2020/11/05更新2like13525view

著者:佐藤ゆうか

建具(たてぐ)って何?後悔しない選び方のポイント

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

住宅は、いろいろな部材や設備が組み合わさってできています。
今回は、住まいの大切な一部である建具について紹介します。

建具は、快適さや安全性を保つ大切なものです。建具とは何なのか?ということから、選び方のポイントを確認して、快適な家づくりにお役立てください。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

建具とは?

建具とは、「たてぐ」と読み、建物の、屋内と屋外、または室内の部屋や空間を仕切るために設ける、開閉できる設備のことを言います。
具体的には、ドア(戸)、窓、障子、ふすまなどのことです。

住まいの中で、建具には、次のような役割があります。
・外からの雨・風・ほこり・虫などをシャットアウトする
・火災の際に延焼を防ぐ
・断熱
・防音
・プライバシーを守る

建具がないと、家の中には外のものがどんどん入り込み、家の中は丸見えで、会話は筒抜け、お風呂で使った水は脱衣所に飛び散り、冷暖房も効果なし。といった具合でしょうか。
とても暮らせませんね。
建具は、住まいに欠かせないとても大切なものなのです。

建具の種類

建具は、大きく「木製建具」と「金属製建具」に分けられます。

木製建具とは、無垢の木材や、集成材、化粧板、ベニヤ板など、木質の素材でできた建具のことで、図面や見積もり書では、「WD」と表現されることがあります。
扉・障子・襖(ふすま)・木製窓・木製扉・木製雨戸・欄間(らんま)などをいいます。
金属製建具(鋼製建具)とは、アルミや、スチールなどの金属の素材でできた建具のことで、図面や見積もり書では、「SD」と表現されることがあります。
アルミサッシ、鋼製サッシ、シャッター、金属製扉などをいいます。
室内の建具や玄関扉は、さらに開き方などによって種類が分けられます。
主な種類を確認しましょう。

■開き戸(ドア)
一般に、「ドア」と呼ばれる開き方をする建具です。
隙間をしっかりふさぐことができるため、気密性、防音性、断熱性が高く、トイレや個室など、プライバシーを尊重したい空間の出入り口に適しています。
比較的安価ですが、可動域が広いため、人とぶつからないように計画する必要があります。
同じ大きさの2枚扉の場合、「両開き戸」と呼びます。
小さい扉と、大きい扉が2枚合わさっている場合、「親子扉」と呼ばれ、大きな荷物の出し入れが想定される玄関や、リビングによく用いられます。

■引き戸
横にスライドして開閉する建具です。
1枚扉のタイプを、「片引き戸」、2枚扉が交差するように開閉するタイプを「引き違い戸」と呼びます。扉の枚数が増えるにつれ、「3枚引き違い戸」「4枚引き違い戸」…と名前も変化します。
開き戸に比べて気密性は劣りますが、少しの力で開閉できるため、お年寄りが使う部屋や、介護を意識した家づくりの際に積極的に活用されます。

■折れ戸
扉を折り曲げて開閉するタイプの建具で、収納の扉によく用いられます。
開き戸と比べて、可動域が小さく、小さい力で開閉できるため、トイレや、お年寄りが使う部屋などに計画されることもあります。
引き戸と比べて、開口部分が広くなり、開いた扉をコンパクトにまとめられるため、大きな空間の間仕切りや大きく開きたい窓などにも使われます。

このほかにも、建具が取り付けられる場所や使い勝手によって、「出入口建具」「窓建具」「内部建具」「収納建具」「外構建具」と分類する場合もあります。

既製品とオーダーメイド(造作建具)

建具の選択方法は、大きく「既製品」と「オーダーメイド(造作建具)」に分けられます。
既製品とは、メーカーが作っている建具のことです。
住宅建材を扱うメーカーが作っている建具で、予算に合った価格帯(ブランド)から、住まいに合った色・柄・デザイン・寸法を選択します。
オーダーメイドに比べて、デザインや寸法に限りがありますが、豊富なラインナップで多くの人が満足できる仕様になっています。
一方、オーダーメイド建具(造作建具)とは、建具職人が施主の希望に合わせて一点ものでつくる建具のことです。
石井 大 ・ 井上 牧子 / 石井井上建築事務所「寺町の家」
寸法は間取りによりますが、デザインや素材、使用する金具など、設計士と相談して建具を作り上げます。
襖や障子などの和室に使われる建具は、オーダーメイドが一般的です。
こだわって計画する場合や、既製品では対応しきれない寸法や形状の場合など、洋室の扉や、玄関扉、サッシもオーダーメイドできます。
一般に、既製品よりオーダーメイド品の方が高価ですが、自分好みの素材やデザインで、こだわりの建具を作ることができます。

