2021/09/14更新1like2122view

著者:岩間光佐子

トップライト(天窓)の種類や実例、プランニングの注意点

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

心地よい住まいを実現するためには、窓計画は重要なポイントのひとつ。窓のスタイルにはさまざまなタイプがありますが、太陽の光をたっぷりと取り込むことができるトップライト(天窓)に魅力を感じる方も多いでしょう。ここでは、トップライトを検討する際に知っておきたい性能や特徴をまとめました。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

トップライト(天窓)とは?

トップライトとは、屋根(上方)に取り付けられた窓のことで、天窓やルーフ窓(ルーフウィンドウ)とも呼ばれることもあります。太陽の光をたっぷりと取り込むことができ、明るい空間を実現することができるので、新築やリフォームの際に取り入れるプランも多くみられます。窓サッシ商品としてもいくつかの種類があり、設置する場所や使い勝手に合わせて選ぶことが可能です。

トップライトを設置するメリット・デメリット

間取りや空間プランにもよりますが、トップライトを設けた場合のメリットとデメリットには下記のようなことが考えられます。

メリット

一般的にトップライトを設けるメリットは、豊かな採光を得られること。同じ大きさの窓と比べて3倍の採光を得られるといわれています。ひとつの壁面からの光よりも、上からの光は空間の隅々まで行きわたるので、空間に広がりを感じることも。空を望める開放感も魅力でしょう。

また、密集地や周囲に高い建物がある場合、窓を設けても終日光が入りづらかったり、プライバシーが守りにくいこともあるものです。上からの光を取り込むことができるトップライトは、明るさとプライバシーの確保には有効な方法のひとつと言えます

光だけでなく、開閉式のトップライトを設けることで、家の中に風が通り抜けることもメリットのひとつ。上下階の温度差によって風が通り抜け、家全体に新鮮な空気を取り入れることが可能。換気効果も高まるでしょう。
ゆらり建築事務所 安藤亨英・節子「庭とつながる家~自然を身近に感じる家~」

デメリット

プランニングにもよりますが、トップライトのデメリットは、南や西面などに設置した場合の真夏の暑さ。設置場所によっては、スクリーンやブラインドなどの設置を検討したり、日射しを遮り紫外線の侵入を防ぐ遮熱複層ガラスなど用いることも配慮しておきたいものです。また、人によって感じ方は異なりますが、雨音が気になるケースもあるかもしれません。

そのほか、設置場所などにもよりますが、掃除やお手入れが厳しい場合もあります。手が届く場所で、サッシ部分が回転するタイプであれば外側のガラス面も掃除が可能。高所の場合は汚れのつきにくいガラスなどを用いても。手の届かない場合は、危険を伴うので専門の業者さんを依頼するなどした方がいいでしょう。

トップライトの種類

建材商品としてのトップライトには、いくつかの種類があります。設置する場所や使用する方法に合わせて選ぶことが大切です。

スタイル

トップライトのスタイルには、固定式(フィックス)と開閉式があります。固定式の場合は、あくまでも光を取り込むことを目的とする場合にプランニングされます。光だけでなく、風を取り込みたいという場合は開閉式を選ぶようにしましょう。

開閉操作

トップライトは高い位置に設置するため、開閉操作方法も十分に検討することが大切です。建材商品としては、手動式と電動式が揃っています。手動式には、通常の窓のように手元で開閉するタイプ。また、手の届かない高所に設置した場合に適する、棒状のフックのようなもので開閉操作するタイプもみられます。

電動式は、壁付けのスイッチや手元のリモコンで操作するタイプ、雨が降ると自動で閉まるセンサーが付いたタイプや設定温度に対して自動に開閉する温度センサー付きのタイプ、タイマーで日時・曜日・開閉幅などを設定することも。

最近では、スマートフォンで遠隔操作が可能な商品もみられます。専用のアプリを利用することで、外出先からも操作することが可能です。その他、リフォーム向けの商品として、ソーラーパネルと蓄電池を内蔵した配線が不要のソーラータイプもあります。

窓枠やガラス素材

トップライトの室内側の枠部分の素材は木製や樹脂製など。組み込まれるガラスは、複層ガラスや遮熱複層ガラス、強化ガラスや合わせガラス、網入りガラスなど、条件に適したタイプを取り入れることができます。汚れのつきにくいガラスが設定されている商品もあります。

また、専用の網戸やブラインド、スクリーンやブラインドなどを揃えている商品もありますし、ブラインドメーカーにはトップライト向けの商品もみられます。ブラインドやスクリーンにも電動タイプ、手動タイプが揃っているので、設置する場所に適したタイプを選ぶことが大切です。

トップライトを効果的に用いた実例

プランニングにもよりますが、トップライトからの採光が効果的なのは、暗くなりがちな北面や東面などでしょう。

たとえば、北側にプランニングされることが多いバスルームや洗面、キッチンなどに設置することで、明るく爽やかな空間となります。洗濯物を部屋干しするユーティリティなどでも光を通し風を得られるため重宝するでしょう。

また、光を取り込みにくい階段スペース、中廊下、玄関ホールなどに設ければ上からの光によって明るさを確保することができます。その他、制限がある場合もありますが、小屋裏やロフトの採光や通風のために設置してもいいでしょう。

洗面

湿気が溜まりやすい洗面やトイレ、ユーティリティーなどに設ければ、換気にも役立ちます。

キッチン

収納スペースを確保するため壁面に窓を取れない場合、トップライトを設けることで明るい空間が実現するケースもあります。

階段

暗くなりがちな階段スペースに上からの光が差し込むことで階下まで明るくなるでしょう。
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玄関

閉鎖的になりがちな玄関ホールを明るい空間とすると同時に通風も確保できます。

小屋裏やロフト

多目的な使用方法が考えられる小屋裏やロフトに設けることで心地よい空間が生まれますが、夏場の暑さには十分に配慮しておくことが大切です。

子供部屋・寝室

採光・通風という実用面はもちろん、朝日を浴びての目覚め、夜空を望みながらの就寝などといった心地のよさは魅力でしょう。

プランニングの注意点

トップライトを取り入れる際には単体で考えるのではなく、空間全体として検討することが大切です。トップライトに魅力を感じているのであれば、間取りと同時に、設置する目的やイメージを設計者に相談するようにしましょう。可能であれば、ショールームなどで商品を確認し、開閉操作を行ってみること。モデルハウスやSUVACOの実例などで空間のイメージを参考にするのもいいでしょう。

最近では、異常気象も多く、屋根面に取り付けるトップライトは、雨水の侵入や開閉部分の不具合などが気になるものです。商品的には雨漏りなどへの性能も高まってきていますが、不安な点があれば事前に設計者やメーカーに確認を。メーカーによって、数年ごとの点検を行うシステムなどを用意しているところもあるので、取り入れる際には、保証やメンテナンス体制、不具合などの際の連絡先などもチェックしておくこともポイントです。

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