2022/09/26更新0like1350view

著者:岩間光佐子

都市住宅・シニア向け。 住まいや暮らしに合わせて検討したい 「ホームエレベーター」の基礎知識

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

都市部の3階建て住宅やご家族に高齢の方がいらっしゃる場合など、ホームエレベーターを設置するプランがみられます。最近では、エレベーター商品の機能もデザインも高まり、選びやすくなっています。ここでは取り入れる前に知っておきたい基礎知識や注意点、商品傾向などをまとめました。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

ホームエレベーターとは?

ホームエレベーターとは、個人住宅に設ける1~3人乗りタイプのエレベーターのことです。

3階建て住宅、地階や屋上のある2階建て住宅、また、2階リビングなど家族のくつろぎスペースが上階にある間取りで取り入られるケースがみられます。高齢の方や幼いお子さんを持つご家庭、そのほか階段を使えない愛犬のために、という場合も。最近では、新築だけでなくリフォームをきっかけに設置を希望するケースもあるようです。

ホームエレベータを設置するメリットとデメリット

メリット

設置するメリットは、なによりも上下階への移動が楽になること。階段での昇降が難しい身体の不自由な方や車椅子の方、高齢の方や幼いお子さんでも楽に移動することが可能です。また、階段での事故の心配も少なくなることも挙げられるでしょう。

ほかにも以下のようなメリットが考えられます。
・都市部の多層階住宅では、日当たりのいい上階(2階リビングなど)での生活がしやすくなる
・地階の駐車スペースから上階のキッチンへの荷物の運搬が楽に行える
・洗濯物や布団を上階や屋上へ干しやすくなるなど、家事をスムーズに行うことができる

デメリット

一方、デメリットは、設置費用やランニングコストがかかること、ある程度のスペースを確保しなければならないことが挙げられます。

ホームエレベーターの価格とランニングコストの目安

ホームエレベーターの本体価格は、メーカーや商品によってさまざまですが、2人乗りであれば、おおよそ300万円台が中心でしょう。設置工事費や設備工事費はもちろんですが、建物の構造や階数、オプションの有無によってもその費用は異なります。

また、忘れてはいけないのはランニングコスト。ホームエレベーターは、法定点検などによって、常時適法な状態に維持し管理する義務があります。使用頻度にもより異なりますが、月々の電気代(月々500~600円程度)やメンテナンス費用もかかりますし、遠隔監視システムなどを契約すれば、その料金も必要です。油圧式であれば、オイル交換の費用もかかります。そのほか、固定資産税がアップする場合もあります。

ホームエレベーターの種類

エレベーターの駆動方式には、ロープ式と油圧式がありますが、通常の使用に関しては大きな違いはないと言われています。

ロープ式

カゴ(エレベータールーム)をワイヤーロープで吊り上げるタイプで、巻き上げ機で昇降させる方式と釣合おもりを使用するなどした方法があります。省エネや低騒音などが特徴です。

油圧式

電動ポンプで油の圧力を制御しながら上下させる運動を基本に、カゴを昇降させる方法。ふわりとした乗り心地が魅力です。
設置に関しては、鉄骨や鉄筋コンクリート(RC)造、木造でも取り入れることが可能。確保しておきたいスペースは、建物構造や定員、機種によって異なりますが、2人乗りであれば1畳弱程度から、3人乗りであれば1坪弱程度がおおよその目安でしょう。

ホームエレベーターの商品バリエーションと最新傾向

ホームエレベーターには、サイズやタイプ、デザインバリエーションが豊富にそろっています。1~2名乗りのコンパクトなタイプから3名乗り・車椅子と介助者が一緒に乗ることができるタイプなどもあります。

最近では、扉や内装部分のデザイン性も高まっており、シンプルモダンやナチュラルな雰囲気のものなど、居室のインテリアにも馴染むタイプもそろっています。LED照明や換気扇、ニオイを抑える機能などのオプションを設定した商品もみられます。
もちろん、メーカー商品の多くは、誰もが操作しやすいユニバーサルデザインとなっています。読みやすい操作パネルや音声アナウンス、液晶パネルなどもみられますし、車椅子の場合に背後を確認することができる鏡、離れた場所でも操作できるリモコンなども。手すりを設けたり、つまずきやすい敷居のすき間を小さくした商品もあるので、家族に適したタイプを選ぶことができるでしょう。

また、安全面では、扉に挟まる危険をセンサーで防止する機能、停電時にバッテリーで運転したり、故障で停止した場合に最寄り階まで自動運転するなど、万が一のトラブルに対応可能。遠隔監視システムなどを取り入れれば、安心感も高まります。

設置の際の注意点

エレベーターを検討する際には、まず、家族構成やライフスタイルなどを考慮した上で、エレベーターをどのように利用するのか、使用頻度はどのくらいか、何人で乗るのか、車椅子を使うのか、などをイメージしてみること。その上で、間取りや動線、使い勝手や費用を含め住まい全体のプランニングと同時に検討することが重要です。ホームエレベーター設置には確認申請など法的な手続きも必要なので、早めに検討するようにしましょう。

具体的なホームエレベーター選びでは、できる限り、メーカーのショールームやエレベーターが設置されているモデルハウスなどで、乗り心地や空間、操作性や音などを体感すること。合わせて、地震や停電、故障などに対する対策、通報システムや方法などの確認しておくことをお勧めします。

リフォームでも設置可能に!

ホームエレベーターは、一般的に新築時にプランニングする方が設置しやすい設備機器と言えるでしょう。リフォームでは、どうしても大掛かりな工事になりがちですし、工期的にも予算的にも難しい場合もあるようです。しかし、最近では、リフォーム対応商品の開発も進み、以前に比べるとプランニングしやすくなってきています。

メーカーのリフォーム向け商品は、建物本体に負荷をかけない構造であったり、屋外に自立した昇降路を設置するなど建物の主要構造部材などを取り壊す必要がないといった特徴があります。設置間口を縮小したタイプ、機器類を小型化するなどして、工事手間を減らしたタイプ、畳一枚のサイズの押し入れに納まるように工夫された商品もあるので、希望する場合は既存建物に適している商品があるか、事前に相談することが大切でしょう。

また、新築時には必要がないけれど将来は設置したい場合、スペースの確保や構造的な補強、電源配置などを済ませておく、という方法も考えられます。設置予定のスペースを収納や吹き抜けにしておくことで、設置する際にその空間を利用することができ、比較的工事もしやすいでしょう。
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