2019/12/12更新2like12679view

著者:SUVACO編集部

天窓がもっと身近に!陸屋根にも使える新しい天窓で、心地よい光と暮らす

天窓(トップライト)から降りそそぐ光に満ちた暮らし。

憧れを抱きつつも「防水や耐久性はどうなの?」と心配する声も聞きますが、最近の天窓は定期的なメンテナンスさえ怠らなければ、とても快適に使えるアイテムに進化しています。

SUVACO編集部は、陸屋根(平屋根)や傾斜が緩い緩勾配(かんこうばい)の屋根でも使える天窓が新しく登場するという噂を聞きつけ、天窓の国内シェアNo.1メーカーである日本ベルックスに突撃取材しました。

お手頃価格もうれしいこちらの天窓「VELUX FCM」。室内側の枠がなく、空をきれいに切り取れる仕様など“天窓のある暮らし”を始めたくなる要素が盛りだくさん!それでは、注目の新天窓の特徴と天窓のある暮らしの魅力をご紹介していきます

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

新しい天窓「VELUX FCM」についてのお問い合わせ先

雨にも熱にも強い!今の天窓はこんなに進化している

部屋側に枠がなく、空がきれいに切り取れる新しい天窓「FCM」の施工例。パティオやリビングのみならず、お風呂や洗面所に光を取り込むのも気持ち良さそうです!

部屋側に枠がなく、空がきれいに切り取れる新しい天窓「FCM」の施工例。パティオやリビングのみならず、お風呂や洗面所に光を取り込むのも気持ち良さそうです!

天窓からの自然光は、明るく気持ちが良いだけでなく、お部屋に魅力的な表情をつくり出します。また、壁面の窓と違い、軒や近隣の建物の影、太陽の向きなどによる影響を受けにくく、プライバシーを保ちつつ、昼間のほとんどの時間帯を明るく過ごすことができます。そして何よりお部屋の中にいながら、空や雲の移ろいを見上げる開放感…。

「いいなあ、天窓!」と憧れつつも、導入をためらってしまう理由1位は、おそらく雨漏りへの心配ではないでしょうか。そんな懸念にお応えするべく、今回ご紹介をする日本ベルックスをはじめ、天窓メーカーは40年近く製品の改良を重ねてきたとのこと。結果、最新の天窓は防水性能が非常に高い構造になっているんです。

また、「自然光の気持ち良さは魅力的だけど、暑くならないの?」という心配もご無用。
後ほど詳しく解説しますが、窓ガラスの性能も高くなっていて、遮熱性に優れたガラスが使用されたタイプなら、部屋への熱や紫外線も防いでくれます。

気をつけるべきポイントはメンテナンスをおろそかにしないこと。…と言っても、基本は屋根材の老朽も気になってくる10年単位での定期チェックで大丈夫。屋根材のメンテナンスとタイミングを合わせて、メーカーのアフターメンテナンスサービスを活用するといいですね。

先行するオーストラリアでは天窓の火付け役に。新しい天窓「VELUX FCM」とは?

SUVACOに登録している家づくりの専門家から寄せられた質問も携えて、日本ベルックスのショールームを訪問しました。

今回、SUVACO編集部が次々に繰り出す疑問に答えてくださったのは、日本ベルックス 営業推進部室長の中野 要(なかの かなめ)さん、営業マーケティング企画部長の筒井 一郎(つつい いちろう)さん、デザインを担当する二級建築士の柴田 隆行(しばた たかゆき)さんの3人です。
日本ベルックスのショールーム前でパチリ。左から、柴田さん、中野さん、筒井さん

日本ベルックスのショールーム前でパチリ。左から、柴田さん、中野さん、筒井さん

―― 2020年1月に新しく発売される天窓、「VELUX FCM」(以下「FCM」と記載)の概要について教えてください。

中野さん:
日本の住宅の屋根は、約3割がフラット(平ら)または傾斜角度が緩い緩勾配(かんこうばい)と呼ばれる屋根なんです。でも、今まではプロがいうところの「2寸」、角度で言うと11°未満の屋根で使える住宅用の天窓はありませんでした。

