2021/06/03更新3like8080view

著者:熊井博子

工務店でもハウスメーカーでもない、設計事務所(建築家)を選ぶということ

この記事を書いた人

熊井博子さん

ビルダー・建築設計事務所に営業/広報として勤務した後、住宅専門誌の編集を経て、住宅関連の執筆と一般の方の家づくりサポート等に従事。インテリアコーディネーター、照明コンサルタント。

本格的に家づくりに踏み出すとき、依頼先の候補に地元工務店やハウスメーカーの名前はあげても、実際に設計事務所をあげるケースは多くはないかもしれません。
なんとなく気になっている“設計事務所”、“建築家”という存在、もう少し知れば具体的な候補として一歩踏み出せるようになるはずです!

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

依頼先の違いは何の違い?

設計事務所と家をつくるいうと、「とにかく高そう・変わった家をつくりそう・普通の人には縁がない」と、何か特別枠のように捉える人も少なくないかもしれません。確かに設計事務所が手がける家の中には高額な家も個性的なデザインの家もありますが、それが常ではありません。依頼する人だって、特別な人というわけではないのです。

一般に、家づくりの窓口には「工務店」「ハウスメーカー」「設計事務所」の3種があり、それぞれ施工のプロ、商品開発・営業のプロ、設計・監理のプロ、と業態や専門性が異なります。

業態や専門性が異なるということは、着眼点や捉え方、考え方が異なるということ。
工務店は施工に、ハウスメーカーは商品に、設計事務所は設計に重きをおいて家づくりをリードしますが、その違いは大きくて、事によっては良い・悪いの判断が真逆のことだってあるほどです。同じ家づくりでも、まるで違う世界観で家づくりが進んでいくのです。

設計ありき、ということ

設計事務所は、設計に重きをおいて家づくりをみる立場。言うなれば、「設計ありき」です。

工務店やハウスメーカーにも設計の担当者はいますが、設計事務所が他と決定的に違うのは、つくり手と一線を画し独立した立場にあるということ。何にもとらわれることなく本当に良いと思うものを素直に設計できるのは、独立性を保っていればこそですし、建築中に設計事務所が行う“監理”は立場が違うからこそ作用すると言えます。

思い描く家が具体的でこだわりを実現したいと考えるならそれに応えるスキルを持つ工務店を、一律の品質や企業規模など安定を重視するならハウスメーカーをお勧めしますが、もし、大事にしたいモノやコト・思い描くライフスタイルがあり、それを「よりよく叶えたい」と考えるなら、躊躇しないで設計事務所を当たってみてはいかがでしょう。

設計事務所は、設計に重きを置きたい人の強い味方になるはずです。

設計事務所の家づくりの基本の流れ

設計事務所はデザイン重視と思われがちですが、実際は施主の思いを受けてより良い結果を追求するのが基本の立場。ここでは、設計事務所の一般的な家づくりの基本の流れを紹介します。

1)ヒアリング

まずは施主へのヒアリングから始まります。望む暮らしや趣味嗜好、予算のほか、家づくりには一見関係無い話など内容は様々。いろいろな話をしながら施主の思いを浮き彫りにし、施主が本当に行きたい方向・行った方がいい方向を探ります。

2)コンセプト

要望や課題を整理し、家づくりのコンセプトを見出します。いわば、着地点を決めるようなもの。施主と共有されることもあれば、設計者の頭の中に置かれることもあります。

3)基本設計

ベースプランを策定します。ここでは全体像や基本のかたちを決めるのが目的。どこにお金をかけるか・抑えるかの予算配分もイメージされます。施主は設計者が示した案の意図や狙いを理解し、結果を想像しながら意見交換を。わからない時やしっくりこない時にはきちんと伝えるのが大事です。そうしたやりとりを重ね、ベースプランができていきます。

4)実施設計

基本設計をもとに詳細を詰め、練り上げます。デザインや仕様など細かな話が出るのもこの頃。平面図や立面図もより詳細になり、矩計図や基礎伏図、屋根伏図など施工業者が見積もりや工事をするのに必要な内容が検討・図化されます。

5)見積もり

施工業者に見積もりを依頼し、出された見積もりに漏れや誤りがないか精査します。予定額を大きくオーバーした場合には、代替案を検討するなどしてコストダウンを図り、予算と折り合いをつけます。

6)施工監理

設計図通り適切に工事が行われているかを確認する“監理”を行います。必要に応じて現場サイドと協議したり、指示することも。現場を切り盛りする“管理”とは役割が異なり、専門知識を持つプロとして、第三者的立場で完成までを見届けます。

設計事務所により違いはありますが、ここまでが基本の流れ。
こうしてみてみると、設計者はただ“デザインを追求する人”ということでなく施主の代理として考え、動くことがわかります。

設計事務所との家づくりの心得

家づくりのパートナーに設計事務所や建築家を選ぶなら、心得ておきたいことが3つ。

「考えの合うところに依頼する」

設計事務所ならどこでもいい結果になるとは限りません。設計事務所にも個性があり、どんなデザインが得意か・何を大事に考えるかはそれぞれです。その設計者の設計する家が好きであることはもちろんですが、さらに考え方や相性を確認してから依頼するのが鉄則。ここが折り合わないまま進めれば、お互いストレスばかりで同じゴールを共有するのは難しくなります。

「きちんと伝える」

設計者は、施主の代弁者であり案内人です。何を思っているのかわからなければ答えの出しようがないですし、どこに向かって行けばいいのかわかりません。自分の思いや考え方、好き嫌いはきちんと伝える必要があります。曖昧や遠慮ほど、やりづらいことはありません。施主の熱量はそのまま設計者の熱量になることをお忘れなく!

「プロの力を借りる・委ねる」

意向や思いを伝えたら、相手に委ねる・任せるのもプロとの上手な付き合い方のコツ。設計者は知識や経験の詰まった引き出しを持っているのですから、生かさない手はありません。施主が上手に“乗っかれば”、プロはたくさんの知恵を絞り出してくれるでしょうし、逆であればそれが生かされる機会はなくなります。
せっかく設計事務所に依頼するなら、施主の知識範囲の小さな世界観で家づくりを終わらせてしまうことのないように、プロの力を思う存分使いましょう!

設計事務所に依頼することは、家族で構成される“家づくりチーム”にプロを加え、プロの知識や技術をチームの武器できるということ。しっかりタッグを組めたら、家族だけではたどり着けない景色にたどり着けるはずです。
施主の思いを設計でかたちに表し、それが実現するようゴールまで寄り添ってくれるパートナー、設計事務所。
自分に合っているスタイルと思ったら、相性の合うパートナー探しをしていきましょう!
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