2024/05/02更新0like1498view

著者:SUVACO編集部

【専門家解説付き】構造・意匠・思い出。既存を活かす部分リノベの魅力と注意点

リノベーションでは、構造だけを残してすべてを一新するフルリノベーションだけでなく、中古・築古ならではの良さやまだまだ使える既存部分を活かした部分リノベーション(以下、部分リノベ)で理想の家をつくることも可能です。
活かせるものを再利用することでコストバランスを図れたり、愛着や思い出を受け継ぎ、既存の建物の魅力を活かせるのはリノベーションならではの良いところ。

一方で、既存を活かすにあたっての注意点もあります。今回は既存を活かしたリノベーションの魅力と注意点をご紹介します。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

既存を活かした部分リノベの魅力

例えば、古い日本家屋の意匠や飴色に変化した立派な梁や柱を残しつつ、今の暮らしに合わせて部分的に改修すれば、新築では実現が難しい趣のある住まいになるでしょう。

また、思い出のたくさんある実家や親族の家で、柱に刻まれた傷、ご家族が大切にされていた素材・造作家具等も部分リノベなら残すことができます。
築浅やリフォーム済みの物件なら、まだ使用できる設備を再利用することでコストを減らし、その分こだわりたい部分に予算をかければ、理想の住まいを予算内で実現することもできるかもしれません。

既存の意匠や構造、素材を活かした部分リノベは、新築やフルリノベーションとは違った魅力があると同時に、資源を再利用することで環境負荷を減らし、SDGsの取り組みにも貢献できます。

既存を活かした部分リノベでの注意点

一方で、部分リノベを行うにあたっての注意点もあります。

既存設備や構造を活かしたプランで工事を開始したものの、解体してみたら表面からは見えない設備配管や構造の腐食など、想定以上の老朽化やダメージが見つかり、追加の補修が必要になってしまうことも。
また、コスト削減のために「あれも」「これも」既存を残した結果、新しくした部分と既存部分とのテイストが合わず、ちぐはぐになってしまうこともあります。

改修すべき部分と既存を活かしたい部分は、老朽化の可能性やデザインなども踏まえて専門家にアドバイスをもらいつつ、プランしていくことをおすすめします。
それでは実際に既存を活かした部分リノベで理想の住まいを実現した住宅事例をご紹介します。

日本家屋の美しい趣を活かしつつ、暮らしやすい住まいを実現

武蔵境の家 日本家屋と庭を生かした家族が集う居間の創出|改修

こちらは築30年を超えた平屋の木造住宅を部分リノベをした事例です。
既存の美しさを活かしつつ、家事動線を考慮した間取り変更や断熱改修を行い、子育てをする家族が暮らしやすい住まいに改修。暮らしやすさと日本家屋の美しさを共存させた住まいです。

この事例を手がけた専門家

後藤組設計室 後藤智揮さん

後藤組設計室 後藤智揮さん

建築家

子育てしやすいように、南庭に面した「居間」中心の間取りに変更。居間には小屋裏を利用した吹き抜けやロフトを設け、キッチンからは庭が眺められたりと、これまで以上に庭を楽しめるようにしました。既存の窓を活かした短い回遊動線で、収納計画を整え、家事負担を軽減。「断熱材の付加、断熱スクリーン設置、ロフト換気扇での熱気排出」などで温熱環境を向上させています。改修時には既存床や外壁は残し、省資源化も試みました。建て主さんからはヒノキの柔らかさと空間の広がり、新旧の良さを感じられる気持ちの良い家に大満足、との声をいただいています。

飴色のしっかりとした梁を活かして

愛でる家|愛着のある数寄屋風住宅をより永く楽しむために

築40年の実家をリノベーション。LDKの天井を上げて現れた大きく立派な梁や柱を活かした住まいはまさにリノベーションならではですね。
外構も既存のデザインを活かしつつ、改修。耐震補強や断熱改修も行ったことで、長く心地よく暮らせる住まいに生まれ変わりました。

