2020/01/22更新0like20817view

著者:岩間光佐子

洗面室の床材はどう選ぶ?種類とプランニングの注意点

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

洗面室や脱衣室の床材を選ぶ際に重要なのは、耐水性や掃除のしやすさ、足ざわりなどさまざま。
この記事では、注文住宅やリノベーションをするときに知りたい、主な床材の種類と特徴、選ぶ際に確認しておきたい注意点などをまとめました。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

洗面室の床材に求められる性能は?

新築やリフォームの際には、床材にこだわる方も多いもの。インテリアのイメージや快適さ、使い勝手を左右するアイテムだけに、空間に適した素材を選ぶことが大切です。

リビングや寝室などの床材はある程度イメージできても、家族が毎日使用する洗面室の床材については特に悩む方が多いようです。洗面室は身だしなみを整えたりお化粧をしたり、脱衣室や洗濯室を兼ねたりとさまざまな用途に用いられるため、どんな基準で床材を選べば良いのかわかりにくいことが理由です。

一般的に洗面室の間取りとして多く見られるのは、バスルームに隣接し、脱衣室を兼ねるプラン。洗濯機を設置してランドリールームとしての役割を兼ねることも多いでしょう。このようなプランの場合に優先させたいのは、清潔さを保てることと掃除のしやすさです。耐水性はもちろん、耐薬品性に配慮することもポイントです。

洗濯室や室内物干しなど作業性が高い場合は、お手入れしやすい素材を選ぶべきですが、身だしなみを整えたりお化粧をしたりすることが多く、お客様もよく使用するような場合は、インテリア性や心地よさを優先させても良いかもしれません。
ゆらり建築事務所 安藤亨英・節子「雑木林を感じる暮らし」

悩む方が多いのは、フローリングとクッションフロア

洗面室に使用できる床材にはたくさんの種類があるので、それぞれの特徴を理解したうえで選ぶことが大切です。「洗面と脱衣と洗濯の場」として使用する洗面室の場合は、フローリングとクッションフロアのどちらかを選ぶかで悩むケースが多いようです。

■フローリングのメリット・デメリット
フローリングにもいくつかの種類がありますが、多く用いられているのは複合フローリング。ナチュラルな木目だけでなく、大理石やタイルの風合いを持つタイプもあります。多くのメーカーが豊富なバリエーションをとり揃えているので選びやすく、最近では水まわりに適したものやリフォームで取り入れやすい商品も増えてきています。

デメリットとしては、水まわりにも適する機能性の高い複合フローリングなら掃除やお手入れも比較的簡単なのですが、商品によって性能の良し悪しに差がある点。
無垢のフローリングの場合、塗装などにもよりますが、一般的に水分が染み込みやすいと言われていますので、こまめなお手入れが必要です。

フローリング床材の種類と特徴
ヨシダ ユウスケ「公園の傍の家」
■クッションフロアのメリット・デメリット
クッションフロアの表面材は塩化ビニールなので、耐水性に優れ、汚れが付きにくいうえ落としやすいことがメリット。表面材にクッション材が裏打ちされているので適度な弾力性があり、足腰が疲れにくいことも魅力です。

また、施工が比較的簡単なため、制限の多いリフォーム時はもちろんDIYで貼り替えることも可能。商品バリエーションが豊富で手ごろな価格から揃うため、取り入れやすい素材と言えるでしょう。

デメリットとしては、表面材がビニールのため、足触りに好みが分かれるところ。商品によっては濡れていると滑りやすかったり、水が染み込んだり、施工の仕方次第では接着部分が浮いてきてしまうこともあります。

選び方&プランニングの注意点

■ポイント1 洗面室のプラン、使用方法を明確に
脱衣室や洗濯室を兼ねることの多い洗面室ですが、お化粧スペースとして使用する方も増えています。室内干しやアイロンかけを行うなど家事室として使用する場合もあるでしょう。また、トイレと合わせてひとつの空間としてプランニングするケースもみられます。
プラン作りや空間の使用方法を明確にしたうえで、快適性を高めるのか、作業性を重視するのか、優先順位を決めていきましょう。

■ポイント2 空間のつながり、明るさ、心地よさへの配慮
洗面室内だけでなく、バスルームや廊下などの隣接する空間とのつながりに配慮して選ぶことも大切です。最近では、広がりを持たせるために廊下やリビングと床材のテイストを揃え、水まわりにフローリングを選ぶケースなどもみられます。

また、間取りにもよりますが、洗面室は北側など採光が難しい場所にプランニングされるケースも多く、洗面室でお化粧や身だしなみを整える方も増えてきていることから、明るく居心地のよい空間になる素材・インテリアを選びたいものです。