ところが新しく発売予定の「FCM」は、フラットな屋根でも使っていただける天窓(※)なんです。おまけに他製品と比べ、お値段もとてもお手頃です。
※:「FCM」は屋根材が鋼板や塗布(塗膜)防水の場合、0寸~6寸=0°~31°で使用できますが、スレートでは2寸(11°)以上、瓦では2.5寸(14°)以上の勾配が必要になります。

筒井さん:
大工さんに寸法に合わせた2×6の立上げ枠をつくってもらい、「FCM」をその枠の上に載せるような形の設置方法なので、シンプルで簡単です。長く使って交換時期が来ても、取り外しや交換も楽なんですね。日本に先駆けて10年前に販売されたオーストラリアは、同じく屋根の傾斜が緩やかな住宅が多い環境ですが、「FCM」が注目されたことで、天窓の販売がそれまでの3倍以上に増えたという、天窓の火付け役となった実績がある製品なんです。
左のような大工さんがつくった屋根側の立ち上がりに、FCMをかぶせて(中)、ほぼ完成(右)。最後にネジで固定します。 (各写真の屋根材は左が鋼板、右側がシート防水の設置イメージです)

左のような大工さんがつくった屋根側の立ち上がりに、FCMをかぶせて(中)、ほぼ完成(右)。最後にネジで固定します。 (各写真の屋根材は左が鋼板、右側がシート防水の設置イメージです)

柴田さん:
設置が楽なだけではなく、室内から見たときにすっきりときれいな仕上がりにできることも大きな魅力です。筒井が話したように、枠を大工さんがつくれるので、室内の立ち上がり部分は壁や天井と同じ仕上げをしてもらえて室内側の枠は不要。天窓外枠は、部屋から見上げるとほぼ見えないんですよ。サイズも6種類ありますし、広い屋根なら10~20センチメートルくらいの等間隔で並べて設置すれば、広い面積から光が降り注ぐ素敵な空間をつくれますよ。


(SUVACO編集部)なるほど!今まで天窓をつけられなかった陸屋根でも、シンプルな工事で天窓のある暮らしが楽しめ、室内からの見た目はきれいでお手頃価格、とはいいことづくめですね。

それでは、いよいよSUVACOの専門家から寄せられたご質問も含め、「FCM」についてさらに詳しく教えてください!

【基礎編①】:様々な用途に対応できる、お値段とサイズ展開

※サッシ単体の場合、取付枠は材料現場調達・作成となります。詳しくは事前に施工説明書をご覧ください。/ ※取付枠を現場調達・作成できない場合は、オプション枠のキットをご購入ください。/ 屋根材に応じて施工キットをお選びください。/ 採光面積は標準おさまりを基に計算されています。内装仕上げによって異なります。

※サッシ単体の場合、取付枠は材料現場調達・作成となります。詳しくは事前に施工説明書をご覧ください。/ ※取付枠を現場調達・作成できない場合は、オプション枠のキットをご購入ください。/ 屋根材に応じて施工キットをお選びください。/ 採光面積は標準おさまりを基に計算されています。内装仕上げによって異なります。

上記は本体価格。こちらにプラスし、屋根材やサイズに対応する施工キット(税抜5,000円~30,000円)を選択して使用します。

【基礎編➁】:ガラスの性能や耐久性・安全性は?

ガラスの機能性や天窓の耐久性は、安心で快適な天窓ライフには欠かせません。「FCM」に使われているガラスについても詳しく聞きました。

「FCM」は2種類の複層ガラスから選択できます。
また、断熱性や紫外線カット、汚れにくいコーティング、安全性の高い合わせガラスなど配慮がたくさん。日本の気候に合わせたそれぞれの工夫をご紹介していきましょう。

【選択できるガラスその①:透明合わせ強化複層ガラス】
透明性を重視するならこちら。

室外側は、一般のガラスの3倍以上の強度を持つ強化ガラスを使用。室内側のガラスは、透明な合わせガラスで、ガラスとガラスの間に飛散防止のフィルムを挟み込んで、万一ガラスが割れるようなことが起きても、室内に破片が飛び散らない配慮がされています。

