「食べることは生きること!まずは日々の食卓から幸せを感じることが大切」そんな思いから料理研究家の道へと進むことを決意したという太田みおさん。
どっしりと構えたご自宅のキッチンカウンターからはその意志のようなものが感じられます。
今では多くの生徒さんを抱える料理教室を開催されている太田さんですが、実はリノベーションした当時は教室のことは考えていなかったそう。では、太田さん宅の主役ともいえるキッチンはどのように生まれたのでしょうか?
今回は、プロが使うキッチンの収納術や、キッチンに対する太田さんの思いをお話ししていただきました。
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家族やゲストをあたたかく迎える、おもてなしの気持ちが詰まったキッチン
美しい見た目だけではない、機能的な設備
実用性と美しさを両立させる3つのコツ
キッチンは自分や自分をとりまく人にとってのパワースポットでありたい
家族やゲストをあたたかく迎える、おもてなしの気持ちが詰まったキッチン
元々お料理が好きだった太田さんは、リノベーションの際にもキッチンにはとてもこだわりがあったといいます。
「キッチンに立つ時間が楽しくなるように、家の中で一番気持ちの良い場所に作ると決めていました」という言葉どおり、大きな掃き出し窓から気持ちの良い光が入り、リビングダイニング全体を見渡せる場所にキッチンがあります。
また、人をもてなすことが大好きで、よく友人を招いて食事を楽しんでいたこともあり、食事をしているゲストとおしゃべりしながらキッチンに立てるようにオープンなペニンシュラ型キッチンを選びました。
そのカウンターの背面には、柔らかなニュアンスの色が美しい石のタイルが貼られ、天板は天然木で仕上げられています。キッチン収納の大きな扉も含め、キッチン全体に使い込んでいくほどに味わいの増す素材を選ぶことで、家族や訪れる人をあたたかくおもてなしするにふさわしい、ぬくもりのあるやさしい雰囲気の空間に仕上がっています。
美しい見た目だけではない、機能的な設備
太田さんのキッチンは美しいデザインだけでなく、動線にもこだわってつくられています。
作業効率がグンとよくなるといわれている、コンロ、シンク、冷蔵庫のワークトライアングルを意識したという動線は、背面収納の一部に一時的な作業スペースを設けたことで、慌ただしい調理中でも快適に動くことができます。
さらに一番使い勝手がよいとされるゴールデンゾーン(腰の位置から目線の高さまで)によく使う調理器具やカトラリー、普段使いの食器を置くことで、より効率よく調理ができるよう、モノを置く位置もよく吟味されています。
冷蔵庫以外の家電は隠せるようにしたいという希望から、作り付けの収納棚には天然木の大きな扉をつけました。この扉はデザインにもとてもこだわり、家具作家さんにお願いして、何度も試行錯誤しながら作り上げてもらった思い出深いものだそう。
食器がたくさん収納できるように壁面いっぱいに作りつけてもらった収納棚は、家具作家さんの経験から、仕切りをある程度多く設置するようすすめられたそうです。アドバイスどおり、仕切りを増やした収納棚は使いやすく、より多くの食器類をしまえるようになりました。
「リノベ当時はまだ、ここで料理教室をすることになるなんて思ってもいなかったけれど、今となっては教室用に大量の食器を収納する必要があるので助かっています」
と太田さん。
実用性と美しさを両立させる3つのコツ
モノの出入りが多く、機能的でありながらインテリアとしても美しく保つ、というのはかなりハードルが高いように思いますが、太田さんは3つのポイントにこだわってそれを両立しています。
1つ目は、見える場所に置く市販の調味料などはお気に入りのデザインのものを選び、最小限をオブジェ感覚で置く、ということ。たしかに家事をしていないときの太田さんのキッチンは、コンロ横に置かれたオイルボトルとキッチンペーパー以外はきれいに片付けられています。オイルボトルはiwakiのもの。クールで無駄のない見た目のよさだけでなく使い勝手も抜群だそうです。
