家づくりの学び舎

2019/07/27更新1like864view佐藤ゆうか

家づくりにおける「設計」と「施工」の違い・役割とは

家づくりを始めると、多くの場合、最初に関わるのがその会社の「営業」と呼ばれる人になります。話が進むにつれ、「設計」と呼ばれる人、「施工」と呼ばれる人と関わることになるのですが、そもそも「設計」や「施工」と呼ばれる人たちは、何をする人たちなのかご存知でしょうか?

この記事では、家づくりで建築主と深く関わることになる「設計」、「施工」と呼ばれる人の仕事の内容と、設計事務所・工務店・ハウスメーカーといった企業形態による違いについてお伝えします。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

「設計」って何をする人?

注文住宅における「設計」の役割とは、文字通り家の設計を行うことです。

「設計」と呼ばれる人の仕事の内容としては、大きく分けて意匠設計、構造設計、設備設計の3つに分けられ、それぞれの具体的な仕事内容は次のようになっています。

■意匠設計
要望やコストに基づいたプランニングやデザインなど

■構造設計
地震や風力や荷重などに耐えるための設計や材料の検討など

■設備設計
電気や水道や空調、省エネ性の設計など

注文住宅を手がける会社で「設計」と呼ばれる人は、主に「意匠設計」の役割を担当しますが、構造設計と設備設計の役割も担い、必要に応じて構造設計や設備設計を専門とする設計者の意見や協力を得ながら、次のように家の設計を進めていきます。

①現地調査
建築主から依頼があった際に、現場となる土地の日当たりや広さ、近隣との位置関係、道路との関係、法的条件、景観、雰囲気の確認を行います。

②ヒアリング
建築主との打ち合わせを行い、家族構成や、建築の目的、どのような家にしたいかなどの要望や予算を確認します。

③プランニング
建築主との打ち合わせから、法規などを考慮して具体的な間取りやデザインを作成します。予算の範囲内のプランとなるように、同時進行で概算の見積もりも作成します。

④基本設計
建築主と予算やプランの合意ができ次第、CADなどの作図ソフトを使って基本的な設計図面を作成します。この際に住宅の規模や必要に応じて構造設計や設備設計の専門家とも連携をとって設計を進めていきます。
基本設計が完成すると、建築主と設計士は設計契約を結びます。

⑤建築確認申請書類作成、確認申請手続き
建築確認とは、建物が建築基準法に適合しているかを確認することで、民間や公的な確認機関に必要書類や図面を提出して行います。

⑥実施設計
施工担当者に工事内容を伝えるために、より詳細な図面を作成します。
カウンターなどの内装部分の高さ関係や、色彩、収納棚の位置などより細やかな部分も図面上で表現します。

⑦施工依頼先の選定
設計と施工を別の会社が行う場合、実施設計図がそろった時点で、実際に工事を行うことになる施工依頼先を選定します。過去の実績や、実施設計図を元にした見積もり金額をもとに、複数社の相見積りで決められることもあります。

⑧設計監理
工事が始まると、要所ごとに現場に足を運び、設計図通りに工事が進んでいるかを確認し、必要に応じて施工責任者へ指摘を行います。

同じ「設計」でも会社形態によってこんなに違う!それぞれの特徴は?

注文住宅を手がける会社の形態には設計事務所・工務店・ハウスメーカーがありますが、この会社形態によって設計者が担当する仕事の内容は若干異なってきます。

■設計事務所の設計の仕事とは?
設計事務所とは、建物の設計やプロデュースを専門に行う会社です。そのため、工務店とハウスメーカーに比べて、設計の仕事内容としては次のような特徴が挙げられます。

【設計事務所における設計の仕事】
・工務店、ハウスメーカーであれば「営業」担当の仕事も行うこともある
・現地調査は工務店やハウスメーカーよりも時間をかけて細かく行われる
・プランニングの際に模型が作られることが多い
・設計図の枚数が圧倒的に多い(工務店やハウスメーカーが30枚程度に対して、100枚を超えることも)
・施工依頼先の選定を行う
・設計監理が比較的厳しく、現場に足を運ぶ回数も多い

