戸建リフォーム・リノベーション

美山のK邸改修

費用:

950万円

実施エリア:

京都府南丹市 美山町

延床面積:

155平米

内容:

築100年以上の茅葺き民家の改修である。
増築等はなく、既存空間の改修工事である。

昔の民家は現在のような基礎ではなく、いわゆる玉石基礎となっており、自然石を地面に据え、その上に柱を立てている。
このような構造のため、長い年月を経て部分的に基礎が下がると、当然その上に載っている柱梁も下がってしまう。
そして、その都度補修改修をしていないため、ズレの上に増改築を繰り返している状態となっていた。
限られた予算の中で、どこまでを補正して改修を行うかが難しい計画であった。

長年風雨の影響を受けているため、構造部分の腐食も散見し、部分的には構造材の取り替えや現代工法での基礎のやり直し等、大掛かりな工事となった。

新たに手を加えた部分は、建物全体に対して、主に北側の部分である。
この茅葺き民家はこの地域の民家のほとんどがそうであるように、南側に玄関があり、玄関から北側の台所まで続く土間の片側に厩(うまや/多くの民家で
既に部屋として改修されている)と呼ばれる部屋がある。
そして、その反対側には、田の字型に建具で仕切られた4室があり、南側2室を仏間・次の間、北側2室を居間・寝室という構成になっている。
これは、昔から様々な儀式祭礼が家で行われてきたことにより、玄関のある南側にハレの間として和室が配置されたためであり、現在でも法事などの法要は
家で行うことが多いため、南側2室の和室は改修されないまま残されていることが多い。
こういったことから、プライベートな空間は北側に追いやられ、日常の大半を過ごす空間があまり陽の入らない暗い空間になりやすい。
今回は昔からの柱梁を尊重しつつ、壁・天井は白を基調とした配色とし、床は落ち着いた空間となるように茶とした。

古民家の良さの1つは、間仕切りで空間を仕切っているため、場合に応じて大きな空間にもできることである。
今回は和室には障子戸、その他の部屋にはレースカーテンを用いて空間を仕切り、古民家の良さを損なわないような構成とした。

また、予算が限られていたため、今回工事で手を加える天井・壁等は最小限とし、30年程前の改修の際に余っていたサッシを利用する等工夫をした。
そのような限られた予算の中でも、少しでも暮らしやすくするため、可能なところには断熱材を入れ、空間の質を損なわないように、要所では漆喰塗りを
施すなどの配慮をし、とりわけ屋外部分は、腰壁を無垢板張り、その上を漆喰塗りにするなど、周辺の景観に対する配慮も行った。

天井の高いダイニングキッチン

既存においては、上向きのスポットライトが設置されているレベルで、水平に天井が張られていたが、工事の際に撤去してみるときれいな既存構造材が確認できたため、それらを表しにした。
その結果開放的な空間ができ、高い天井から長いコードで吊ったペンダントライトが印象的な空間になった。
右側の梁上の壁は漆喰塗りとした。
キッチンはI型で幅3m。
ダイニングテーブルはKawakatsuDesignのデザイン・製作である。
1800×900の合板を最大限利用した大きなテーブルとなっている。

居間 + ダイニングキッチン ( 間仕切CLOSE )

居間とダイニングキッチンの間の間仕切を閉めたところ。
和紙風プリーツブラインドとガラス戸で仕切る。
手前のテーブルはKawakatsuDesignによるデザイン・製作によるもので、元々の堀りごたつを利用したコタツテーブルになっている。
二枚の天板の間に布団を挟めるようになっている。
居間の上から吊るしているペンダントライトもKawakatsuDesignによるデザイン・製作である。

居間 + ダイニングキッチン ( 間仕切OPEN )

テレビのある居間からダイニングキッチンを見る。
間仕切を開けた状態では開放的な一体空間として使うことができる。
キッチンカウンター横には、既存のカマドを残した。
手前のテーブルはKawakatsuDesignによるデザイン・製作によるもので、元々の堀りごたつを利用したコタツテーブルになっている。
二枚の天板の間に布団を挟めるようになっている。
居間の上から吊るしているペンダントライトと、ダイニングテーブルもKawakatsuDesignによるデザイン・製作である。

