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設計、施工、監理を担当
施主のS様・H様は30代のカップル。7年前までS様の祖母が住んでいた、築41年のマンションをリノベーションしました。
都内で開かれた読書会や、社会問題について話し合う討論会を通じて意気投合したという二人。コミュニティ活動を通じて知り合った共通の友人も多く、今回のリノベーションにあたっても、住まいを自分たちの暮らしの場として完結させるのではなく、仲間との学びや対話の場として開かれた空間をつくりたいと考えていました。
既存の間取りは70年代のマンションによくある、センターリビング型の3DK。中でも気になったのは、玄関脇の四畳半。独立性が高く、他の部屋との連続性がない。外廊下に面していることからプライバシーの確保も難しく、いずれは活用されなくなることも想像されました。
スペースの有効活用、住まいの内と外の連続性を保つという課題を、ゾーニングによって解決したプランです。玄関から奥に行くにつれて、グラデーション状にプライバシー性が高まるよう計画しました。
玄関脇の四畳半は小上がり和室に改修し、立ち寄った人が腰掛けて寛げる“縁側”に。玄関とLDKに連続性をもたせ、仲間と気軽に集える雰囲気を演出しました。
LDKには古材の足場板で壁一面に本棚を造作。空間のフォーカルポイントとなりました。読書会などでモニターとして使えるよう、中央に49型テレビを据えています。
庭側の二室は間仕切りを撤去して一室とし、二人のプライベートなリビングや寝室に。ただ、私的な空間とはいえ奥を壁で仕切ってしまうと、LDKの採光が確保できなくなってしまう懸念がありました。そのため間口の広い引き戸を設け、シーンに合わせて開閉できるようにしました。引き戸を開放すれば、庭に面した掃出し窓からの光がLDKに届きます。来客時には戸を閉めれば、プライバシーを守ることができます。
完成した家で、コミュニティスペース“MÜCHA”(読み方は「ムチャ」。S様の学生時代からの愛称からとったそう)を開設されたお二人。「リノベーションで変わったのは、家より私達自身かも」とH様はいいます。
「新しい出会いも増えて、二人暮らしだけどそれ以上に多くの人と、この家を通じてつながっている。次の週末は何をしようって二人で話し合うことで、二人の間の繋がりも、強くなったと思います」
ダイニングスペースを利用して、コミュニティスペースを運営している施主さま。壁一面の本棚は、古材とアイアンでインダストリアルな仕上がりに。
玄関から奥に進むにつれてプライバシー性が高まる空間設計。引き戸を閉じれば、プライベート空間は目隠しできる。
オーブンや調理家電をすべて一列に収納できるよう設計したオーダーキッチン。木とステンレスで、部屋の雰囲気に合わせたインダストリアルなテイストに。
プライベートスペースは、中央にリビング、壁際をワークスペースとし、奥をベッドスペースとした。ベッドスペース上部は、寝具の収納用にロフト空間を設けた。
壁一面にわたる広いデスクカウンターは、布を広げて洋裁ができるようにというHさまの要望から。
かまくらのような、おこもり感のあるベッドスペース。
小上がりの和室は、床下が収納スペースになっている。腰掛けて読書したり、ごろんと横になったりといったリラックススペースとしての使い方のほか、来客時は客間にもなる。
小上がり和室は、玄関土間から直接上がれる間取りとなっている。訪れた人が気軽に腰掛けて、会話やお茶を楽しめる、いわばマンション仕様の縁側スペース。