2つ目は、ラベルに統一性をもたせてすっきりと見やすく、整頓しやすくすること。企業とのお仕事も含め、様々なレシピを考えるのがお仕事の太田さんは、業務上、たくさんの種類のスパイスを持っていらっしゃいます。キッチンカウンターの引き出しにはスパイスボトルがズラリ。でも、同じサイズのボトルにご自身でデザインしたというシンプルなラベルが貼られているので、ガチャガチャした雰囲気はなく、むしろ整然とした様子が気持ちよいほど。上から見たときにすぐに必要なスパイスが取り出せるので一石ニ鳥です。
冷蔵庫にも同じ要領でカテゴリーや種類ごとに分類、ラベリングされており、使いやすくかつ清潔に保たれています。ボトルなどの容器を詰め替えるのは少し手間ですが、見た目にもスッキリするだけでなく無駄なスペースが減らせるのでとてもおススメなのだとか。
3つ目のポイントは、包丁立てや家電なども、なるべくミニマルなデザイン、色を選ぶこと。
太田さんのキッチンには全体の調和を乱す色やデザインのものはありません。それはひとつひとつを「まぁいいか」で選ばず、気に入ったものだけを少しずつ揃えてきたから。普段出しっぱなしにするものでなくても、デザインと機能性にこだわって選ぶことで自然と全体の雰囲気が整ってきたといいます。
キッチンで使用するモノにもリビングなどに置くモノと同じようにひとつのインテリアとして考える、そして愛着をもってモノとつきあっていこうという太田さんの姿勢が感じられます。
キッチンは自分や自分をとりまく人にとってのパワースポットでありたい
家においての「キッチン」という場所は、「ごはんを作る場所」から「家族の憩いの場所」へと進化してきました。太田さんにとっても、リノベーションの段階からキッチンは家の中心となる場所でした。
今では仕事をする場ともなっているキッチン。太田さんにとって、キッチンはどういう場所なのかをうかがうと
「毎日欠かさず立つ場所。ものづくりのためのワクワクするアトリエであり、家族や自分の健康を守る場所であり、料理教室をしている私にとっては、人が集い、笑顔や前向きなエネルギーに満ちた、とても大切な場所です。そこにいることで落ち着き、ワクワクし、料理していると心が浄化されていくような、そんな特別な場所であり続けて欲しいと思います。」
とこたえてくださいました。
心が浄化され、前向きなエネルギーに満ちた場所。そうあり続けたいという思い。そんな気持ちが太田さんの気持ちのいいキッチンを作り上げてきたのではないかと思います。
最後に、キッチンを素敵にするためのアドバイスをうかがいました。
「ひとつひとつ、大好きなものを少しずつ揃えていくといいと思います。なんかしっくりこないな…気に入らないな…と思うデザインのものや、使い勝手の悪いものなどは処分したり、ベストだと思えるものに自分のペースで差し替えていく。
購入品やいただきものなど、どんどん物が入ってくる場所なので、こまめに賞味期限切れチェックや、器具などの使いやすい配置を見直すことで隅々まで活き活きとしたキッチンになると思います。
『自分のお城』のような気持ちを持てると、大切に、心地よい場所に育んでいけるのではないでしょうか」
先日、太田さんの料理教室に参加させていただきました。
教室で実際に使われているキッチンを見ていると、100%活かされている様子がありありと伝わってきて、おおげさですが、キッチンが喜んでいるような気すら感じます。
丁寧に手入れされ、大切に使われているキッチン。
機能やデザインももちろん大切ですが、何よりキッチンに対する思いが一番大事なのかもしれないな、と太田さんや生徒さんが楽しそうに過ごされているのを見て思いました。
太田さんのキッチンはこれからもたくさんの人をもてなし、たくさんの笑顔を生んでいくのだと思います。
太田みおさん
料理研究家/ライフスタイルデザイナー
lifestyle atelier MAGNOLIA主宰。
Official Website:
M I O L I F E S T Y L E
instagram:
otamiojp