2022/09/01更新0like5870view

著者:佐藤ゆうか

窓枠・ドア枠の役割や特徴を知ってこだわりの建具まわりを楽しもう

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

窓やドアまわりに設置される枠は、建具の補強や空間のアクセントなど、さまざまな役割をもつ大切な部材です。
一般的に枠は建具と一式として考えられがちですが、実は単体としてちょっとしたこだわりや工夫を取り入れることができます。

今回は、知っておきたい枠の役割から素材や特徴、納め方のバリエーションについて解説します。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

ただあるだけ。じゃない!建具枠の2つの大切な役割とは?

枠は、建具の縁取りとしてだけではなく、大切な役割をもっています。
そのひとつめの役割は、サッシやドアのまわりをきれいに見せることです。
装飾的な目的以外にも、建具を壁に取り付けるための金具を隠したり、防水のために設置される複雑な部材をきれいに納める役割があります。

そしてふたつめの役割は、開口部分を守ることです。
窓やドアは、壁に比べて断熱性に劣るため、建具まわりは内外の温度差によって結露が発生しやすく、汚れやクロスが剝がれるなどの劣化の原因となります。
また、窓やドアの開閉でおこる振動を受け止め、壁面のひび割れなどの傷みを防ぐ役割もあります。

窓枠・ドア枠の素材と特徴

枠材の素材によって空間の雰囲気を大きく変えることができます。
続いて、室内の枠に使われる素材と特徴を解説します。

木質材

既製品として使われている木質の枠材です。
MDF(木材チップを合成樹脂で固めて成型したもの)を化粧シートで包む方法で作られます。
今回紹介している3つの枠材の中で最も費用を抑えることができます。見た目が良く変色がしにくく、施工がしやすいところが特徴です。
木材を枠の形状に加工して使います。
無垢材は、木の特性を生かしつつ防水加工や着色の塗料を施して使われるため、いろいろな雰囲気を楽しむことができます。
例えば、油性塗料を塗り木の質感を隠すことで高級感を出したり、木目を活かせる透明塗料や水性塗料を使うことで、木のもつ温かさを演出することができます。
また、枠の表面に装飾を楽しむことも可能です。

一般的に、ヒバやツガなどの水に強く加工しやすい樹種が用いられます。
樹種によっても価格はさまざまですが、木質材よりも高価になることが多いです。
樹脂を成型し、窓枠の形状にしたものです。
一般的に水まわりに用いられることが多く、耐水・耐久性に優れています。
お手入れがしやすく傷がつきにくいため、衛生的に保ちやすい特徴もあります。
デザインのバリエーションは少なく単一色が一般的ですが、気質材や無垢材の枠よりも高価になることが多いです。

枠の納め方と特徴

室内の枠には、「四方枠」、「三方枠」、「二方枠」、「前板納め」という4つの設置方法があります。
それぞれの概要と特徴を解説します。

開口部の周りを、枠で囲んで納める方法です。
窓まわりを強い枠材で四方を囲むことで、内装材や窓の取り付け部分を保護することができます。そのため、枠がない場合に比べて、結露や開閉の振動などのダメージを最小限におさえられます。

しっかりと厚みのある枠を施すことで、窓の存在感が増し、空間に重厚感を演出できる方法でもあります。
開口部の上部と左右に枠を施す方法です。
ドアやテラス窓など、段差なくフラットに納めたい場合にぴったりな方法です。
開口部の左右のみに枠を施す方法で、床から天井まで窓を通す場合に用いられます。
開口部の上部に下がり壁ができないため、窓を大きくとれることで美しい景色を室内へ取り込むことができます。
また、枠を通すよりもリーズナブルに施工できるメリットがあります。
建具の下部のみに枠を設ける方法です。
上部と左右は枠をまわさないため、室外と室内の一体感が増し、すっきり見せることができます。
ただし、枠をまわしていない部分は擦れたり耐水性が劣るため、美観を保つために開口部の断熱性を高める工夫と定期的な掃除が欠かせません。

窓枠やドア枠選びの3つのポイント

最後に、窓枠やドア枠を選ぶ際の仕様やデザインについて、3つのポイントを解説します。

1.形状は空間のイメージに合うものを選ぶ

窓枠とドア枠は、室内の雰囲気を左右する部材です。
太く目立つ部材をまわすことでインテリアのアクセントになり、部屋の雰囲気をクラシカルで重厚感のあるものにします。
また、細い部材を取り入れたり枠自体をなくすことで、部屋をすっきりとシャープに印象づける効果があります。
空間のイメージをどのようなものにしたいか検討し、枠の納まりを検討しましょう。
とくに枠を設置しない場合は、室内外の隔たりを感じさせないため、空間に広がりをもたすことができます。
ただし、結露や開閉の際の擦れなどの対策をしなければ、建具まわりは汚れや劣化の原因となります。
枠をまわさない場合は、建具を樹脂製や木製にするなど断熱性を高めることや、擦れやすい部分に透明のカバーを付けるなど、対策を考慮しましょう。

3.色・枠材選びは同系でまとめる

窓枠やドア枠の色を決める際は、第一に室内の床材や室内の建具の色を合わせましょう。
色をまとめることで、室内の雰囲気が落ち着いたものになります。
また、壁の色と合わせ統一感を出す方法もおすすめです。壁色と一体化させることで枠の存在を消し、すっきり見せることができます。
そのほか、材質の質感や経年変化を楽しめる木色系の枠材を用いると、部屋の雰囲気を伝統的で安定感のあるものにできます。
建具の枠は、設置部分を美しく納め、補強することができます。
住まいづくりで建具を検討する際には、設置方法や形状、色素材選びなど...さまざまな枠の形を楽しんでください。
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