2021/10/21更新3like7080view

著者:岩間光佐子

和を巧みに取り入れるためのプランと建材選びの7つのポイント

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

最近は、自然を大切にし、環境にやさしい暮らし方が見直され、昔ながらの日本の住まいのデザイン、空間のつくり方を取り入れたプランもみられます。シンプルですっきりとした和のデザインに魅力を感じる方も多いでしょう。ここでは、和を取り入れた空間づくりのポイントをみていきます。

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和を取り入れた空間づくり

家で過ごす時間が長くなっている今、住まいや暮らしについて考えることが増えたという声も聞かれます。自然を大切にし、環境にやさしい住まい、昔ながらの日本の暮らし方も見直され、新築やリフォームでもどこか、和の要素を取り入れた空間づくりも多くみられるようになりました。

最近のインテリアのひとつの傾向であるシンプルですっきりとしたデザインは、和の要素にもみられ、ナチュラルな雰囲気を感じさせるスタイルも人気となっています。室内建材や扉材、設備機器にも、素材やデザイン、開閉スタイルなど、和のスタイルやテイストを感じるものも多く提案され、コーディネートもしやすくなってきています。

格子やパーテーションを用いて緩やかに仕切る

日本の建築で用いられている要素のひとつが格子。木材や竹などを直角に交差させたり、細い角材を等間隔に縦、もしくは横にのみ並べたデザインは、和モダン空間を演出するものとしてさまざまなアイテムに取り入れられています。

たとえば、格子のデザインを用いたパーテーションやスクリーンは、空間を緩やかに仕切りたい、という場合に適しています。建材商品には、固定タイプや可動(スライド)タイプ、格子のみのタイプや格子などの間に樹脂板などを用いたタイプなどがみられます。格子のみであれば、適度に視線を遮りながら優しく光や風を行き渡らせることも可能です。

たとえば、くつろぎの場と玄関ホールや階段スペースを仕切る、リビングとダイニングを分ける、ベッドルームに書斎コーナーを確保するなど、気配を感じながら空間の役割に合わせて仕切るのに適しています。在宅ワークのスペースや子供の勉強コーナーなどをプランニングする際にも向いているでしょう。

また、従来より日本の住宅に用いられている、光を通す障子や和紙を使ったスクリーンなどをインテリアに取り入れてもいいものです。最近では、新しい素材やデザインの障子などもみられ、和紙と樹脂などを複合させ強度を高めたもの、防炎タイプの障子紙やガラスを用いたタイプなども。張り替えも必要がなく、汚れにも強いのがメリットです。木材ではなく、変形しにくいアルミ格子のタイプもあり、モダンな空間にも取り入れやすいでしょう。

引き戸を用いて開放感のある空間に

室内建具の開閉方法には、開き戸(ドア)や引き戸、折れ戸などがありますが、横にスライドさせて開閉させる建具である引き戸は、襖や障子として、日本人にとっては身近なスタイルです。

引き戸の魅力は、まず、限られたスペースで広い開口部を得られることが挙げられます。開き戸の場合、扉の開閉スペースが前後に必要ですが、引き戸は、その開閉スペースが不要なので、狭い空間でも設置することができます。開け放しておいても、扉が邪魔にならず、風も通り抜けるとともに開放感を感じることもできるでしょう。出入口としてはもちろん、間仕切扉としても使い勝手がいいものです。

引き戸には、片引き戸・引き込み戸・引き違い戸・引き分け戸(両引き戸)などのスタイルがあります。片引き戸は、1枚の戸を左右どちらかを壁に沿って滑らせて開閉するもの。引き込み戸は扉を壁の中に引き込む(収納する)タイプ、2枚の引き戸を左右にどちらでも移動させ開閉することができるのが引き違い戸。引き分け戸は、左右にひき分けて開閉するもので、間仕切りとしてもみられます。

いずれも最近では、既存扉だけでなく建材メーカーの商品も充実し、扉や間仕切扉、収納扉など室内建具として、さまざまなデザインが提案されコーディネートしやすくなっています。

床座のスタイルに適した畳を取り入れる

和の暮らしのスタイルのひとつに床座が挙げられます。ソファや椅子でゆったりと過ごすのもいいものですが、床に座って胡坐(あぐら)をかいたり、ごろごろと寝転びくつろぎたい、と望む方も多いでしょう。

和室を設けた住まいも少なくなりましたが、和室に限らず床材として畳を取り入れることで、心地よいスペースを生み出すことも可能です。たとえば、リビングの一角に畳を敷きこんだスペースを設けるプラン。洗濯物を畳んだり、アイロンかけ、子供の遊び場としても活用できます。置き畳を利用すれば、用途に合わせて自由にレイアウトできるため、ライフスタイルに合わせて使うことができるでしょう。