■ポイント3 家族構成・ライフスタイルに合わせた機能を
「わが家の洗面室に適した床材」という視点で選ぶなら、家族構成やライフスタイルを考慮したいですね。幼い子供がいる家庭なら水に強い床材を、高齢の家族がいる家庭なら滑りにくい素材を選びましょう。お客様も使用する洗面室の場合はインテリア性を重視することもあるかもしれません。家族構成や使用方法を考慮し、「何を優先させるのか」を事前に整理しておくことがポイントです。

■ポイント4 壁材や建具、収納ユニットなどとのコーディネートに配慮
洗面室に限らず、床材を選ぶ際は内装全般のコーディネートを含めて考えましょう。壁材や天井材と一緒に床材を選ベば、洗面化粧台や出入口扉などの建具と合わせてコーディネートできます。

■ポイント5 ショールームで見本を確認
どんな素材を選ぶにしても、ショールームで実物を確認することが基本。できる限り大きめのサンプルで素材感や色味などをチェックしましょう。床材ですので、床面に置いて色柄を確認し、可能であれば素足で歩いてみると良いでしょう。

主な床材の種類と特徴

洗面室で用いられる主な素材には、フローリング、クッションフロア、Pタイル(プラスチックタイル)、タイル、コルク、天然繊維(ココヤシ・麻など)があります。

■フローリング 
木質フローリングには、無垢材と複合(複層)フローリングがあります。

・無垢材
水分が染み込みやすいため、こまめにお手入れを行う必要はあります。しかし、素材の持つ風合いや足触りの良さは大きな魅力です。

・複合フローリング
基材(合板)の表面に化粧材を張り合わせたもの。用いる化粧材によって化粧シートタイプと突き板(単板)タイプに分類されます。
 
 <化粧シートタイプ(シートフローリング・シートフロア)>
樹脂やオレフィン、紙などのシートに、木目や石目、抽象的な柄などを印刷したもの(プリントシート、 樹脂化粧シート、特殊加工化粧シートなど)を基材に貼り合わせたタイプ。シートを重ねたり、表面加工を施すなどして、本来の素材に近い雰囲気を持つものも多くみられます。石目模様や抽象柄などを取り入れたタイプも揃っています。

 <突き板(単板)タイプ>
天然木を薄く削り基材に貼り合わせたもの。商品によっては無垢材のフローリングと区別がつかないものもあります。

■クッションフロア  
塩化ビニールを用いた長尺(ロールシート状)の床材で、CF(シート)と呼ばれることもあります。耐水性に優れ、汚れも付きにくく落しやすいので、洗面などの水まわりに多く用いられる素材です。

最近では、高級感のある商品も増え、色や柄などのバリエーションも豊富になりました。汚れが付きにくく落としやすい防汚加工を施したもの、カビの発生や繁殖を防ぐ加工を施したもの、細菌の増殖を抑える抗菌や消臭機能を持つものなどもあります。

■Pタイル(プラスチックタイル)  
塩化ビニル樹脂などを用いて、タイル状に加工した床材で、色や柄のバリエーションも豊富なのが特徴。比較的堅く、耐久性や耐磨耗性、耐薬品性に優れています。
■タイル  
色やデザインなども豊富に揃うお馴染みの素材。耐久性、耐水性が高く、拭くだけで簡単に掃除ができるのも魅力です。目地の汚れ、足触りの冷たさや堅さ、滑りやすさなどに注意が必要ですが、大型のタイルを用いて目地を少なくしたり色目地を用いたりして、汚れを防ぐことも可能です。

内装タイルの基本的な種類と特徴・メリット

■コルク  
コルク樫の樹皮を原料とした圧縮成形した木質系の床材です。コルクを粒状にし焼き固めたもので、タイル状のもの(コルクタイル)だけでなく、コルクフローリングにした商品もみられます。堅牢で耐久性に優れ、断熱性も高いのが特徴で、表面の仕上げや加工を施し、水や汚れに強いタイプもあります。適度な弾力性があるため足腰への負担が少なく、万一転倒しても衝撃が緩和されるところも魅力的です。

■天然繊維(ココヤシ・麻など) 
天然素材も注目されています。ココヤシの繊維はリグニンが多く含まれたセルロースの繊維。丈夫で水に強いうえ腐りにくく、カビが生えにくいのも特徴。サイザル麻は耐久性や断熱性、調湿性などに優れ、汚れや水に強い素材です。いずれもざっくりとした独特の風合いで、色味や織り方で工夫を凝らした商品がみられます。
深澤明/高橋麻紀「世田谷の住宅3」
洗面室はさまざまなプランが考えられるため、使用方法によって床材に求められる性能が異なります。そのため、検討する際は床材に求める優先順位を明確にしておくことが基本です。
限られたスペースであっても、選ぶ素材によっては工事の手間に影響する場合があります。空間全体、水まわり全体、住まい全体をトータルに考えることが大切でしょう。

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