オーダーメイドで好みの質感を作れる
・掃除しやすい
・変質しにくい
・クッション性の高い塩化ビニル樹脂製の床材
・厚みは1.8~3.5mm
・比較的安価
・デザインや色柄のバリエーションが豊富
・衝撃の吸収性に優れる
・遮音性、防水性に優れる
・掃除しやすい
・濡れると滑りやすい
・傷がつきやすく、へこみやすい
・プラスチック樹脂を原料とした硬質塩化ビニル製の床材
・厚さ2.5mm程度
・タイル状に張り合わせて施工する
・比較的安価
・デザインや色柄のバリエーションが豊富
・クッションフロアシートよりも石目や木目をリアルに再現できる
・耐摩耗性に優れる
・掃除しやすい
・高級感がある
・タイルのように目地を入れて施工できる
・ウールやアクリルなどの繊維質を素材として作られる
・毛先が輪になっている「ループタイプ」と毛先がカット処理されている「カットタイプ」がある
・断熱性・防音性に優れる
・柔らかで足ざわりがいい
・色柄やデザインのバリエーションが豊富
・汚れがつきやすい
・シミができやすい
・ダニが発生しやすい
・カーペットと同様に繊維質からつくられ、タイル状に成型されている
・断熱性・防音性に優れる
・色柄やデザインのバリエーションが豊富
・施工が簡単
・サイズ変更が簡単
・組み合わせによって独自のデザインができる
・部分的に交換できる
・汚れやシミがつきやすい
・ダニが発生しやすい
・板状のスポンジや断熱材を芯材とし、表面にイグサを編み込んでできる日本の伝統的な床材
・弾力性がある
・足ざわりが優しい
・いい香りがする
・調湿性、断熱性に優れる
・色の種類が豊富で、種類によって目の細かさなどが選べる
・汚れがつきやすい
・傷つきやすい
・ダニが発生しやすい
・表面を張り替える「表替え」で再利用できる

失敗しない! 床の選び方6つのポイント

床材を選ぶ際に、イメージ通りに仕上げ、失敗しないためにおさえたい6つのポイントをお伝えします。

「カントリーテイストの温かみのある部屋」や「モダンで洗練された雰囲気」など、部屋を作る際に、理想とするイメージを検討しましょう。

理想の部屋のイメージは、住宅の施工例などをチェックして、設計士と共有するのがおすすめです。
床材は、それぞれ異なる特徴があります。使う場所によって選び分けることで、部屋の使いやすさがアップしたり、美観を保てたりと、いいことがたくさんあります。

例えば、台所やトイレ、洗面脱衣室などの水まわりは、耐水性に優れた耐水フローリング、クッションフロアシート、フロアタイル、コルクタイル、タイルなどを選ぶといいでしょう。

水を使う部屋でカーペットや畳を選んでしまうと、早く傷んでしまいますし、掃除もしにくいです。

3.住む人の健康状態から選ぶ

家族の状況に合わせて、床材の滑りにくさや、アレルギーの起こりにくさ、硬さ、汚れの落ちやすさなどに注目して選びましょう。

小さな子供やお年寄りや、愛犬と暮らす場合、天然石などの滑りやすい床材を選ぶと、足腰の負担になる恐れがあります。また、転倒した際も硬くて危険です。

アレルギー体質の家族がいる場合は、アレルギーの原因となるダニやホコリが発生しにくく、自然の素材で作られた単層フローリングや、コルクタイルがおすすめです。

4.予算に応じて選ぶ

床材を選んでも、予算に合わなければ採用することができません。理想のイメージと同時に、予算も明確にして、提案してもらうと安心です。

予算に限りがある中で、どうしても高価なタイルが使いたい場合、部屋の一部のみに施工したり、タイルに似たフロアタイルを採用するなどして、予算に合わせた商品を選びましょう。

5.実物で確認する

床材を選ぶ際は、カタログの写真やネット上の画像で選んでしまうケースがありますが、絶対に実物のサンプルを取り寄せて確認しましょう。色合いや、質感、実際に踏んで足ざわりや滑りやすさも確認すると安心です。

ショールームがある場合、実際に広範囲に張られた様子を見ることができるため、よりイメージが湧きやすくなります。サンプルを取り寄せておくと、壁材や建具などを選ぶ際のコーディネートにも役立ちます。
暖房方法や、日当たり、温度など、部屋の環境に合わせた床材選びをしましょう。

部屋で床暖房を使う場合は、当然床暖房に対応した床材を選ばなければいけません。
日当たりの強い部屋の場合、畳やコルクなどの紫外線に弱い床材は選ばない方がいいです。

冷え込みが気になる環境の部屋で、石材やタイルなどのひんやりした素材を選ぶと、底冷えに拍車をかけることになります。部屋の用途はもちろんですが、部屋のおかれた環境についても考慮した上で床材が選べるといいですね。
住宅に使われる床材の種類と、特徴、選び方のポイントをお伝えしました。

床材は、いろいろな種類がありますが、適材適所で上手な選び方をすることで、住まいの暮らしやすさや安全性は向上します。見た目の好みはもちろんですが、それぞれの機能性にも注目して、床材選びができるといいですね。
お気に入りに追加

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

SUVACOは、自分らしい家づくり・リノベーションをしたいユーザーとそれを叶えるプロ(専門家)とが出会うプラットフォームです。

家づくりについて学ぶ

「自分らしい家づくり」に大切な、正しい家づくりの知識が身につくHowTo コンテンツ集です。

専門家を無料でご提案

家づくり・リノベーションはどこに頼むのがいい?SUVACOの専任アドバイザーが全国1,000社以上からご希望に合うプロをご提案します。

住宅事例をみる

リノベーション・注文住宅の事例を見たい方はこちら

家づくりの依頼先を探す

リノベーション会社や建築家、工務店など家づくりの専門家を探したい方はこちら

会員登録を行うと、家づくりに役立つメールマガジンが届いたり、アイデア集めや依頼先の検討にお気に入り・フォロー機能が使えるようになります。

会員登録へ

同じテーマの記事

同じテーマのQ&A

住まいの記事 カテゴリー一覧

専門家探しも、家づくりのお悩みも
SUVACOのアドバイザーに相談してみよう

専門家紹介サービスを見る