2022/09/20更新1like2378view

著者:tennto1010

子供の居場所〜思春期の変化を考えた住まいのあり方~

親の視線に安心感を覚えた幼少期を終えて、次第に親の目がうっとうしくなる思春期を迎えた子供たち。そんな思春期の子供にとって、家の中に自分の居場所をもつことはとても大切です。親元を巣立つ準備をはじめ、多感な時期を生きる子供のために、大切にしたい住まいのあり方について考えます。

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正しく大人扱いする

子供部屋を与えるべきか、与えるなら何歳からなのか……?親は常に、子供にとってベストな答えを求めてしまうものです。家庭の住宅事情や教育方針はさまざまですから、当然正解は一つではありませんが、思春期の子供が自立心を育み親離れをしていく過程において、自分自身のテリトリーをもち、管理する術を学ぶことは大切な経験と言えるでしょう。

※画像はすべてイメージです。

フランスの子育てに代表される「赤ちゃんを親と別の部屋で寝かせることが個の確立を促す第一歩」とする考え方にみられるように、子供に自身の領域を与えることは、子供を一個の人格として尊重していることを示す親からのシグナルでもあります。

押さえておくべきは、部屋のあり方に親の都合を押し付けるのではなく、子供自身に決めさせること。一人の大人として扱い、任せられる部分を増やしてみましょう。

居場所づくりの心得3か条

子供の意思を尊重するということは、何でも好き勝手にさせるということではありません。親の出番を見極めて、必要な口出しをすることも必要です。
ここからは厳選して居場所づくりにおいての3つの注意点を挙げてみます。

その1 侵されないテリトリーとなる居場所をつくる

【居候のような気持ちにさせない】

親のつくった家に居候のような居心地の悪さを感じるのが思春期の子供。そのなかで、自分がマネージメントしていると実感できるスペースを持たせることは、自立への第一歩です。自分が主導してインテリアを整えることで、所有の概念や整理整頓の習慣が育まれ、将来にわたる大事な生きる力の礎(いしずえ)となります。

また、「(後述する)寝るためだけの寝室とリビング書斎との組み合わせはどうか?」などと、選択肢を与えて決めさせることで、子供が部屋づくりを自分事として捉えるようになります。

【リビング学習から隠れ家スペースへの転換】

親の視線が届くオープンなリビング学習から、視線から逃れて“こもれる”書斎的スペースづくりへの転換が必要な時期です。こうしたスペースが確保できれば、必ずしも鍵がかかる個室は必要ないかもしれませんが、テリトリーを侵さない配慮はマストです。

【一脚の椅子があるだけで】

家族の視線ができるだけ交差しないスペースに、パーソナルチェアなどを置くのもテリトリーづくりの方法の一つです。勉強もパソコンやタブレットで進めることが多い時代。親世代のように、膨大な参考書が収まる学習机セットがなくても、効率よく軽やかに学習できる世代であることも考慮に入れておきましょう。

また、リビングルームの家具を、2〜3人がけのソファからパーソナルチェアの組み合わせに変え、家族間のディスタンスを確保することも、子供の居場所づくりに有効です。

その2 ぐっすり眠れる健康な居場所をつくる

子供の心身の健康や成長のためには、睡眠の量と質が重要だと認識はしているものの、「体力がある若いうちはなんとかなる!」程度に考えていませんか?しかし、睡眠が及ぼす影響は想像以上に、広く、深く子供の心に及んでいます。

【睡眠と自己肯定感との関係】

例えば、「睡眠時間が早い子ほど、自分を好きだと感じている割合が高い」つまり「自己肯定感が高い」などのように、一見関連がないように思える結果が現れた調査(※1)があります。睡眠に関わる環境整備と生活習慣の確立が、子供の心の成長にも欠かせないものであることがわかります。

※1 睡眠を中心とした生活習慣と子供の自立等との関係性に関する調査の結果(概要)
(H26文部科学省実施調査)

【あなどれない睡眠負債】

寝不足が続くことでたまっていく睡眠負債は、自律神経のバランスを崩す原因となり、不登校や社会適応能力の低下など、子供の将来に関わる重大な問題を引き起こす原因となってしまいます。反対に、質の良い睡眠をとることは、成長ホルモンの分泌と免疫力の強化、記憶の整理と定着を促すなどと良いことずくめです。「勉強しなさい!」とお尻を叩く前に、質の良い睡眠がとれる生活習慣や環境に配慮できているかどうか、親の方にも顧みる点がありそうです。

【室内環境を睡眠仕様に】

健全な睡眠のためには、適切な換気と温度・湿度の管理、照明計画など、室内環境のチェックが欠かせません。間取りや家具の配置は、湿気が溜まりカビの温床になるような場所をつくっていないか?エアコンの風が直接体に当たっていないか?差し込む朝日で目が覚める配置かどうか?などの点に注意が必要です。内装材は調湿性能など、特に空気環境を快適に整えるものにこだわって選択しましょう。

【寝るための究極の寝室】

眠りのスイッチがスムーズに入るように、脳に刺激を与えるものはできるだけ遠ざけて、寝るだけの部屋にするというのも一案です。もちろん、寝る前のゲームやスマホは厳禁!寝室への機器類の持ち込みルールは、親子で話し合ってしっかり決めておきたい事項です。

その3 退屈な時間を過ごす居場所をつくる

幼少期の部屋づくりを考える時、「子供が四六時中楽しく過ごせるように!」「刺激がある空間で、感性を磨いてほしい!」などと、とにかく親の思いを詰め込んで頑張り過ぎていませんでしたか?でも、思春期の子供にとって、熱すぎる親の思いは足かせになるだけです。

【子供部屋=勉強部屋】で追い詰めない

概して日本では、子供部屋=勉強部屋と捉えられがちです。これは、勉強だけに集中できる環境を与えることこそが子供のためになる、という親の幻想にすぎないのかもしれません。「勉強しなさい!」とばかりに部屋に押し込められた思春期の子供たち……。親への反抗心が芽生えるのも責められない気がします。

【空白の時間を味わう空間】

再び海外の例ですが、子供に退屈な時間を持たせることが大切という考え方があります。満たされない時間のなかで、自分が本当にしたいことを見極めること、楽しみ方を見つけ、自分がすべきことを見出す力が育つ、という考え方です。特に、毎日新しい情報や刺激にさらされている日本の子供たちにとって、自己を見つめるための真っ白な時間を過ごせる空間が必要なことも、意識しておきましょう。
子供のためのスペースをつくるということは、単にハコを用意することではなく、子供時代をどう過ごして親元を巣立ってほしいか、という思いを形にすることです。親の出番が徐々に減っていく中でも、子供が心身を健やかに育てる居場所を、全力で(でもさりげなく)確保する努力を惜しんではいけませんね。
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