2021/09/08更新1like1985view

著者:岩間光佐子

階段プランの種類と特徴&実例集〜螺旋(らせん)階段、リビング階段 etc.

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

建物の上階と下階を結ぶ階段。階段には、さまざまな種類やスタイルがありますが、安全に上り下りできることはもちろん、使い勝手やデザイン性も配慮したいものです。階段の種類や知っておきたいプランニングの注意点、参考にしたい実例などをまとめました。

SUVACOが専門家をご提案

家づくり・リノベーションはどこに頼むのがいい?SUVACOがご要望に合ったプロを提案します。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

階段プランの考え方と基本の構成

建物の上下階を結ぶ階段。そのスタイルやデザインにはさまざまなプランがありますが、検討する際には、間取り全体で考えることはもちろん、動線や使い勝手、安全性などに配慮することが基本です。

実際の家づくりでは、設計担当者からの住まい全体の間取りの提案とともに検討することになりますが、デザイン的なこだわりがあったり、リビング階段を取り入れたい、緩やかな勾配にしたい、など希望がある場合は、早めに伝えておくようにしましょう。

一般的な階段は、踏板(足を乗せる板)、蹴込み板(立ち上がり部分で引っ込んでいる所の板)、側桁(踏板や蹴込み板を受ける、階段の両側にある斜めの材)などで構成されています。安全面などから標準的な寸法は、建築基準法によって定められています。たとえば、住宅の場合、踏板の上面である踏面(ふみづら)寸法は15センチ以上、階段の一段分の高さである蹴上げ(けあげ)寸法は23センチ以下。幅は、有効幅が75センチ以上となっています。

中上 均「豊中 2Fがリビング・ダイニングの家」

階段の種類と特徴

住宅で用いられる階段には、分類方法によって、いくつかの種類があります。

昇降方法

■直階段(直線・直進階段、鉄砲階段)
まっすぐ直線に上り下りするタイプ。省スペースのため狭小住宅などで用いられるケースも多くみられます。

■折り返し階段(屈折階段、行ってこい階段)
途中に踊り場を設けるなどして、折り返すタイプ。直階段に比べるとある程度の面積が必要になります。

■かね折れ階段(折れ階段、折れ曲がり階段)
途中の踊り場などでL字型(直角)に曲がるプラン。

■螺旋(らせん)階段
螺旋状のデザインが特徴。限られたスペースでも設置可能ですが、踏み板が三角形のようになるため安全性には配慮が必要です。

どのようなスタイルにしても、一般的に踊り場を設けたプランの方が足を滑らせても下まで落ちる心配がないがないため、安全性が高いと言われています。

形状・デザイン

■箱(型)階段
踏板の下に蹴込み板を設ける一般的に多くみられるタイプ。安定感のある形状と言えるでしょう。

■オープン階段
蹴込み板を設けないタイプで開放的なデザインが特徴。光や風を通し、空間に広がりを生み出すことも。シースルー階段やスケルトン階段とも呼ばれます。

箱型階段とオープン階段を組み合わせるプランも考えられます。

素材

■木製
一般に多く見られるのが木質系。建材商品としても豊富に揃い、むく材や集成材、突板、化粧シート仕上げなどがみられます。

■金属製
アルミやスチールなどを用いたタイプ。モダンなデザインの建材商品も揃っています。

■ガラス
強化合わせガラスなどを用いたタイプ。開放的でモダンなスタイルが魅力です。

踏板と手すりを異素材で組み合わせたデザインもみられます。

配置プランなど

■リビング階段
玄関ホールや廊下ではなく、リビング内に階段を設けたプラン。コミュニケーションを図りやすいことなどから、子育て世代を中心に人気のタイプです。

■階段収納
階段を利用して収納スペースを確保するプラン。段板下の空間に物置スペースを設けたり、階段の段差を利用して引き出しなどを設けるプランも。箱階段のようなデザインもみられます。

螺旋階段のメリットデメリット

螺旋状のデザインの螺旋階段は、さまざまな素材のタイプがみられます。建材商品としても木製や金属製などが揃い、異素材の手すりと組み合わせたタイプなどもみられます。

メリット

■省スペース・設計の自由度
縦方向の円筒の空間を用いるため、限られたスペースで設置することが可能。狭小住宅などでも取り入れやすいタイプです。また、設置場所が比較的自由になるのも魅力でしょう。

■デザイン性
階段そのものに存在感があるタイプも多く、おしゃれな雰囲気を生み出すことができます。デザインによっては、オブジェのように空間のポイントにもなるでしょう。

■採光・空間の広がり
吹き抜けのように上下階の空間がつながるため、上階からの光が下階まで届き、明るく広がりのあるスペースが生まれます。

デメリット

■上下移動の不安
踏板が柱を中心に三角形のようになるため、足の置き場が狭くなりがちに。また、回転しながらの上り下りとなるため、安全性には十分な配慮が必要です。

■荷物運搬の難しさ
大きな荷物を持っての上り下りに不安を感じる場合も。大型家具や家電などの運搬が難しいケースもあります。

■冷暖房効率
プランニングや建物全体の断熱性能にもよりますが、冷暖房効率が低下してしまうケースもあります。設置場所の検討、全館空調を取り入れるなど工夫したいものです。

