一般的な住まいの床材で、多く用いられているのはフローリング。住宅用のフローリングには、多種多様なタイプがあり、選ぶ素材によって、空間のデザインや心地よさだけでなく、掃除のしやすさなどにも大きく影響するものです。新築やリフォームの際には、フローリングの種類や特徴、メンテナンスなどをおさえておくことも大切でしょう。
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フローリングとは、床仕上げ用板材のこと
大きく無垢材と複合フローリングに分けられる
無垢のフローリングの種類と特徴
複合フローリングの種類と特徴
防音、水まわり用、ペット対応など機能性を持つタイプ
石目調、パーケットなどさまざまな表情のデザインも
短工期のリフォーム用も揃う
選び方・取り入れ方のポイント
フローリングとは、床仕上げ用板材のこと
フローリングとは、床仕上げ用板材のこと。一般的な住宅で用いられる木質フローリングには、多種多様な建材商品がみられます。
木質素材などの用い方で、無垢材(単層フローリング)と複合(複層)フローリングに分けることができますが、それぞれに機能性を持たせたり、表面デザインによって分類することも。また、建材商品としては、一戸建て用とマンション用が揃い、用いる建物に合わせて選ぶことになるでしょう。
大きく無垢材と複合フローリングに分けられる
新築やリフォームで多く用いられるフローリングには、大きく無垢材と複合に分類することができます。
■無垢材フローリング
無垢材(単層フローリング)とは、切り出した天然木の一枚板を加工したもののこと。一般的に、空気を多く含んでいるので保温性や断熱性が高いこと、余分な湿気を吸収し排出する調湿作用があること、柔らかい樹種であれば弾力性があることなどが特徴でしょう。
■複合フローリング
複合(複層)フローリングは、合板などの基材の表面に化粧材を張り合わせたもののこと。一般的に広く用いられているフローリングと言えるでしょう。用いる化粧材によって、化粧シートタイプ、突板タイプなどに分類することができます。
無垢のフローリングの種類と特徴
無垢材には、豊富な樹種が揃い、それぞれ特徴がありますし、塗装によって、風合いやお手入れのしやすさなどが大きく変わります。
【樹種の種類と特徴】
無垢材には、広葉樹と針葉樹があります。一般的に、内装材として用いる広葉樹は、重く硬いのが特徴。強度があり傷が付きにくい材と言われています。一方、針葉樹は軽くて柔らかいので、歩行感や肌触りの良さが魅力でしょう。
・広葉樹の例……オーク(ナラ)、ビーチ(ブナ)、メープル、チーク、ウォールナットなど
・針葉樹の例……スギ、ヒノキ、パイン、アカマツなど
【無塗装と塗装済みのタイプ】
無垢のフローリングには、無塗装と塗装済みのものがあります。無塗装のタイプは、多くの場合、現場で塗装仕上げを行うことになるので、塗料の種類や色など好みに合わせて選ぶことが可能。塗装済みのタイプは、そのまま施工することになりますが、最近では、色や機能のバリエーションだけでなく、ヴィンテージ加工を施した商品などもみられるようになりました。
【塗装の種類】
塗装には、さまざまな種類がありますが、大きく分けて、自然オイル仕上げとウレタン塗装仕上げに分けることができるでしょう。
■自然オイル仕上げ
無垢の質感や風合いを感じることができるタイプ。植物油を原料とした自然塗料を用いたものであれば、表面に塗膜をつくらずに木材に浸透させ木材を保護することが可能。調湿性も維持することができるのもメリットです。水や汚れに比較的弱いため、すぐに拭き取るなど、こまめにお手入れが必要。年に一回程度はオイル塗布を行うことで、美しさを保つことができるでしょう。
■ウレタン塗装仕上げ
合成樹脂の主成分がウレタン系の塗料を用いる仕上げです。表面に薄い膜をつくるため、自然オイルに比較すると、耐水性があり、傷がつきにくく、お手入れも楽でしょう。塗装によっては、素足で歩くとベタつきを感じることもあるかもしれません。
複合フローリングの種類と特徴
合板などの基材の表面に化粧材を張り合わせた複合(複層)フローリングは、用いる化粧材によって3つに分類することができます。
【シート】
基材に樹脂やオレフィン、紙などのシートに、木目や石目、抽象的な柄などを印刷したもの(プリントシート、樹脂化粧シート、特殊加工化粧シートなど)を張り合わせたフローリング。品質や仕上がりが均一で、施工性に優れているのがメリットでしょう。
【突板】
基材に薄く削った天然木の単板(突板)を用いたフローリング。用いられる天然木の樹種はさまざまです。一般的に、単板の厚い方が溝も深く、木目が鮮やかなので、商品によっては、無垢のフローリングと見分けがつかないようなタイプもあります。
【挽き板】
基材に天然木を鋸などで挽いて切った、突板よりも厚みのある板(2mm程度)を張り合わせたフローリング。無垢のフローリングのような質感があり、反りやゆがみなどの狂いがほとんどないのがメリットです。
防音、水まわり用、ペット対応など機能性を持つタイプ
最近のフローリングには、さまざまな機能を持たせたタイプが多くみられます。
たとえば、床暖房に対応したタイプなどは豊富に揃っていますし、フローリングと一体型の床暖房もあります。複合フローリングだけでなく、無垢のフローリングでも対応できるタイプもみられます。
また、特殊な制振マットや緩衝材などを用いることで、階下や隣室に伝わる音を軽減する防音機能を持たせたタイプも。その他、キッチンや洗面、トイレなど、空間ごとの特有の汚れを落としやすく、掃除のしやすいタイプもみられますし、ペットが滑りにくいように配慮されたタイプも揃っています。引っかき傷がつきにくく、アンモニアに強いものなど、工夫が施された商品が提案されています。
石目調、パーケットなどさまざまな表情のデザインも
最近の複合フローリングには、デザイン性にこだわったタイプも多くみられるようになりました。たとえば、幅広のタイプなどは、高級感を感じるとともに、目地が少ないため掃除がしやすいという特徴も。寄せ木張り(パーケット)のデザインは、印象的な空間づくりが可能でしょう。また、化粧シートタイプにみられる石目調や抽象柄のタイプは、シックでモダンなインテリアに適しています。清潔感もあるので、水まわりなどに用いてもいいでしょう。
短工期のリフォーム用も揃う
最近多くみられるのが、リフォーム向けのタイプ。施工しやすい工夫が施された商品が増えてきています。たとえば、重ね張りが可能な薄いタイプのフローリング。既存の床材の上から施工することができるので、工事期間が短く済むのが特徴です。複合フローリングだけでなく、無垢のタイプでもみられるようになりました。
選び方・取り入れ方のポイント
住まい全体の床をすべてフローリングというプランも多くみられるようになりました。同じ素材で統一感を出してもいいですし、部屋ごとに変化を持たせてもいいでしょう。LDKがひとつの空間となるケースも多いので、キッチンまわりに必要な機能性などにも配慮して選ぶこと。子供部屋や寝室などは、足触りなども考慮したいポイントです。
フローリングなど内装建材を選ぶ際には、実物を確認することが大切です。広い面積で使用する建材なので、可能であれば、ショールームで大きなサンプルで確認を。用いる時と同じ状態で色味やデザインをチェックできるように、床に置いて検討することがポイントでしょう。手触りを確認したり、実際に素足で歩いてみることもおすすめします。