2022/08/16更新0like2300view

著者:tennto1010

気になるあの家の窓、中からも見てみよう

家の外観を特徴づける“顔”のような窓をもつ家に出会うと、その窓が室内側からどのように見えているかが気になりませんか?また、個性的なスリット窓やハイサイドライトを見つけると、室内にどのような光が届いているのか興味がわいてきます。
今回は、こうした気になる窓をもつ家の外観と内観を同時に並べて検証することで、窓が住まいにもたらす効果を考えます。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

家の顔になる窓

屋根型にくり抜かれた印象的な窓

切妻屋根がかかった家のフォルムを、そのまま小さくくり抜いたような窓が印象的な外観です。照明が灯ると、室内の天井仕上げなど内装の雰囲気もほのかに見え、この窓の向こうには特別な空間が広がっているに違いない、と想像が膨らみます。
星設計室「『やはぎの家』借景を楽しめるいろいろな居場所がみつかる家」
床から切妻型の天井までの全面が木質素材でぐるりと囲まれ、木立がつくるトンネルのような空間を演出しています。浮遊感が漂うこのワークスペースは、「鳥の視線」になれる場所とのこと。印象的な外観からの想像を裏切らない特別な一室になっています。
星設計室「『やはぎの家』借景を楽しめるいろいろな居場所がみつかる家」

大開口の吹き抜けワークスペース

ファサードには、ひときわ目を引く大きな出窓。階段なの?2階なの?と、巧妙な室内プランを想像させるこの微妙な高さが、とても気になります。
吹き抜け+大開口の開放感に加え、スキップフロアで変化をつけたアトリエスペースが広がる劇場的な空間です。通りに面していながらも、外からも内からも目線が交差しない高さ設計で、ワークタイムの心地よい緊張感をつくり出しています。

視線の先に続いていく窓

雁行型に連なる窓

建物を斜めにずらしながら配置する雁行(がんこう)型のプランと、これに呼応した雁行配置の窓。建物がはるか先まで続いていくかのような、奥行きを感じさせる静かな佇まいが印象的な外観です。
屋内での雁行効果はこのとおり。部屋と窓とが斜め配置で奥にのびていくため、空間の広がりがいっそう強調されています。外からでも中からでも、リズミカルな配置の効果が同じように生かされています。

連続するハイサイドライト

ハイサイドライド(高窓)をふんだんに取り入れ、屋根が浮いているように見える外観です。傾斜地という地勢を生かしたダイナミックな風景が、ハイサイドライドによって、室内にどのように取り込まれているのでしょうか。
外部の自然を感じさせる清々しい内部空間が広がっていました。外観からは、屋根を浮かせるようにみせていたハイサイドライトが、室内では、緑に囲まれたデッキに屋根がかかっているかのような、半屋外的な雰囲気づくりに効果を発揮しています。

ピクチャーウィンドウの妙

木枠の窓がつくる上質な印象の外観の中でも、まず目線がいくのが、中央に見える正方形に近い小ぶりの窓。外壁仕上げの違いからも特別感が漂います。
なるほど!ダイニングスペースのピクチャーウィンドウでした。木質で壁を仕上げることによって、切り取りたい外の緑の風景との調和が抜群に効いて、ここだけが森の中のような異質空間に。美しく切り取られた風景が、家族の食事をいっそう美味しくしてくれますね。

出窓+

3.3mほどの非常に間口の狭い3階建てに、出幅がかなりありそうな出窓が2つ。まるで、望遠鏡を突き出してこちらを覗いているようで、ついつい目がいってしまいます。
外との距離を縮めようと体を乗り出すように、外部に向かって大きく突き出した出窓。その先端をくり抜くようなピクチャーウィンドウは、間口の狭いこの空間だからこそシンボリックな存在感を放っています。
室内の風景が切り取られた夕景。外から見られることも、計算ずみのデザインです。

桟(さん)の効果

繊細な桟のバランス

ほぼ正方形に切り取られた窓と桟のデザインは、繊細ながらもバランスが取れた安定感のある美しさです。ここを通り過ぎる多くの人が「あの窓の向こう側に行きたい!」と、憧れをいだいているはず。
窓の桟には、大型の窓ガラスを支えて保定する役割があります。こちらの窓も、桟のデザイン性はもちろん、機能的な安定感からもたらされるバランスが、落ち着いてくつろげるお部屋の雰囲気を引き立てています。

格子デザイン

一転して、こちらは力強く組まれた格子デザインの窓です。大開口による透明感を感じさせつつも、全面ガラスにした場合とは異なる安定感と木質の温かみが加わっています。
骨太で木質の分量が多い分、ガラスだけでは出せない豊かな窓辺の表情が印象的です。Fix窓と横滑りだし窓のコンビで、採光と通風の機能をデザインに溶け込ませています。

ユニークシェイプ

斜め!

外壁に斜めに巻かれたリボンのような連続窓。斜めの部屋がある⁉︎
斜め窓と呼応するような、勾配天井の居室が広がります。視線を下から上へと窓の形のままに誘うように計算されたデザインで、一つの部屋でありながら、足元の眺望から頭上に広がる空へと、多彩な景色を取り込めるのは、斜め窓でこそ叶うもの。

鍵?

ファサードに小さく開いた鍵穴のようなデザイン窓が気になります。鍵型窓によって、家全体を強固に守ってみせるぞ、という強い決心⁉︎がデザインに表れているようです。
平賀 久生「空の家」
強固な印象の外観から一転、室内では、やさしいアジア風の丸窓として生かされています。また、閉じられたファサードに対し、内部は中庭を囲んだ開放的なプランになっていて、外観から中の様子を全く想像させないプライバシーが守られた住まいです。
平賀 久生「空の家」

この光はどこから注いでいるの?

細!

写真左側の細い窓が気になります。細いけれども、絶対ここになくてはならない窓のはず。外観の印象も窓の有るなしで印象が大きく変わりそうですよね。一体どのようなお部屋にある窓なのでしょう。
階段の踊り場につくられた書斎に、細い窓を見つけました。深い色彩の壁をひときわ引き立たせる光の筋が、隠れ家のような居場所を幻想的な雰囲気に仕上げています。何気ないスペースも、こうしたドラマチックな窓をもつことで、特別な部屋へとランクアップします。

光の帯はどこから

最後は、これまでの事例とは反対に、まず室内側の事例写真から見ていきましょう。5mもの天井高を活かしたダイニングは、光の差し込み方が緻密に計算され、神々しさすら感じられます。写真左側の細長いスリット窓からの光と、右側のハイサイドライトからの光が交錯して、タイトルどおりの「光帯の家」です。
では次に外観を見てみましょう。室内の神々しい光の雰囲気からは想像できない、大きな道路に挟まれた雑踏に建つ住宅です。このコーナーの細い窓から入るのが、まず一つめの光です。
そして、南側のハイサイドライトからの光と合わせて、白い壁の光模様をつくりだしています。一見すると悪条件ばかりに思える敷地でも、その土地の自然条件を読んで窓を切り取ることで、内部空間に無限の広がりを生むことがしっかり実感できる事例です。
窓は、外からも中からも、住まいの表情をつくるとても需要な要素です。採光・通風といった性能面とあわせ、デザインの工夫によっても、多くの効果をもたらす窓の計画は、家づくりのなかでも手が抜けないポイントです。検討の優先順位を上げて、是非じっくり取り組みたいですね。
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