【選択できるガラスその➁:型板網入り強化複層ガラス】
プライバシーを重視する方にはこちら。

室外側は上記と同じ強化ガラスを使用。室内側のガラスが、金網(ワイヤー)を封入した上に、型模様を施した不透明ガラスになっています。網入りガラスにすることで、こちらも割れても室内に破片が飛び散らない効果が。

ここから先は、上記2種類のガラス機能についてご紹介します。

【業界唯一のLow-Eトリプルコーティング&ウォームエッジテクノロジーで熱効率を向上】
遮熱・断熱・強化ガラスを使用し、2枚のガラスの間に熱の伝導を抑えるアルゴンガス層を設けた複層ガラスになっているので、一般の複層ガラスに比べて断熱性が約2倍。また、「ウォームエッジテクノロジー」(下写真)を採用し、夏は冷房効果を高め、冬は室内の暖気を外部に逃がしにくい効果が期待できます。

その上、最先端の3重コーティングを施すことで、日射熱の71%を跳ね返し、光のみを通過させます。UVカット率はなんと96%~99%と、紫外線のほとんどをカット!快適かつ省エネを実現しています。
(左)Low-Eトリプルコーティング (右)通常の複層ガラスは、角の所が直角。その場合はガラスとガラスの間にある銀色の金属部分(スペーサー)は、縦と横で切れた状態のものを隅でくっつけるため、この継ぎ目から熱が逃げてしまう。それを防ぐためにスペーサーを切らず、隅に丸み(アール)をつけ、スペーサーを曲げて仕上げることで熱を逃がさない。これが「ウォームエッジテクノロジー」。

(左)Low-Eトリプルコーティング (右)通常の複層ガラスは、角の所が直角。その場合はガラスとガラスの間にある銀色の金属部分(スペーサー)は、縦と横で切れた状態のものを隅でくっつけるため、この継ぎ目から熱が逃げてしまう。それを防ぐためにスペーサーを切らず、隅に丸み(アール)をつけ、スペーサーを曲げて仕上げることで熱を逃がさない。これが「ウォームエッジテクノロジー」。

【Neat®ガラス】
親水性の高いコーティングをほどこし、雨に当たることで目立つ汚れが流し落とされ、汚れがつきにくいよう配慮されています(※)。上記の「透明合わせ強化複層ガラス」のみ対象です。

※:汚れがつきにくいガラスですが、清掃不要なガラスではありません。
【「FCM」の安全性・防犯性】
普通のガラスの3~5倍の強度を持つ強化ガラスを使用している室外側のガラスは、時速172km/hでミカン大の雹(ひょう)を打ち込む自社試験でも割れないほどの強度。また、耐荷重試験では最も弱い部分で110kgの重みに耐え、サッシはS6等級の耐風圧性、最高等級(W5等級)の水密性、A4等級の気密性も取得しています。天窓本体の枠部分も対候性が高められていて、屋外で使用された際に、変形や変色・劣化などを起こしにくい処理がされています。

【中級編】:防火対策は?寒冷地では?プロから寄せられた質問をぶつけます

今回の取材に先駆け、SUVACOに登録いただいている家づくりの専門家から、「FCM」への質問を募集しました。そこに寄せられたプロならではの質問にも答えていただきました。

【質問1:防火対策について】

―― 「準防火地域で使用できるか」というご質問を頂いていますがいかがでしょうか。

柴田さん:
防火上の規定では、天窓は「外壁の開口部」ではなく「屋根の開口部」とみなされます。耐火・準耐火建築では、30分の耐火性能が求められます。またガイドラインである国土交通省告示では、家の中からの内火対策として内側の鉄の補強+網入りガラスが必要になります。

