2020/02/23更新1like4665view

著者:SUVACO編集部

中古戸建てリノベーション時の費用目安と住宅ローン

マンションリノベと比較し、個別の物件に依存する部分が多く、事前に費用感の見極めが難しい戸建てリノベーション。なるべくわかりやすい目安を挙げてもらいました。表層的にきれいにするリフォームと、内側をスケルトンにするリノベーション、外壁まで手を入れるリノベーションの選び分けや、ローンの考え方についてもご紹介します。

“中古戸建てを買ってリノベーション”を考える時に知っておきたい知識や秘訣を、住宅業界の経験が豊富なSUVACOのアドバイザー 竹村に聞く、シリーズ第3弾です。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

中古戸建てリノベーションは費用の見極めがつきにくい

中古物件秘訣について教えてくれるのは、SUVACOアドバイザー 竹村 洋亮。大手リフォーム会社とリノベーション会社で実務を経験し、SUVACOアドバイザーに。業界の知見とその経験を生かし、家づくりを検討するユーザーの様々な相談に応えています。

中古物件秘訣について教えてくれるのは、SUVACOアドバイザー 竹村 洋亮。大手リフォーム会社とリノベーション会社で実務を経験し、SUVACOアドバイザーに。業界の知見とその経験を生かし、家づくりを検討するユーザーの様々な相談に応えています。

―― シリーズ第1弾の「“中古戸建てを買ってリノベーション”のメリット・デメリット」で、中古戸建はマンションリノベーションと比較してもらいました。その時、中古戸建はマンションと比べて、リノベーションの平均価格を出すことが難しいという話がありましたね。

竹村:
はい。中古の戸建て物件は、物件ごとに構造の組み方が異なり、断熱性などについても各々の差が大きいため、リノベーションの平均価格を出すことが難しいんです。予算や費用の見極めがつきにくいですね。

―― とは言え、気になる費用感。物件ごとの違いを踏まえたうえで、なるべくわかりやすく標準的な目安を挙げるとしたら?

竹村:
物件の構造や状態で左右されるうえ、リノベーション会社によって施工金額が異なるのであくまでも目安ですが、延床面積約100 ㎡の木造2階建ての中古戸建てを例に考えてみますね。予算を600万円、1,000万円、1,500万円、2,000万円以上の4段階に仮定して、それぞれでできることを挙げてみましょう。

予算600万円で設備や内装を一新:中古戸建てリノベーションの費用目安

竹村:
600万円の予算は、表面的なリフォームによって、家の中の内装・設備をひと通り新しくすることができる予算感です。具体的には下記のような内容です。

・トイレや浴室、キッチンなど、水回り設備の取り換え
・リビングや水回りの内装(床材、壁・天井のクロス)の張り替え

ただし、この予算内で上記すべてを行う場合、設備はメーカー既製品の標準クラスのもの、水回りの内装は「新建材」と呼ばれる塩ビクロス材やクッションフロア材を中心に行うことになります。

予算1,000万円で間取り変更や外装更新が可能に:中古戸建てリノベーションの費用目安

竹村:
ある程度範囲を絞ってではありますが、間取りの変更や外装の刷新なども選択できます。

・トイレや浴室、キッチンなど、水回り設備の取り換え
・全体的な内装(床材、壁・天井のクロス)の張り替え
・下記①・②のいずれか
① リビングと隣接する和室をつなげてひとつの大きなリビングにする、大型の収納スペースを設けるなどの小規模な間取り変更
②外壁の塗り替えやサイディングの張り替え、屋根材の取り替えといった外装のリノベーション

予算1,500万円でほぼフルリノベーションが実現:中古戸建てリノベーションの費用目安

竹村:
築25年くらいまでの比較的新しい中古物件であれば、間取りを大きく変えない全体的なリノベーションが可能です。
・トイレや浴室、キッチンなど、水回り設備の取り換え
・内装(床材、壁・天井のクロス)の張り替え
・外壁の塗り替えやサイディング張り、屋根材の塗装といった外装のリノベーション
・窓サッシの入れ替え
・下記①・②のいずれか
① 小規模な間取り変更
②門や塀、カーポートなどの外溝を一新

予算2,000万円以上なら建て替えとさほど変わらない:中古戸建てリノベーションの費用目安

竹村:
耐震補強や壁・窓の断熱、間取り変更など、ひと通りのリノベーションが可能になります。

・トイレや浴室、キッチンなど、水回り設備の取り換え
・内装(床材、壁・天井のクロス)の張り替え
・外壁の塗り替えやサイディングの張り替え、屋根材の葺き替えといった外装のリノベーション
・窓サッシの入れ替え
・間取り変更
・門や塀、カーポートなどの外溝を一新
・耐震補強・断熱工事

ご予算や各種工事の規模など優先順位によりますが、設備のブランドやフローリングなど、素材にこだわることも可能になります。

表層的にきれいにするリフォームと、リノベーションの選び分けは?