また、畳を敷いた小上がりのような空間も考えられます。小上がりの段差の寸法によっては、掘ごたつを設けて団らんの場としても。籠れるような空間づくりをすれば、在宅ワークのスペースとしても適しています。

床材である畳には、畳表に一般的なイグサを用いたものだけでなく、ポリプロピレンなどと無機材料を混合したタイプや和紙を用いた商品などもあります。耐久性や耐水性、耐汚性などを高めたもので、使用目的に合わせて選ぶといいでしょう。さまざまな色や織柄などを揃えた商品もみられます。

手軽に畳スペースを実現できる建材として、置き畳のほか、椅子や収納としても使うことができる箱畳のような商品もみられます。間取りに合わせたさまざまなコーディネートを楽しむことができるでしょう。

内装材に自然素材を

内装に用いる素材にも和の素材は注目されています。特に自然の素材を用いたものは、環境にもやさしく、心地よさを生み出すアイテムとして人気です。

たとえば、和紙の壁紙は多様な商品が揃いますし、漆喰や珪藻土などもお馴染みの素材となってきました。塗り壁の場合、仕上げの方法によってイメージが異なるので、空間に適した仕上げを検討することもポイントでしょう。

また、床や壁材などに用いる天然石やタイルなどは、素材や色によって和の雰囲気を醸し出すもの。浴室などに用いることで温泉宿のような空間を実現することもできるでしょう。

土間スペースや縁側で内と外をつなぐ

家で過ごす時間が長くなっていることから、室内空間に屋外空間を取り込むプランも注目されています。外とつながる、庭を取り込む暮らしは開放感やくつろぎを感じることができ、家族のコミュニケーションの場ともなります。

最近では、日本家屋でみられる土間スペースを設けたプランも人気となっているようです。趣味の空間や子供の遊び場、ペットの居場所として、玄関の土間スペースを広げるだけでなく、リビングのコーナーや屋外テラスとつなげるなどのプランもみられます。ウチとソトの中間として多様な使い方ができるでしょう。

また、ウッドデッキも人気のスペースですが、縁側や濡縁のようなプランもいいでしょう。庭の作業途中で腰をかけたり、子供とのコミュニケーションの場としても利用できます。格子のデザインを用いたパーテーションと組み合わせるなど、さまざまなプランが考えられるでしょう。

伝統色、和のデザインのアイテムを取り入れる

水まわりに用いるアイテムにも、和の要素を持つ商品は多くみられます。たとえば、システムキッチンの扉材、システムバスの壁材などに、日本の伝統色を取り入れたものや素材感を持たせたタイプが揃っています。また、空間のアクセントにもなるアイテムとしては、壁タイルや洗面ボウルや衛生陶器など。陶磁器の伝統技術を用いたものや繊細な絵付け模様を施したものなどがみられます。

和を感じさせるエクステリア建材

インテリアだけでなくエクステリアにも和をイメージしたデザイン、建材商品は多くみられます。横にスライドさせて開閉させる引き戸タイプの門扉や玄関扉商品は豊富に揃っています。格子のデザインを取り入れた商品などもみられ、和モダンな住まいにも馴染むでしょう。

フェンスや目隠しにも、格子のデザインやルーバータイプなどが揃っています。直線的でモダンなデザインも多く、格子部分に用いられる角材などの形状に工夫を施し、敷地内からは開放感を実現しつつ、プライバシーを守ることができるタイプもみられます。障子のように気配を感じられる半透明の素材などを用いたパーテーションなどであれば、敷地と外部を緩やかに仕切ることができるでしょう。

そのほか、最近では、簾やよしずに代わる日差しを遮る建材商品も充実しています。注目されているのが外付のシェード(スクリーン)。デッキやテラスの床まで降ろし設置するタイプや2階のバルコニーなどに設けることができるものなど、さまざまなタイプがみられます。

和の要素を取り入れたコーディネートの基本は、自然素材(自然を感じさせるような素材)を用いてシンプルなプランとすること、直線のデザインでまとめること、広がりのある空間づくりとすることなど。一般的には、明るい色合いであれば数寄屋のような洗練された雰囲気に、深みのあるダークな色合いを用いると、古民家のような重厚さを感じることができるでしょう。

また、可変性のある空間づくり、開放感を感じさせる工夫なども上手に取り入れたいものです。和のデザインも多様なスタイルがあるので、モデルハウスやショールーム、SUVACOの実例などを参考にイメージすることをおすすめします。
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岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

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