設計事務所が行う「設計」の仕事は、3つの会社形態の中でも最も時間がかけられ、念入りに行われる傾向があります。

手がけた住宅は作品として扱われるため、リフォームやアフターメンテナンスなど、その家が存在する限り設計を行い続けることになります。
設計費用は最もかかる可能性がありますが、その土地と家族に適したデザイン性の高い住まいを実現することができるのが、設計事務所の行う設計の仕事です。

■工務店の設計の仕事とは?
一般的に工務店とは、ハウスメーカーに比べて小規模で地域に密着した経営を行っています。工務店は建物の設計・施工を行いますが、その仕事内容は工務店の従業員数や規模によっても異なってきます。

設計事務所やハウスメーカーに比べて、設計の仕事内容としては次のような特徴が挙げられます。

【公務店における設計の仕事】
・従業員数10人以下のような小規模の工務店の場合、営業・設計・施工の仕事をひとりの担当者が行うことがある
・営業部がない場合、「営業」の役割も担う
・経営者が兼業していることがある
・確認申請書類作成や確認申請手続きを外注する場合がある
・設計図面の作成を外注する場合がある
・設計図面は20~40枚程度
・積算部がない場合、見積もりの作成も行う
・施工は同じ会社内で行うこともあり、設計監理で現場に足を運ぶのは3回程度となることもある

工務店が行う「設計」の仕事は、工務店の規模によって他の業務と兼業になる場合が多く、施工や積算の専門的な知識を活かした設計を行うことができるという特徴があります。

工務店に家づくりを依頼した場合には、ひとりの担当者が寄り添い続けてくれる安心感があるでしょう。業務の形態上設計自体にあまり時間をかけることができませんが、設計費用は最も安くなる可能性が高いです。


■ハウスメーカーの設計の仕事とは?
一般的にハウスメーカーとは、規格化された住宅を取り扱い、CMや展示場を持ち、全国規模で経営展開する大きな住宅会社のことを言います。

ハウスメーカーは従業員数が多いため、設計の仕事を行う人の中でも部署が区切られている場合があり、設計事務所と工務店に比べて、設計の仕事内容としては次のような特徴が挙げられます。

【ハウスメーカーにおける設計の仕事】
・現地調査からヒアリングまでは営業担当者が行う場合が多く、プランニングも営業担当者が行うことがある
・作図担当者は設計担当者と異なる場合がある
・設計図面は20~40枚程度
・内装の色彩や設計は「インテリア担当」が行う場合がある
・エクステリアの設計は「エクステリア担当」が行う場合がある
・施工は同じ会社内で行うこともあり、設計監理で現場に足を運ぶのは3回程度となることもある

ハウスメーカーが行う「設計」の仕事は、企業規模の関係もあり、3つの会社形態の中でも最もシステム化され、効率的に行われる特徴があります。

設計事務所や工務店ではひとりの担当者が行う仕事も、「インテリアコーディネーター」や「エクステリアプランナー」などの資格を持った各部門の専門家が行うため、よりハイセンスで使いやすい設計を期待することができるでしょう。

「施工」って何をする人?

注文住宅の「施工」と呼ばれる仕事は、「施工監理」や「現場監督」「現場代理人」とも呼ばれます。具体的な仕事内容としては、次のことを行います。

■工程の管理
着工~完成までの工事のスケジュール(工程)を組み、職人や材料などの手配を行ったうえで、天気や近隣の状況にも臨機応変に対応しながら、工程どおりに工事が進むように管理を行います。

■品質の管理
設計図や建築基準法、各種工業規定に適合した品質が保たれるように使われる材料や、工事の制度を管理します。

■コストの管理
設計段階で組まれた予算をオーバーせず、適正な利益を生み出せるように工夫を行いながら工事を行います。

■安全の管理
工事中にけが人を出さず、無事故で工事が終われるように、危険を予測し、危険度の高い作業が行われる場合には周知や対策などを行い、工事現場の安全を守ります。