この事例を手がけた専門家

山本嘉寛建築設計事務所  yyaa

山本嘉寛建築設計事務所 yyaa

建築家

耐震補強と断熱工事を行い、使われていなかった天井裏を活用して開放感のある居間をつくり、和室には炉を切り水屋を設けて茶室の設えに変更しました。また、クローゼットやパントリー、書棚や収納家具など用途別に十分な容量の収納を確保しました。もともとの意匠を活かしつつ家や庭を存分に愛でることができる住まいになりました。

両親のお気に入りを受け継いで

実家をリノベ。3柄のフローリングは、両親のこだわりを大切にしたからこそ

こちらは両親が住まわれていたマンションを受け継いでリノベーションされた住まいです。
以前、両親がリフォームで張られた、斜めに走ったお気に入りのフローリングを活かしつつ、新たにヘリンボーン柄、そして市松模様の床材と3種類を組み合わせることに。フローリングの柄の切り替えで空間がゆるくゾーニングされています。
両親の「好き」とこれから暮らすご自身の「好き」が共存した住まいに生まれ変わりました。

この事例を手がけた専門家

インテリックス空間設計

インテリックス空間設計

リノベーション会社

フローリングは、全て張り替えようかと考えていたそうだが「良い床なので活かさないともったいない」と言われたことをきっかけに、雑誌で柄を切り替えたフローリングの家を見て、思い切って3パターン使うことにした。
一見大きなリビングダイニングだが、柄の切替えによってリビングとワークスペースという使い方の違いが自然と感じられ、ご夫婦が思い思いに過ごせる空間に仕上がった。

実家の面影を残しつつ、次世代まで住み継げるお住いに

H様邸_47 年の歴史の面影を感じながら2 世帯で暮らす

娘さんの家族との同居を機に、築47年の実家を二世帯リノベーションされた事例です。築47年にもかかわらず歪みのなかった木製の建具や欄間を活かして、以前の面影を残しながら改修されています。

この事例を手がけた専門家

スタイル工房

スタイル工房

リノベーション会社

現地調査の結果、良い材を使ったしっかりとしたお住まいであることが判明。住宅性能をしっかりと上げれば、これから先も長く安心して暮らせます。そこで耐震補強工事と断熱材の充填・断熱サッシへの入れ替えを実施。
築47年にもかかわらずひとつのゆがみもなかった立派な木製建具枠や美しい欄間を活かした個室に加え、縁側の美しい木製サッシも内窓として残し、外側に断熱サッシを設置しています。

築70年の母屋は残し、居住スペースのみを改修

K farm ~ 猫と一緒に*平屋暮らしのリノベーション ~

最後にご紹介するのは、築70年の実家を部分リノベされた事例。
築70年の母屋と築40年の増築部分のうち、築40年の部分をメインの生活エリアとして、リノベーション。2階建てだった空間を平屋に変えるという大きな改修となったものの、歴史ある母屋はあえてそのまま残し、将来も見据えた暮らしやすい住まいを実現されました。

この事例を手がけた専門家

Den設計室 一級建築士事務所 新田 浩司さん

Den設計室 一級建築士事務所 新田 浩司さん

建築家

プランは、家事動線が明快で使いやすい収納のある回遊動線。リビングに設置した薪ストーブの暖かさを全体的に感じられる引き戸多用の一体空間。お茶など休憩スペースも確保。脱走防止に鍵の調整しながらのグルグル回遊は、愛猫たちと暮らしを楽しむ一風景。寝室隣接のトイレと洗面のアクセス、耐震断熱補強も行い、コンパクトで生活の質にこだわったナチュラル、シンプル、木の質感が楽しめる部分リノベです。

既存を活かした部分リノベが得意な専門家を見つけるのがおすすめ

住まい全体を一新するフルリノベーションと比べ、既存の一部を残す部分リノベには、表面の見えない部分まで想定する知識と経験が必須です。特に戸建ての場合は、リノベーションする住まいの構造等に対する知識も重要になります。

愛着ある実家の面影を残しつつ、住宅性能をしっかり上げて暮らしやすい住まいを作りたい。既存の美しさを活かしつつ、暮らしやすくしたい。既存で使えるところは再利用してコストコントロールをしたい。という方は、部分リノベの実績を持つ専門家を探しましょう。

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