2021/02/27更新1like10335view

著者:岩間光佐子

家を建てる前に知ってほしい防犯設備・総まとめ

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

新築やリフォームの際には、敷地条件や周辺環境、ライフスタイルなどに適した防犯対策を考慮することが大切です。ここでは、外構プランの基本、門扉やドア、窓といった建材選びのコツなど、知っておきたいポイントをまとめました。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

家の防犯対策に外構(エクステリア)はとても重要

住まいづくりを進めていく中では、間取りやデザインはもちろん、性能面に配慮することが重要です。周辺環境や敷地条件などによっても異なりますが、防犯性も忘れてはいけないポイントのひとつでしょう。

防犯性を考える際には、周辺環境、車や人の通行、日中だけでなく夜間の状況などにも考慮することが大切ですが、まず、配慮しておきたいのが外構(エクステリア)プラン。基本は、不審者を門(敷地)の中に入らせないつくりとすること。敷地の境界線に設ける門扉やフェンス選びは重要でしょう。これら設けない開放的なエクステリアも魅力的ですが、防犯の面から考えると、環境に適した門扉やフェンスは取り入れたいものです。

また、正面の門扉やフェンスだけでなく、住まい裏手、勝手口や庭への通路などにも配慮を。裏手側は見通しが悪く、人通りも少ないケースも多いので、侵入しにくいプランとしておくことが大切です。

門扉・フェンス・カーポートの選び方

防犯性を高めるためには、設置する門扉やフェンスの形状やデザインも重要です。基本は、頑丈なつくりであること、簡単に乗り越えられない高さや形状であること。しかし、コンクリートなどの高い塀では、侵入された際に周囲から死角となってしまう場合もあります。不審者が隠れることのできないように、ある程度見通しの良いデザインとする方がいいでしょう。

建材商品としての門扉やフェンスの最近のデザイン傾向は、縦や横の格子やスリットなどシンプルなタイプ。ある程度視線を遮りつつ、見通すことができるデザインです。木目調のナチュラルな雰囲気のタイプも注目されています。

また、門扉を選ぶ際には、施錠方法もチェックしておくこと。一般的な鍵(シリンダー錠など)のほか、リモコンやカードキーなど玄関扉(ドア)と同様の機能を持つタイプ、ひとつのキーで玄関扉と門扉の両方の施解錠が可能なタイプなども揃っているので、選ぶ際には、玄関扉と一緒にショールームなどで確認するようにしましょう。
門扉やフェンスと同時に、駐車スペースにも配慮を。開放的な駐車スペースは出し入れのしやすさが魅力ですが、侵入者を招くことになる場合もあります。条件に合わせて、ゲートやシャッターなどを設置したいものです。

エクステリア建材商品としては、跳ね上げや伸縮タイプなどのゲートの商品ラインナップが充実。より閉鎖性を高める折れ戸やシャッターなども揃っています。シャッターには、目隠しとなりプライバシーを守るスラットタイプ、開放感のあるグリル(パイプ)タイプなどがあるので、条件に合わせて選ぶことができるでしょう。

防犯性の高い玄関扉を選ぶ

玄関扉(ドア)も防犯性を重視して選びたい建材のひとつです。キーシステムも多様で性能も使い勝手も高まっています。一般的なのは、シリンダーキーと呼ばれるタイプ。ピッキングを防ぐため、ツーロックが基本です。最近多くみられるのが、電動で施解錠するシステム。電池錠と電気錠(配線式)がありますが、ボタンを押してカードをかざしたり、リモコンキーで施解錠するタイプ、鍵を身につけ扉のボタンを押すと解錠可能なシステムなどがみられます。家族構成やライフスタイル、間取りに合わせて選ぶことが大切でしょう。

また、玄関扉のデザインも防犯性に考慮して選びたいもの。最近取り入れる方も多いスリットや小窓を設けたデザインは、採光や通風を確保しつつ防犯性にも配慮したものです。また、子扉や袖部分などにガラスを用いるケースもありますが、ガラス部分のサイズや強度などにも配慮しておきたいものです。

窓計画、ガラスや鍵にも配慮して。シャッターなども検討を

また、壊されにくく、破られにくいガラスやサッシを取り入れることも大切です。特に、1階部分の掃き出し窓や大きめの窓には、防犯性を高めた合わせガラス(防犯ガラス/2枚以上のフロート板ガラスの間に、厚く強靭な中間膜とすることで、突き破るのに時間がかかり防犯性に優れるもの)を取り入れたいものです。

