住宅ローンを組む際、「適合証明書」を用意しなくてはならない場合があります。適合証明書の正式名称は「耐震基準適合証明書」です。これは、建物の耐震性が基準を満たすことを建築士等が証明する書類で、築年数や工法によって取得の手続きが異なります。国土交通省のホームページにサンプルがありますので確認してみましょう。
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どんな時に適合証明書が必要なの?
どうやって適合証明書を取得するか
どんな時に適合証明書が必要なの?
適合証明書は住宅の新築・中古を問わず、必要になる場合があります。これを取得することで減税が可能になったり、住宅ローンの融資を受けることができます。では、どんな時にこの証明書が必要なのでしょうか。
①フラット35を使う時
フラット35は他の住宅ローンと比べ、家そのものの価値を重視します。フラット35以外の住宅ローンの場合、「誰が住宅ローンを借りるか」という観点から審査が行われ、融資を受ける人の収入や勤続年数などに重点を置いて審査します。
一方、フラット35では、住宅が機構の定める技術基準に適合しているかに焦点を当てて審査が行われます。そのために、適合証明書が必要となります。
フラット35では、独自の審査基準も加わります。木造住宅なら「基礎の地面からの高さは40センチ以上あるか」「床下防湿のための工夫はなされているか」「マンションで20年以上の長期修繕計画が立てられているか」などもチェックされます。新築住宅では建築基準法に基づく検査済証が交付されているかも審査されます。
②住宅ローン減税の適用を受けるとき
住宅ローン減税は、住宅購入者の家計を助けるために設けられた制度です。新築だけでなく中古住宅でも利用できますが、築年数の要件が定められており、要件以上に年数が経過している中古住宅は住宅ローン減税の対象外物件となります。
これを緩和する措置のひとつとして、「適合証明書の取得・提出」があります。耐震性能が確保されていれば、築年数が要件以上でも住宅ローン減税の対象になりうると考えられています。
住宅ローン減税の適用を受けるために適合証明書を取得する場合は、所有権の移転前までに取得しなくてはなりません。証明書の取得には、耐震診断のほかに改修工事を伴うケースもあり、時間がかかります。また、申請者は売主なので、許可をもらうことが必要となります。あわてることのないよう、時間的な余裕を持つことが必要です。
どうやって適合証明書を取得するか
では、実際に、どうやって証明書を取得すればよいのでしょうか。
■ウェブページから発行できる場合
「中古マンションらくらくフラット35」は、フラット35における審査基準を満たしているものを登録しておくシステムです。このページに、自分の購入しようとしているマンションが登録されていれば、物件の検査の必要はありません。WEBページから発行される「適合証明省略に関する申出書」を住宅ローン審査の際に提出すればよいので大変手軽です。
物件検査を行う前に「
中古マンションらくらくフラット35」をチェックすることをおすすめします。
■専門機関に調査を依頼する
実際の調査は、建築士事務所登録をしている建築士や指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関などに依頼することになります。住宅金融支援機構では、
専門機関の一覧表を公開していますので参考にしてください。
発行の費用の相場は物件によって差がありますが、設計審査・現場検査・必要書類作成費を含め、少なくとも10万円以上にはなるでしょう。
■適合証明書を取得する場合の注意点
注意すべきは、「どの住宅でも適合証明を取得できるわけではない」という点です。
たとえば、
・隣地との高低差が2m近くある
・小屋裏換気がなく、基礎の配管を埋めてしまっている物件
は、適合証明書が発行されない場合が多いです。
不動産会社によっては、適合証明書は簡単に取得できると説明するかもしれませんが、実査には時間と費用を要し、物件によっては取得不可能であることを頭においておきましょう。
「適合証明書」は、住宅の購入や減税の適用を受けたい場合に必要な書類です。フラット35ではウェブで書類を用意できるケースもありますが、大半は専門家による調査が必要になります。調査開始から証明書の発行までは長期間に及ぶので、費用同様、あらかじめスケジュールに余裕を持たせることが大切になります。
【参考】
適合証明書のサンプル(国道交通省)