「FCM」は外装が不燃材であるだけではなく内側の対策も考慮しており、防火オプションとして防火スチールカバー付きの「防火枠キット」をご用意しています。

「準防火地域で使用できるか」というご質問に対しては、平屋や2階建てであれば防火オプションがなくてもまず大丈夫、3階建ての場合は防火オプションをお勧めします。

ただし、天窓の防火対策は判定を行う担当官の判断にゆだねられる余地があるため、最終的には各地の行政・申請機関の判断に従ってください。
筒井さんが指さしている右側の銀色の部分が「防火スチールカバー」。取り付けた際には壁材で隠れます。

筒井さんが指さしている右側の銀色の部分が「防火スチールカバー」。取り付けた際には壁材で隠れます。

―― また、「防火設備への対応について教えてほしい」「防火窓認定がとれているか」というご質問も頂いています。

筒井さん:
上記の配慮はしていますが、天窓は防火設備の対象外なんです。天窓については、認定制度(試験規定及び認定)が今のところ存在していません。そのため、国交省の告示に従った材料を使って対応しているのが実情です。


【質問2:寒冷地の積雪・凍結について】
―― 積雪地の北海道で使用可能か、また、凍結は問題にならないか、というご質問を頂いています。

筒井さん:
多雪地域でのご使用条件は、天窓の周辺部に雪が溜まらないように立ち上がりを高くするなどの施工をすること。もう1つの条件は、別途準備中の積雪荷重の資料(※)をご判断いただき、耐積積雪量を超える前に雪おろしをしていただくことが必要になります。

※:資料をご希望の場合は日本ベルックスにご連絡ください。連絡先はページ下部にリンクを掲載しています。

―― 凍結はいかがでしょうか。

柴田さん:
極寒の地域では凍結を起こしにくい工夫や、積雪に対する上記の条件を考慮していただく必要があると思いますが、基礎編➁のガラスや天窓の機能でご紹介したように、水密性能、耐荷重、耐風圧、気密性や雹(ひょう)打ち込み試験に耐えていますので、寒い地域でも、条件の範囲内では強度的に安心してお使いいただけると思います。

【質問3:ブラインドはありますか?】
筒井さん:
メーカーとしての専用ブラインドは現在販売予定がないのですが、ご要望がある場合は対応できるブラインドメーカーさんをご紹介できますので、ご相談ください。

【質問4:特寸サイズのオーダーはできますか?】
柴田さん:
現在、特寸対応は予定していません。6サイズ展開しており、間に仕切りは必要ですが、2つ以上を近づけて設置していただくことで、広い採光を実現することも可能です。

―― 「できるだけ横幅の長いトップライトが欲しい」とのご要望の声もあるのですがいかがでしょうか。

柴田さん:
6サイズのうち、最も横幅が広いものは1,257mmあります。こちらは日本ベルックスの従来品よりも横長の製品になっています。

廊下や軒先など壁際で並べて使用すると、スリット状に長く光が入って、光のグラデーションがきれいに出ると思います。

【質問5:FCMのメンテナンスはどのくらいの期間保証されますか?】
柴田さん:
10年保証です。設置や取り換えがシンプルで簡単かつローコストなので、安心点検(※)のような保証の延長を望まれるのであれば、FCMは10年を目安に交換していただくことで保証延長を考えていただけるのではないでしょうか。

※:日本ベルックスは、ベルックス製天窓を対象としたガラス周りの防水材の交換、部品の点検・確認・補修、グリスの補充、ガラスの清掃(屋根側のみ)などを行う「10年目の安心点検」を有料で行っており、10年目の「安心点検」を受けていただくことで「10年間の漏水保証」を20年に延長するサービスを適用している製品があります。
どの質問も丁寧にこたえて解説してくださる皆さん。柴田さんは風邪をおしてご参加くださいました。

どの質問も丁寧にこたえて解説してくださる皆さん。柴田さんは風邪をおしてご参加くださいました。

【上級編】:防水機能、結露対策はどうなっている?