後悔しない!建具の選び方のポイント

建具は、形状や色、寸法など、決めることが多く迷ってしまうものです。
建具選びのポイントについて、後悔しないために確認しておきたい、3つのポイントをお伝えします。

1. 部屋の雰囲気に合わせる
建具選びでは、色・素材など、デザインで迷う人が多いです。
カントリー調やナチュラルテイストなど、木目を活かした温かみのあるインテリアの場合、床のフローリングなどと同系色にすると、空間に馴染みます。
モダンなインテリアの場合、壁と同系色にしてすっきり見せたり、床や壁と違う色にして、存在感を目立たせたり…といろいろな試みをすることができます。
お好みのインテリアの事例を見たり、カラーシミュレーションをして、部屋の雰囲気に合う色合いを検討しましょう。

2. 防犯・安全に配慮する
外回りの建具は、災害の際に壊れやすかったり、空き巣狙いの侵入口として狙われたりすることがあります。
また、室内の建具も、家庭内事故の原因になることもあります。
以下のように、防犯性や、安全性に配慮しましょう。

■扉
・玄関扉やその周りには、手が入るような幅の広いガラス建具は設けない(ガラスを割り、玄関の鍵を開ける犯行の防止)
・開き戸は、なるべく廊下側に開かないようにする(部屋側から扉を開いた際に、通行する人とぶつかるのを避ける)
・体調を崩しやすいトイレや浴室の扉は、なるべく引き戸か折れ戸にする。開き戸の場合、外側に開く(中で人が倒れた場合も扉が開くように)
・折れ戸は、指の挟まれ防止機能があるものにする
・引き戸は、ソフトクローズ機能があるものにする
・扉は、階段からなるべく遠ざける(転落や衝突を防止するため)

■窓
・死角になる部分の窓ガラスは、簡単に割られない防犯ガラスにする
・大きい窓は、ガラスが割れても飛び散りにくい強化ガラスにする
・2階の窓は、落下防止のためなるべく110cm以上の高さから設置する

3. 工夫して便利にする
昔から伝わる「雪見障子」(建具の下部がガラス窓になっていて、部屋にいながら雪が積もる様子が楽しめる障子)のように、建具を工夫することで、暮らしが便利になることがあります。
例えば、次の方法があります。

・トイレや洗面室の扉は小さなガラス窓を設けて、中の電気がついているか確認できるようにする(使用中を確認する)
・リビングなど共用部分の扉は、ガラス面を大きくして、閉塞感を減らし、光を通す
・建具の下部分に小さな子扉をつけてペットが通れるようにする
・収納扉や洗面室の表面はルーバーにして湿気がこもるのを防ぐ
・個室や書斎、二世帯住宅の通用扉など、プライバシーを重視したい扉には必要に応じて鍵を設ける
・楽器を演奏する部屋など、音が気になる部屋の扉は防音仕様にする
・高い場所の窓や、開閉が面倒な部分は、電動式にする

便利な建具は、シンプルな建具より高価ですが、毎日使う物ですから、お金を掛けて機能性を持たせる価値があります。
予算に応じてその場所に合った便利な建具を計画しましょう。
建具とは何なのか?ということから、選び方のポイントまでお伝えしました。
家づくりの際に、なんとなく図面に描かれてしまう建具ですが、予算の許す範囲で、ひとつひとつにこだわって計画できるといいですね。
お気に入りに追加

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

SUVACOは、自分らしい家づくり・リノベーションをしたいユーザーとそれを叶えるプロ(専門家)とが出会うプラットフォームです。

家づくりについて学ぶ

「自分らしい家づくり」に大切な、正しい家づくりの知識が身につくHowTo コンテンツ集です。

専門家を無料でご提案

家づくり・リノベーションはどこに頼むのがいい?SUVACOの専任アドバイザーが全国1,000社以上からご希望に合うプロをご提案します。

住宅事例をみる

リノベーション・注文住宅の事例を見たい方はこちら

家づくりの依頼先を探す

リノベーション会社や建築家、工務店など家づくりの専門家を探したい方はこちら

会員登録を行うと、家づくりに役立つメールマガジンが届いたり、アイデア集めや依頼先の検討にお気に入り・フォロー機能が使えるようになります。

会員登録へ

同じテーマの記事

同じテーマのQ&A

住まいの記事 カテゴリー一覧

専門家探しも、家づくりのお悩みも
SUVACOのアドバイザーに相談してみよう

専門家紹介サービスを見る