―― 表層的にきれいにするリフォームと、内側をスケルトンにするリノベーション、外壁まで手を入れるリノベーションは、どのように選び分ければいいですか?

竹村:
それぞれに適しているケースを挙げて解説します。

① 簡単なリフォームで良いケース:
「簡単なリフォーム」とは、上記の「トイレや浴室、キッチンなど、水回り設備の取り換え」「内装(床材、壁・天井のクロス)の張り替え」などのことです。
購入を検討中している物件が、間取りも部屋数もご自身のライフスタイルに合って満足できるものであり、築年数も10年程度で耐震・断熱にも大きな心配がなく、「見える部分が好みになって、きれいになれば良い」という場合はこちらでも十分でしょう。
※それに加えて「一部だけ間取りを変更したい」といった場合、内側全部をスケルトン(構造だけの状態)にする必要はありませんので、壁の一部や天井だけを解体・補修して仕上げるリノベーションを追加すると良いでしょう。

②内側のみをスケルトン(すべて構造のみ)にしたいケース:
築20~25年ほどの物件で、「外装は売主が数年前にメンテしていて手を加えなくても良さそうだけど、家の中の間取りやデザインは大きく変えたい」という場合はこちらをお勧めします。

③ 外壁にも手を入れたいケース:
10年以上メンテナンスをしていない外壁であれば、一度塗装などを行なっておきたいところです。また、雨漏りが見つかり柱まで腐食してしまっている場合や白アリの被害が見つかった場合には、補強が必要となるため、外部も内部もフルスケルトンにして柱と梁と屋根組みだけにすることも。

この場合の工事は従来の構造を踏まえた工事ができる職人でないと難しいため、「建て替えると今の広さが維持できない」という場合を除いては、建て替えを考えた方が安くつくかもしれません。

それぞれの中古物件の状態や、皆さんのライフスタイル、理想のかたちによって、比重を置くべきポイントは変わってきます。リノベーション会社と一緒に優先順位を整理していくことにより、予算に合った物件や心地よく暮らせるプランが見えてきます。まずは信頼できるリノベーション会社を探し、理想とする暮らし方を共有しながら相談してみてくださいね。

“中古戸建物件を購入+リノベーション”で使える住宅ローン

―― 物件の住宅ローンとリノベーションの費用を、効率よく借りる方法はありますか?

竹村:
中古物件を買ってリノベーションをする方が増えている現状を受け、各銀行で物件購入費用とリノベーションにかかる費用を一緒に借りられる「リフォーム一体型住宅ローン」プランがいろいろ出てきています。

審査に時間がかかるうえ、物件購入と同時にリフォーム・リノベーションの見積書も提出しなくてはならないので計画的な準備が必要ですが、一般的にリフォームローンよりも金利が安く、借りられる上限金額も大きいのがメリットです。各社の商品を比較して選択すると良いでしょう。

ネットバンク系銀行では、実店舗型銀行と異なる特徴で工夫した商品も多くみられます。なお、いずれも担保が必要になりますので、シリーズ第2弾の記事で取り上げた再建築不可物件や借地権が設定されている土地を購入予定の場合は気を付けてください。

また、物件購入タイミングにリノベーションのプラン・見積もりが間に合わない場合は、住宅ローンとは別に、リノベーション部分のみ「リフォームローン」を利用する方法もあります。

リフォームローンにも銀行系とノンバンク系(信販系など)があります。銀行のリフォームローンは、担保が必要な場合があったり諸費用がかかったり、審査が長いなどのデメリットもありますが、金利についてははノンバンク系より安い傾向です。

それと比べ、ノンバンクのリフォームローンは審査にかかる時間が短く、担保や連帯保証人が必要な無いなど手続きの簡単さがメリットですが、銀行系と比較して金利が少し高い(0.3%程度)のが難点です。

今回のまとめ

竹村:
中古戸建てのリノベーション費用は、物件それぞれの状態や、皆さんのライフスタイル、理想のかたちによって、比重を置くべきポイントは変わってきます。また、リノベーションを担当する家づくりの専門家によっても、施工金額が異なるため、記事の額はあくまでも目安にしてください。

家づくりの専門家と一緒に優先順位を整理していくことで、予算に合った物件や心地よく暮らせるプランが見えてきます。まずは信頼できるリノベーション会社を探し、理想とする暮らし方を共有しながら相談してみてくださいね。

早めの段階からリノベーションを担当する専門家と相談し、一緒にイメージを固めることで、物件を決める時点でリノベーションの見積りも準備しやすい状況をつくることができます。あらかじめ無理のない予算を把握し、物件選びとリノベーションのプランを同時進行できるように準備することにもつながり、シンプルでお得なローンのプランも視野に入れやすくなりますよ。

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