2021/06/26更新0like10039view

著者:熊井博子

—好かれる施主・嫌われる施主— 家づくりで“困った施主”にならないための心得

この記事を書いた人

熊井博子さん

ビルダー・建築設計事務所に営業/広報として勤務した後、住宅専門誌の編集を経て、住宅関連の執筆と一般の方の家づくりサポート等に従事。インテリアコーディネーター、照明コンサルタント。

たくさんの情報を集めて知識を得て、数ある中から出会うべきつくり手に出会えれば、家は半分できたも同然ですが、家づくりの成功を決定づけるカギは最後にもうひとつ。それは、“困った施主”にならないこと!
「自分は大丈夫」と高を括らず、家づくりの心得として肝に命じておきませんか。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

“いつもと違う”からこそ

家づくりは一生に一度きり。家族の暮らす場所であり、その後のライフスタイルを決定づけるものと考えれば、楽しみ半分、プレッシャーを感じている人も多いはず。それゆえ我を忘れて夢中になって、力んだり、周りが見えなくなったり。いつもと違う自分が出てくることもあるものです。

この、“いつもと違う”がちょっと厄介。力の入れ具合を間違えると、いつの間にか設計者や施工者に迷惑をかける“困った施主”になってしまうことがあるのです。

もちろんそれでも家は完成しますが、つくり手だって、心を持った人間です。困った施主の対処に追われながら仕事をするより、そうでない方がアブラののったいい仕事をしやすいですし、「もっとよくしてあげたい」という気持ちだって生まれやすいもの。

となれば、好かれる施主かそうでないかで、できる家や満足度に差が出るのは自然な話。当然好かれる施主であったほうがおトクなわけで、嫌われる施主になどなりたくないものです。

そうはいっても、初めてで、特別で、わからないことだらけの家づくり。不安だからこそ誰でも“困った施主”になりうるとすれば、事前に自分の意識に働きかけておくのは大事なことと言えるかもしれません。

意外に多い!? 家づくりでよくある“困った施主”

つくり手が出くわす“困った施主”の困った具合もいろいろで、笑って受け流せるものから周囲を振り回すものまで様々ですが、つくり手のやる気を削ぐありがちな事例を反面教師としてご紹介します。

コロコロ変わる

打ち合わせのたび、安易に「やっぱり」と決定事項を覆す施主。じっくり考えることなく、インスタで見た・人に聞いたなどの根拠の薄い情報や気分・雰囲気で出した答えは次の変更を呼び、二転三転することもしばしばです。

変更自体は小さなことでも、その裏では関連するものの調整や、関わる人への依頼やお詫び、場合によっては損金が発生していることだってあるのです。全てがそうとは言いませんが、相手に負担を強いることもあると肝に命じ、「大丈夫ですよ」に甘えすぎないようにしたいものです。

“コロコロ変わる施主”と印象付けば、信頼を失うばかりか相手に警戒心を生み、家づくりに直接影響を与えることだってあるのです。

オレ様

「自分は客だ」と言わんばかりに、上からモノをいう・高圧的な態度をとる施主。相手が下手に出ることを強要し、ピリピリした空気をつくりだします。こうなると打ち合わせの雰囲気も最悪で、「より良い家」を探る空気は薄れてプロもアドバイスや提案を控えるようになります。

確かに施主は客ですが、家づくりにおいての施主・設計者・施工者は、同じゴールを目指すチームメイト。対等な関係でなくてはなりません。そうでなければ誰かが爪を隠すことになるわけで、関わる人全てのベストパフォーマンスが出揃う家づくりが叶うことはありません。

値引きを迫る

「予算をオーバーした」「安いに越したことはない」と安易に値切りを迫る施主。値引きをパフォーマンスとして始めから上乗せした見積もりを出す会社なら別ですが、そうでない場合、心証は最悪です。

一つひとつ積み上げて出した見積もりや、仕事の対価となる設計料を値切るというのは、家づくりに力を尽くそうとする人の価値を否定しているようなもの。「いくら引けますか」の一言で、つくり手のやる気や信頼を一気に失い、その後の家づくりに影響を及ぼすばかりか、相手から断られることだってあるのです。

どんなものでも、高ければ高いなりの、安いなら安いなりの理由があります。予算をオーバーしているなら内容を見直すなりしてコストダウン案を検討すべきで、相手にオーバー分を負担させるという発想はお門違いです。

強行突破

家族や身近な人に話をすることなく家づくりを進める施主。一見困ることなどなさそうですが、家をつくることは「住む場所を決定づける・資産をもつ・大きなローンを抱える」ことを意味する性質上、周囲の理解を得ずに進めると、後で必ず厄介な問題が沸き起こるのです。

例えば、夫婦だけで話を進めていると、後で知った両親から「この家はどうするつもり?」「嫁(婿)の実家に近いなんて!」「お世話になっている◯◯建築さんに依頼しないのは許さない!」と、ストップがかかることがあります。きょうだいがいれば、「実家のことを押し付ける気?」「その土地は自分がもらうつもりだったのに」などと咎められ、トラブルに発展することも。

いずれの場合も、最初から話をして“相談”の形をとっていれば、感情的に否定されたり拒絶されることなくお互いにとって良い方法を探れたでしょうし、むしろ、応援してくれたかもしれません。「大事なことを、何の話もなく勝手に進めた」というのが、良くないのです。

これは家族の問題でもありますが、事が進んでから表面化すれば、依頼先を巻き込みとんでもない迷惑をかけることにつながります。「自分は関係ない」と甘く見ないで身近な人にきちんと理解を得ておいて欲しいものです。
ここまで、「そんな人がいるの?」と笑って読んだ方も、いざ家づくりが始まると、似たような状況に陥ることだってあるのです。他人事と思わずに、戒めとして頭の隅に置いておくと良いかもしれません。

困った施主にならないために

家づくりは、誰をパートナーに選ぶかでどんな家ができるか概ね決まるところがあります。だからこそ、依頼先選びは家づくりの肝であり、パートナーとなった相手との関係性は重要です。

まずは人付き合いの基本中の基本、お互いを尊重し礼儀をわきまえること。言葉づかいや態度、マナーに気をつけること。ごく当たり前で普段から行なっていることではありますが、プレッシャーやストレスからいつもと違う自分が出てしまうこともあるので注意したいところです。

その上で、基本の流れや関わる人の仕事や動きをある程度理解すること。本当に無知だと、何か依頼するにも簡単なことか大ごとか検討もつかず、いらぬ気遣いをしたり、知らずに迷惑をかけることもあり得ます。

時折、このあとどんな流れで、誰がどんな作業をするのか口に出して聞いてみると、相手は丁寧に教えてくれるでしょうし、理解しようとする施主の姿勢に好感を持つはずです。知ればおおよそが掴めてこちらも的を射た対応ができるだけでなく、不安やストレス、プレッシャーが軽減されて家づくりそのものがもっと面白く感じられ、全力で楽しめるものになるはずです。

家づくりの最後の砦は、関わってくれる人との人間関係・信頼関係です。
少なくとも数ヶ月間はお互い濃密な接点を持ち、その後は家のメンテなどでお世話になるのですから、“長いお付き合いをする相手”と心得て、どんな時でも誠意を持って向き合いたいものです。

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