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京都市伏見区の羽束師の一体は久我の里といって、水郷地で京都盆地における最初の頃の農耕集落として,弥生時代に誕生した場所。今でもどっしりとした農家の家の佇まいが数多く残る地域です。この住宅は代々受け継がれてきた家を増改築を繰り返しながら住み継いでいく、リノベーションのプロジェクト。曾御祖父さんの代から少しづつ手を加えて育まれた家が新しい若い家族へとつながっていきます。
リノベーションのときに心がけているのは、できるだけ前の家の面影を残すこと。住み手よりも長く家が過ごしてきた年月は、家族やその土地の歴史であり、新築にはない味わい深さがあります。現代の素材を使いながら当然リノベーションしていくのですが、古い建物には新建材などは使用されていませんから、古いものと並べたときに違和感のない素材を選定していくことになります。
撮影:岡田大次郎
外観の形状は大きく変更していませんが、劣化が著しかったため外壁の仕上げのモルタルを落として再度塗り直しを行っています。屋根は瓦屋根を金属板に葺き替えて軽く仕上げています。内部は、昔ながらの土壁が一部残っていたので、それを再度水を含ませて再生し、荒壁の仕上げとして少しざっくりとした仕上げにしました。農家の納屋のような空間をそのまま残しつつ、今の生活がしやすいように工夫しています。また、小屋裏の古い構造の仕組みを出来るだけ見せ、梁や柱は塗装を落として無垢の状態に戻し、古傷などはそのまま残しながら、家の歴史のビンテージな要素としました。