ここからは、一般ユーザーの方にはなかなか解りづらい構造的なお話に入ります。SUVACO編集部スタッフも、日本ベルックスの皆さんからしっかりレクチャーしていただきました。

一番心配な水もれへの配慮もさまざまな工夫がされていて、納得の安心設計です。

【質問1:「FCM」が従来品とは違い、陸屋根や緩勾配の屋根で使えるのはなぜですか?】
筒井さん:
今までの天窓は、上下左右が決まっていて、左右下の外装板(カバー)は設置時一度外し、防水シートや水切りの施工後、これらを覆うようにはめ直すんです。そのはめ込み部の水密材が経年などで弱くなりやすい。勾配があれば、水は流れていくので入りにくいのですが、勾配が緩いと、その隙間から水が入ってきやすくなるんですね。

「FCM」は、天井材や防水シートを施された立ち上がりに蓋のようにかぶせる形なので、その枠のはめ込み部分の弱さがないんです。

柴田さん:
また、従来品は左右と下の外装板を外すと言いましたが、上の部分は水切りが被る方式で隙間がなく、水が入りません。勾配を利用して水を下に流し、下部に水を排出するための排出口がついているので、勾配が強い屋根には適しています。

一方で勾配が緩いと、排出口から水が逆流してしまう可能性があるため、陸屋根や緩勾配の屋根では使えませんでした。
「FCM」は、上からすっぽりとフタをしてしまう仕様なので、反対に緩い勾配向きというわけです。

【質問2:陸屋根の場合、ガラスの上にたまった水の侵入はないのでしょうか。また結露の対策は?】
柴田さん:
「FCM」を含め、主な天窓のガラスと枠の境はシリコンのシール材で塞いでいます。従来品の場合、シール材が経年劣化しても勾配があれば下方向に流れていくのですが、平たい0°では、そこから水が入ってくる可能性があります。

「FCM」の場合は、万が一、シール材の劣化によってガラスとの境界から水が入った場合も、窓の内側四周に下写真のようなゴムの傘がついていて、ゴムに沿って水が流れ、室内に入ることなく外側に水を誘導し抜けていく。枠の上にかぶせる構造に合わせた設計になっているんですね。

筒井さん:
結露についても、窓の隅の方に起きる場合が多いので、この構造によってほとんどのケースは外に流せると思います。ただ、部屋の空気環境次第で半端ではない結露が生じた場合は、ガラスから直接ポタっと落ちてしまう可能性もなくはありません。
このようなゴムがぐるっと周囲についていて、室内に水が入らないよう誘導します。

このようなゴムがぐるっと周囲についていて、室内に水が入らないよう誘導します。

【質問3:防水シートはどのように施工するのですか?】
筒井さん:
下写真の左半分が鋼板(ガルバリウムなど)の屋根の施工例、右がシート防水(塗布防水)のおさまり例です。

鋼板は屋根勾配に対して、横向きに並べる横葺き(よこぶき)と縦に並べる縦葺き(たてぶき)がありますが、緩勾配の時は雨を溜めないように、縦葺きにすることが暗黙の了解になっています。縦葺きの方が水はけが良いからです。

メーカーとしては少しでも天窓周辺から雨水が入らないように、天窓を設置する箇所は他の部分よりも一段上にステージを組むことを推奨しています。天窓の周囲を一段高くし、水の通り道を天窓の周囲より下に遠ざけることで、さらに水密性を高められるんですね。

―― 下写真の鋼板側赤丸部分に見えているグレーのシートは、防水シートですよね?
筒井さん:
はい、これは粘着性の防水シートになります。「FCM」は、4つの屋根材で使用されることを想定しています。スレート、瓦、鋼板、塗布/塗膜防水の4つで、それぞれに対応する施工キットを出しています。

そのキットのうち、スレートと鋼板だけは、「取り合い」と呼ばれる屋根と枠の間の一番水が差し込みやすい部分を強固にカバーしようという考えから、キットに粘着性の防水シートを入れています。

通常の防水シートは裏にノリが付いておらず、タッカーというホチキスのようなもので留めるだけなので、防水性が粘着性に比べて弱くなるからです。

瓦や塗布/塗膜用のキットには、なぜ粘着シートを入れていないとかというと、瓦の場合は2.5寸以上の勾配を設けてもらう仕様となり、比較的水が流れるため、現場にて粘着性ではない通常の防水シートを使っていただけると考えます。

また塗布/塗膜防水のシートは、それだけで十分な防水性能を兼ねる屋根材のため、防水シートすら必要がなくなります。
左右で屋根材を分けて、左が鋼板、右がシート防水(塗布防水)の設置イメージ

左右で屋根材を分けて、左が鋼板、右がシート防水(塗布防水)の設置イメージ

「FCM」をこんなふうに使ってもらいたい!

