2017/04/12更新0like10593view

著者:niwatori*

新たな形で息を吹き返す〜町屋リノベーション

近年、町屋や古民家を中心に伝統住宅の価値が見直されてきています。2020年東京オリンピックを前に外国人観光客を意識し、日本らしさを残しつつ、次世代に繋いでいくリノベーションが注目を集めています。新築物件にはない魅力とはどんなものでしょうか。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

再生・活用していく町屋

町屋とは、日本に昔から存在した住居形態で、軒を連ねて建ち並んでいるのが特徴の家屋群です。一般的には商家が多く、表を出入り口兼店舗とし、奥に住居を構えるという造りになっています。町屋といえば京都や川越が有名ですが、奈良や金沢、滋賀県の近江八幡にも今でも残されています。

しかし老朽化や管理の難しさから、現在では年間1000軒以上も失われ、空き家も急速に増えています。老朽化した建物は、そのままにしておくと倒壊の恐れがあり非常に危険です。この状況を食い止めるにはリノベーションによる町屋の再生、そして活用につなげていくことが大事です。

町屋には、住む人が快適に暮らしていく工夫や技法がたくさん詰まっています。それら先人の知恵や奥ゆかしいディティールを継承し、そこに新たな役割を与えることでその町の魅力が引き出され、アピールしていくことで町の活性化にも期待ができます。

民家への再生

名古屋市中村区ににある築80年の町屋を民家にリノベーション。玄関から土間を抜けて光庭という、町屋の原型の再生となりました。
玄関にはワークスペースがあり、本棚は壁に造作されています。同じく靴箱も造作されており、土間では靴を脱いで過ごします。
奈良県に現存する町屋。伝統町屋の風情を壊さず耐震補強を行い全面改修しました。古い日本の街並みが残ったまま、美しい風景です。
何本もある大迫力の梁の曲線が美しく残っています。北欧家具が古い町屋にぴったり合うのも不思議ですね。
島根県出雲市の町屋の住居部分をリノベーションです。庭を囲むようなコの字型で、町屋としての既存部分に合う和風住宅としています。

商業の活性化を目指した再生

奈良市の中心市街地南東部に位置する“ならまち”の町屋をコンバージョンしたブックカフェ。
街並みに馴染んだ落ち着いた外観とは裏腹に、店内にはオーナーが世界中から集めたアンティーク物や書籍がずらりと並んでいます。
清水五条の京町家を一棟貸しの旅館に。全面床暖房を施し、中庭からの日差しも取り入れ暗く寒いイメージを一掃しました。
玄関を抜けるとポーチ、リビングが広がります。明るく開放感があり、ゆったりと旅の疲れが癒されます。
京町家をカフェへリノベーション。町屋の雰囲気を損なわずに明るく入りやすい入り口、街並みに調和した外観です。
明るくスッキリした店内。木を基調としていて中庭もあり、温かみのある和風な雰囲気です。
町屋はそこで暮らす人々の生活や街並みが基盤になっています。町屋の建ち並ぶ美しい風景、人々の息づかいを次世代に継承していくためにも、リノベーションという形で残していくことが大切です。
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