リビング階段のメリットデメリット

一般的にリビング階段は、リビングやダイニングなど、家族のくつろぎのスペースに設けた階段のこと。リビング内(イン)階段と呼ばれることもあります。建築的な用語というよりは、多くみられる玄関ホールや廊下近くに設けられる階段とは異なる階段プランを表す名称です。

メリット

■家族のコミュニケーション
住まい全体の間取りはもちろん生活スタイルにもよりますが、コミュニケーションが図りやすいことに魅力を感じる方も多く、子育て世代に注目されています。たとえば、2階に子供部屋があるプランでは、帰宅時などには家族のいる1階のリビングを通ることになり、玄関から直行することを防ぐことができます。声をかけやすい工夫のひとつと言えるでしょう。

■スペースの有効活用
プランニングによって異なりますが、一般的には、階段部分のスペースをリビングの一部に取り込むことができるので、空間を有効に利用することが可能です。

■空間的な広がり
リビングに階段がプランニングされることで、空間的な広がりはもとより、上階からの光が下階に差し込むため明るさを確保することができるでしょう。

その他、デザイン性の高い階段を設けることで空間のポイントになることもあります。

デメリット

■冷暖房効率
プランニングや建物全体の断熱性能にもよりますが、リビングに階段を設けることで、冷暖房効率が低下してしまうことも。階段の形状、スタイルによっては、上下階いずれかに扉を設置してもいいでしょう。開放しておくことができる引戸タイプが適しています。

■音やニオイ
階段の形状や設置方法にもよりますが、リビングのテレビ音などが上階(下階)まで聞こえたり、子供部屋で遊ぶ声が響くことも。また、LDKがひとつの空間でキッチン近くに階段がある場合、調理中のニオイが2階まで届いてしまうケースもみられます。

■プライバシー
生活スタイルによっては、リビングに階段があることで落ち着かないこともあるようです。たとえば、休日にお子さんの友達が遊びに来た場合、リビングも片付けなければならない、ゆったりくつろげない、などといった声も。ライフスタイルに合わせたプランニングが大切です。

階段プランの注意点

どのような階段とするにしても、まず優先させたいのはまず安全性。誰もが使いやすく、安全に上り下りできることが基本です。特に、幼いお子さんや高齢の方がいらっしゃる場合、滑って転んだり、落下しないような配慮が必要でしょう。

たとえば、昇降しやすいように、緩やかな勾配としたり、幅を広くしてゆとりを持たせたり、滑りにくい仕上げなども検討を。手すりの設置は建築基準法により定められているので、設置位置やどのような手すりのタイプとなっているか、説明を受け確認することも大切です。また、夜間の安全性を考慮して、通常の照明器具だけでなく、足元灯なども取り入れたいものです。

その他、大きな家具や家電製品など、引越し時や買い替え時に上階への運搬が必要になることもあります。プランニングにもよりますが、螺旋階段や折り返し階段、幅の狭い場合などは難しいケースも。運搬での利用もイメージしておくことが大切です。特に、2階にリビングを設けた場合は注意するようにしましょう。

階段は意外にスペースを必要とするものです。間取りを検討する際には、さまざまな制約から最小限のスペースを確保するだけになってしまうこともあるかもしれません。しかし、階段の使い勝手の良し悪しは、日々の暮らしの快適さにも大きく影響するもの。ライフスタイルや家族構成に合わせて、優先順位を明確にしてプランニングすることが大切です。

また、インテリアにも大きく関わる階段は、床材や扉材など内装建材とのコーディネートも重要です。建材メーカーのショールームでは、素材感や色味などの検討を。SUVACOの実例にも多様な階段デザインがみられるので参考にするといいでしょう。
お気に入りに追加

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

SUVACOは、自分らしい家づくり・リノベーションをしたいユーザーとそれを叶えるプロ(専門家)とが出会うプラットフォームです。

家づくりについて学ぶ

「自分らしい家づくり」に大切な、正しい家づくりの知識が身につくHowTo コンテンツ集です。

専門家を無料でご提案

家づくり・リノベーションはどこに頼むのがいい?SUVACOの専任アドバイザーが全国1,000社以上からご希望に合うプロをご提案します。

住宅事例をみる

リノベーション・注文住宅の事例を見たい方はこちら

家づくりの依頼先を探す

リノベーション会社や建築家、工務店など家づくりの専門家を探したい方はこちら

会員登録を行うと、家づくりに役立つメールマガジンが届いたり、アイデア集めや依頼先の検討にお気に入り・フォロー機能が使えるようになります。

会員登録へ

同じテーマの記事

同じテーマのQ&A

住まいの記事 カテゴリー一覧

専門家探しも、家づくりのお悩みも
SUVACOのアドバイザーに相談してみよう

専門家紹介サービスを見る