―― 御社として、「こういう使い方がおすすめ!」という使い方はありますか?

柴田さん:
フラットルーフで使っていただきたいです。ランダムに配置してつけたり、連窓してつけたり、開放感を味わっていただけると良いのではと考えています。住宅ならリビングや廊下に使うのがおすすめですね。

筒井さん:
また、図書館や資料室、体育館など大きな施設の場合、住宅と違って壁と壁とが遠いので、壁の窓だけだと光が中央まで届かないんです。建物が大きくなると屋根の勾配は緩くなる傾向があるのですが、今まで安くて良い天窓がなかったので、あきらめられて人工照明を使っていた建物もたくさんあったと思います。

これからは「FCM」があるので、ぜひ屋根の中央に並べて使っていただき、自然光を気持ちよく取り入れてもらえればと思います。

何しろ上からかぶせるだけのシンプルな構造なので、躯体に規定のサイズで立ち上げさえつくってもらえれば、木造、RC、板金…と構造の種類を問わず使っていただけます。

中野さん:
開口の取れない更衣室などにもいいですね。資料室での使用も、紫外線除去率が99%なので、資料が日光で焼ける心配もないんです。並べたり、「田」の字に組んだり、いろいろと楽しめる製品です。

建築家 黒崎敏さんに聞く「FCM」の可能性

家づくりのプロを代表して、トップライト(天窓)やハイサイドライトなどで光を取り込んだ家も多く手掛けられている、APOLLO一級建築士事務所の黒崎 敏(くろさき さとし)さんに、「FCM」についてのご感想や可能性を伺いました。

黒崎さん:
今までになかった、フラット(0寸)でも使用できる住宅用の天窓ということがすごいですね。内枠がないという点も、今までにない表現が可能になりそうです。このような製品が出てきて、しかも安価というのは喜ばしいですね。

外から見た際も、従来の重さを感じる天窓と比較して「載せるだけ」と軽やかな雰囲気なので、壁面に使用する垂直ウィンドウもあえてサッシュレスにせず、「FCM」にあしらいを合わせた枠でつくっていくのもおもしろそうです。

連窓にする場合は、天窓と天窓の間を天井材や壁材と同じ仕上げにすると、どうしても連窓感が損なわれるので、天窓の外枠にあわせて少し暗めの色にするなど、1枚のサッシに見えるような工夫ができると良いと思います。

今後そのような使い方も想定して、日本ベルックスさんからブラインドのレールも兼ねた連窓用の付帯部材などをご提供いただけると、より使いやすくなりそうです。推奨施工図や施工例写真と共に、“この製品をこう使うことで生まれ得る空間”をメーカーさん側から発信してもらえると、つくり手のインスピレーションが沸きやすくなります。そのような展開も含め、これからに期待感が沸きますね。

天窓のことならお任せ!日本ベルックスの豊富な製品群

陸屋根でも使える新製品「FCM」の情報を詳しく伺ってきました。
さまざまな配慮がされた天窓で、安心して気持ちの良い光を感じられそうですね!

また、日本ベルックスには「FCM」以外にも豊富な天窓ラインナップが揃っています。

開閉できて通風・換気もできるものや、IoT(モノのインターネット)に対応し、気温や湿度、CO2レベルに応じて天窓やブラインドを自動開閉してくれるものまで…。

豊富な製品群は、日本ベルックスのオフィシャルサイトからご覧いただけます。

陸屋根で天窓をあきらめていた方も、天窓に憧れつつ水漏れの不安で踏み切れなかった方も、これを機に天窓のある生活を考えてみてはいかがでしょうか。
こちらのイメージは「FCM」を使用しています

こちらのイメージは「FCM」を使用しています

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