既存大梁のある居間

既存の大梁が存在感のある居間である。
元々は「壁はクロス、床は畳」の和室であったが、「壁は漆喰、床はタイルカーペット」に変更した。
床を濃い色とすることで空間に落ち着きを与えた。
手前のテーブルはKawakatsuDesignによるデザイン・製作によるもので、元々の堀りごたつを利用したコタツテーブルになっている。
二枚の天板の間に布団を挟めるようになっている。
上から吊るしているペンダントライトと、右に見えるダイニングテーブルもKawakatsuDesignによるデザイン・製作である。

応接スペース(和室)

イサムノグチのデザインしたAKARIφ55を空間の真ん中に吊るして、空間の演出をしている。
右の板戸を開けると、既存の座敷(6畳+8畳)が続く。
左上は収納になっており、リビング等で使っているものと同じ和紙風プリーツブラインドで目隠しをしているが、全体の統一感を考慮し、左官壁の色と合わせている。
左下の太鼓貼りの障子戸は、リビング側からの光を透過している。

ソファスペース

リビングソファの後ろに、和室照明の光が透過した障子戸が見える。
この障子戸は、両面に和紙を貼った太鼓貼りになっている。
和室から見たときに、障子越しにソファの背もたれが見えないように、障子戸下部は格子とせず、合板によるフラッシュ構造とした。

寝室 + リビング

寝室上の空間は、既存の状態も良かったため、梁上は既存のまま残すことにしたため、黒くなった木部や土壁が見えている。
ベッド横の壁は、反対側から利用できる収納になっており、端の方にツマミが見えるところはベッドルーム側から利用できるクローゼットになっている。
リビング側同様に、ベッドルーム側も間接照明によって既存壁天井を照らしている。

スタディスペース+寝室 ( サッシ廻りCLOSE + 間仕切CLOSE )

サッシ廻りの和紙風プリーツブラインドを閉め、レースカーテンも閉めることによって、一体感を保ったまま、別の空間として利用することができる。

スタディスペース+寝室 ( サッシ廻りCLOSE + 間仕切OPEN )

レースカーテンによって2つの空間を仕切ることができる。
サッシ廻りの和紙風プリーツブラインドを閉めることで、古民家としての落ち着いた雰囲気を出しながら、明るい室内を保つことができる。

スタディスペース+寝室 ( サッシ廻りOPEN + 間仕切OPEN )

レースカーテンによって2つの空間を仕切ることができる。
スタディスペースのカウンター前の開放的な開口からは遠くに山を望める。
ベッド横の窓からは東の朝日が差し込む。

可動間仕切の一室空間 ( 夜の内観 )

当初はサッシ廻りも障子戸を製作する予定だったが、コストを考慮して、既製の和紙風プリーツブラインドを採用した。

応接スペース(和室)

この和室は、ハレの空間である仏間(座敷)と、ケの空間であるリビング・寝室の中間にある、応接スペースを兼ねた部屋として計画した。
ここでも、障子戸やレースカーテンを用いて空間を仕切り、古民家の良さの1つである「間仕切りによる空間の分節」を損なわないような構成とした。
親しい客が訪れた際は、全部を開放して、開放的な空間となる。

可動間仕切の一室空間 ( 間仕切CLOSE )

和室には障子戸、その他の部屋にはレースカーテンを用いて空間を仕切り、古民家の良さの1つである「間仕切りによる空間の分節」を損なわないような構成とした。
これにより、場面に応じて大きな空間とすることもできる。

可動間仕切の一室空間 ( 間仕切OPEN )

和室には障子戸、その他の部屋にはレースカーテンを用いて空間を仕切り、古民家の良さの1つである「間仕切りによる空間の分節」を損なわないような構成とした。
これにより、場面に応じて大きな空間とすることもできる。

外観夕景

限られた予算でも、山里の風景に合うよう、外壁仕上は漆喰や板張りとして改修した。