浴室やトイレなどの小さな窓には、侵入することができないサイズを選んだり、面格子(めんごうし)の設置の検討を。面格子の素材は、アルミやステンレス、鋳物など。縦格子や横格子、井桁タイプなどのデザインが多くみられますが、強度を高めたタイプ、取り付けネジを外されないように工夫された商品、サッシと一体型したタイプなどもあるので、場所に適したものを設置するようにしましょう。

最近では、防災面でも要望が多く聞かれる窓シャッターは、こじ開けやスラット外しなどに強い構造などにより防犯性能も高まっています。小さな窓にも設置できるタイプやサッシ一体型のタイプなどもみられますし、手動で操作するだけでなく、リモコンやスイッチによって操作できる電動タイプも揃っています。

バルコニー・ベランダプランにも注意を

家族がくつろぐアウトドア空間として人気のバルコニーやベランダを設ける場合は、手すり(囲い)のデザインに注意を。フェンスと同様に、見通しのいいデザインを選び、死角をつくらないようにすることがポイントです。最近では、外部からも気配が分かる、スリットやメッシュタイプのデザインが注目されています。

また、2階にベランダを設置する場合は、足がかりがないようなタイプを選ぶこと。周辺には、室外機や給湯器、配管や雨どい、物置などの足場を設けないようにすることも大切です。プランによっては、センサータイプの照明器具を設置するのもいいでしょう。

照明計画のポイント

防犯性を高めるためには、外構の照明プランも重要です。表札やポストを照らす門灯、玄関灯などだけでなく、敷地内に不審者が好むような暗がりがないようにしたいもの。人目につきにくい裏庭や勝手口には、センサー付きやタイマー付きなどの機器を取り入れるのもひとつの方法でしょう。人を感知して点灯するもの、フラッシュ光やアラーム音で警告するタイプもあります。また、暗くなったら点灯、明るくなったら消灯するタイプ、タイマー設定で点灯消灯するタイプなども。つけ忘れや消し忘れを防ぐことができるのもメリットでしょう。

その他、カースペースにも照明を設けておくと防犯面だけでなく夜間の出入りの際に使い勝手がいいものです。防犯カメラやセンサー付きのライトを設置するのもおすすめです。
株式会社田邉雄之建築設計事務所「LL house / 空を見上げる家」

多機能のドアホンの設置。宅配ボックスの設置も

防犯性や使い勝手の高さから「テレビ機能付き(モニター機能付き等)ドアホン」は多くの方が取り入れる設備機器です。訪問者を映像で確認できるだけではなく、留守中の訪問者を録画することで不審者をチェック可能なもの、静止画や動画録画ができるタイプなどもあります。

また、ライフスタイルや家族構成(子供や高齢者だけの在宅)などによっては、住宅用宅配ボックスを設置しても重宝します。対面せずに受け取れ、プライバシーを確保できることから、在宅中でも宅配ボックスを利用する方もみられるようになりました。サイズや操作性、デザインなども充実してきているので、条件に合わせて選ぶことが可能です。

防犯性能の高い建物部品を。日々の暮らし方も注意

防犯性能の高い製品のひとつの基準としては「防犯性能の高い建物部品」があります。これは、「防犯性能の高い建物部品の開発・普及に関する官民合同会議」 による防犯基準にクリアした製品のことで、CPマークが表示されています。対象となっている建築部品には、玄関扉や勝手口扉、錠や窓サッシ、面格子や窓シャッターなど。選ぶ際には、カタログやショールームなどで確認するようにしましょう。

もちろん、プランニングや建材選びに十分配慮するだけでなく、毎日の暮らし方に注意が必要なのは言うまでもありません。たとえば、長期不在や帰宅が遅い場合は、室内照明をつけておくなども必要でしょう。最近ではスマートフォンで遠隔操作が可能なタイプもあるので、ライフスタイルに合わせて検討を。また、不審者は、洗濯物から家族構成や日常行動などの情報を得ることもあるようです。室内物干し場を設けるなどの工夫もしておきたいものです。

庭づくりの際には、不審者が身を隠すことができないような植栽の配置とする、裏手側など場所によっては歩くと音がする玉砂利を敷いてもいいでしょう。
家づくりを進める中で、防犯性能を高めることだけに注力してしまうと、快適さや使い勝手に支障をきたしてしまうこともあるかもしれません。家族構成やライフスタイル、周辺環境、予算など、さまざまな角度から検討し、バランスのよいプランニングをすること。その上で、日々防犯意識を持ち生活することが大切です。
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岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

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