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崖地の特徴を活かしまわりの視線を気にしない、どこからでもデッキから庭へ続くプラン。マイナスイオンに囲まれているよう。
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設計、監理を担当
<自然を楽しむ庭のある住まい>
クライアントのご主人Fさんは、植物やそれに合わせたインテリア雑貨などを扱うお店を経営されています。家づくりに対しては、広い敷地を生かした伸びやかな建築とし、ご自身で手入れをする庭を存分に楽しめ、家族がゆったりと過ごせる、そんな暮らしをお考えでした。
設計では、隣接する敷地の高低差、東側の緑地公園の木々といった周辺環境をじっくりと読み込み、Fさんご家族のためにぴったりな唯一無二の生活空間となるよう、東西に長いプランを提案しました。広がりのある長い平面なのに家事動線は使いやすくコンパクト、そんな住まいが実現しています。
Fさんは「自分の生まれ育った地で子ども達と暮らしたい」という想いから時間をかけて土地を探されました。そしてようやく見つけた土地は、東西に長い特徴のある敷地でした。土地を取得された後に、家づくりをどうすべきか、ご相談をいただき設計がスタートしました。
Fさんからは「この土地の魅力を最大限に生かした家を建てたい」さらに「仕事仲間・ゲストを招き自宅の庭を紹介したい」というリクエスト。そして奥様は「3人の育児と家事の時間をうまく整理し、家族が安心できる暮らし」を望まれていました。
<敷地に沿う伸びやかな空間で緑を楽しむ>
敷地は、前面道路から40mほど引込まれた位置にあり、その先にある宅盤は個性的な形(東西に長いくさび形)。東側には緑地公園、南側には6mほどの高低差によって眺望が開けプライバシーも確保される環境でした。
建築は、こうした好条件を活かすべくこの自然環境の良さを十分に味わえるよう平屋に近い東西に伸びるヴォリュームとして配置しました。建物の南面にはフラットで開放的な庭を計画し、この庭に面して長さ約22mのウッドデッキ(濡縁)を設け、1階の室内からはどこにいても庭の緑を楽しむことができる住まいとなります。
またこの東西に長い建築ヴォリュームの西端部をへの字に折り曲げることで、西日を遮ること、エントランスアプローチ空間をつくりだすこと、近隣住宅との関係や眺望などが調整され、同時に内部空間にも変化を与えています。
室内の床は濡縁により外へ延長され、さらに壁面上部をオープンにしたりガラス欄間とすることで勾配天井は広がりと陰翳を見せ、空間に多様なシーンをつくり出します。
<長い平面でありながらコンパクトな動線>
フロア構成としては、緑を楽しむことができる1階で基本的な生活が成立するよう基本諸室を配置し、2階には個室とトイレのみとして、将来の子ども室あるいはご主人の仕事室などを想定しています。
エントランスより1階のメインルームとなるLDK空間に進みますと、庭を眺めながら濡縁に沿う伸びやかな内部空間が広がります。内部動線は、平面的な広がりを味わうことができる明るいLDKを経由するパブリックなものと、エントランスからキッチン背後のパントリーまでまっすぐにつながるバックヤードのルートを備えています。機能的なプランとなるよう、これらを相互にぐるぐると廻ることのできるダイニング・キッチン・パントリーを住まいの中心部分に設けました。さらにその脇に小上がりの和室を用意し、小さなお子さんにも常に目が届くよう多目的に使えるスペースにしています。
またパブリックゾーンの奥には、水まわり(洗面・脱衣・浴室・洗濯)と物干スペース、ウォークインクローゼット、寝室までを回遊できる動線でつなぎ、その中に2階への階段もおさめてプライベートゾーンの動線を集約させています。
ご主人:
以前の生活では、仕事の休みに家族でどこへ出かけようか考えていたのに、公園やカフェに行くより家でくつろぐ方が楽しいと思えるようになったとのことです。また1度に30人ほど仕事仲間を招待した時もあり、はじめ居場所が無くて困るかな?という心配があったけれど実際は大丈夫で、室内の各所、庭やデッキなどにゲストがそれぞれいつの間にか場所をみつけて自然にくつろいでいる光景が見られ、このプランで良かったと実感できたそうです。
奥様:
子どものママ友達がたくさん来てくれる家になって、気がついたら最大で5家族がくつろいでいたとのこと。子ども達は庭で遊びまわり、ママたちは庭の子供を眺めながらテーブルや畳コーナーでいつまでもお茶とお話を楽しんでいるそうです。また以前はマンションのワンフロアでの暮らしだったため、家が大きくなって、家事全般は大変になるかなと覚悟していたのに、実際は動線がコンパクトで時短になり、自分の時間が増えて驚いているそうです。
ご要望のヒアリング、ファーストプランの提案、基本設計、実施設計まで、ほぼ毎回ご夫妻一緒にお打ち合わせをさせていただきました。家事動線などの確認は1/30サイズの模型を用いて説明させていただき意見交換できました。またご主人がお忙しい時など、お子さんの就寝後、遅い時間にリモートで打合せを行うこともありました。完成までのイメージを関係者で共有して進められたと思います。
設計の打合せでは、クライアントご夫妻の意見が分かれることはほとんどありませんでしたが、唯一「洗濯物干しスペース」だけは異なりました。
奥様は、日当たりの良い南面に「物干しスペース」を配置することは必須とのお考え。一方ご主人は、ゲストにも見せたい南の庭に面して生活感がある「物干しスペース」が見えるのは避けたいため、別の場所に動かしたい。最終的には設計の提案で見せ方を工夫し、南面にガラスで綺麗に見えるようにデザインしました。奥様の希望位置を保持しながら、ご主人も普通の「物干しスペース」イメージではない建築の仕上がりにご満足いただけました。
新居に移られてから、庭でお子さんと虫捕りをしたり、ご家族でバーベキューをするなど、生活のスタイルも変化してきたとのこと。またお子さんたちは自分の身支度や食事のお手伝いなどが以前よりもできるようになり、テレビを見る時間が減ったそうです。そうしたいくつかのエピソードをお聞かせいただき、敷地環境やご家族らしさにうまくフィットする建築の提案ができたのだろうと、設計者として歓びを感じています。
Photo:Shigeo Ogawa
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庭に開かれた長さ22mの濡縁。 外壁:レッドシダー・ガルバリウム鋼板、 軒天:カーボナイズヘム、 デッキ:イペ、 シンボルツリー:ギンヨウカエデ、 Photo:Shigeo Ogawa
Photo:Shigeo Ogawa
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