注文住宅の施工の仕事は、この4つからなる現場の管理に加えて、次のことも行います。

■近隣挨拶
工事の始まりや、騒音などの不快要素の恐れがある工事を行う場合、上棟時、竣工時などに現場の近隣に挨拶を行います。

■建築主や近隣とのコミュニケーション
建築主や近隣住民からの意見を聞き入れ、適切な対応を行い、トラブルの発生を防ぎます。

■追加工事の見積もりや対応
状況に応じて、追加工事の見積もりや対応を行います。
例えば、現場来た建築主に「ここに棚がほしいんだけど」と言われた場合、設計者に確認をとった上で棚作成分の見積もりを作成し、大工に伝達を行い、工程に棚の製作を盛り込みます。

同じ「施工」でも会社形態ごとに微妙に違う!それぞれの特徴は?

設計の解説でもお伝えしたように、注文住宅を手がける会社の形態には設計事務所・工務店・ハウスメーカーがあります。

施工についても、この会社形態によって担当する仕事の内容が微妙に異なってきます。会社形態ごとの仕事内容の違いについて確認しましょう。

■設計事務所の施工の仕事とは?
設計事務所が設計を手がけた住宅は、工務店が施工を行うことになります。そのため、「施工」と呼ばれる人の仕事の内容としては、着工前の工事スケジュールを組む段階から始まります。

設計事務所の設計する住宅は、ハウスメーカーや工務店が設計する住宅に比べて難易度が格段に高くなりますので、設計事務所が求めるものに対応する技術力や知識、設計事務所の建築士と対等に意見を交換できる能力が必要になり、施工においても最も労力がかかる仕事内容となることは間違いありません。

難易度が高い内容ではありますが、設計事務所に気に入ってもらえれば、継続的に施工を任せてもらえることにもなります。完成した住宅が作品として書籍などに掲載される場合には、「施工」として個社名が掲載されることもあり、施工者としては名誉な仕事内容と言えます。
■工務店の施工の仕事とは?

工務店で社内に設計部門があり、自社設計・施工を行う場合には、必要に応じて現地調査や営業段階から仕事が始まることもあります。

従業員が少人数の工務店の場合には、営業・設計・積算の役割や、雨漏りの修繕などのアフターメンテナンスを行う場合もあり、地域に密着したなんでも屋さんのような存在になることもあります。


■ハウスメーカーの施工の仕事とは?
ハウスメーカーは一般的に設計・施工を自社内で行いますが、着工前の工事スケジュールを組む段階から始まります。

住宅自体が規格化され、施工管理も行いやすい仕様になっているため、一人の施工担当者が数十件を掛け持ちすることも可能になっています。リフォームやアフターメンテナンスについては、子会社やグループ会社に部門が分かれている場合には担当することはありません。

「設計」と「施工」の仕事を例えると…?

ここまで「設計」と「施工」の仕事内容についてお伝えしてきましたが、最後に「設計」と「施工」が関わる注文住宅のイメージがより掴みやすくなるように、様々なものに例えてみましょう。

▼オーケストラに例えるなら
設計=「作曲者」
施工=「指揮者」
職人=「演奏者」

「設計」は雇われの作曲者で、依頼主から受けたイメージを元に作曲し、譜面をおこします。
「施工」はその譜面を元に、適切な編曲を行い、演奏者の「職人」を指導しながら音楽を作りあげていくことになります。

▼演劇に例えるなら
設計=「脚本家」
施工=「演出家」 
職人=「役者」


設計はつくろうとするものの全体像を作り出す人。
施工はより良くつくるためにはどうしたら良いか考える人。
職人は実際につくる人と言えます。

それぞれがいい仕事をすることで、いいものづくりができることがわかりますね。
「設計」と呼ばれる人、「施工」と呼ばれる人の仕事の内容についてお伝えしましたが、実際に家づくりを始めると、改めてこの2者の仕事内容や役割について説明をされることはありません。

家づくりで建築主と深く関わることになるこの2者についての仕事の内容を知ることで、自然と家づくりの流れや完成までのイメージを掴むこともできますので、不安解消にも役立ちますよ。

なお、今回解説したのは、あくまで一般的な内容です。家づくりの依頼先によって、様々な特色や個性がありますので、それぞれの違いについても楽しみながら家づくりができるといいですね。
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この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

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