2022/08/23更新0like7161view

著者:岩間光佐子

スリット窓とは?メリット・デメリット&選び方のポイント

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

採光や通風、換気だけでなく、断熱や防犯などにもかかわる窓。窓計画は、間取りはもちろん立地条件や周辺環境などに適したプランとすることが重要です。一般的な窓サッシには多様な形がそろっていますが、注目されているタイプのひとつが「スリット窓」。
ここでは、スリット窓のメリット・デメリット、選び方のポイントをまとめました。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

スリット窓とは?その魅力は?

スリット窓とは、細長い形状の窓、もしくは壁面に設けられた細長いスペースに設置された窓のこと。スリット(Slit)の「すき間」の意味から、細長い窓に対して呼ばれています。通常の窓と同じように採光や通風を目的に設置されますが、同時にインテリアや外観のデザインのアクセントとして用いられるケースもみられます。

特徴は、一般的な窓よりも幅が狭いため、外からの視線を遮りプライバシーを守ることが可能なこと。限られたスペースでも設置できることも魅力でしょう。また、単体で設置するだけでなく、いくつかのスリット窓を並べて設置するプランも多くみられます。デザイン的な魅力もありますが、同じ窓面積であれば、形状や設置する位置によって、小さな窓に分割して配置するほうが、大きな窓をひとつ設置するよりも部屋全体が明るくなるメリットもあります。

窓サッシメーカーからは、アルミや樹脂サッシ商品シリーズのラインナップのひとつとして設定されています。窓サッシ全体に言えることですが、最近ではサッシの枠フレームが細くなり、スリット窓も含め、すっきりとスタイリッシュなタイプが多くみられるようになりました。

スリット窓の種類

スリット窓には、縦スリット窓と横スリット窓があり、また、それぞれ開閉できるタイプとFIXタイプがあります。

縦に長い形状をしたものを縦スリット窓、横に長いものが横スリット窓と呼ばれています。設置位置にもよりますが、縦と横では、光の差し込み方や視線の抜け方が異なるので注意が必要でしょう。

開閉できるタイプは、採光だけでなく換気にも役立つのが特徴で、窓枠の左右もしくは上下の溝に沿って動く滑り出し窓などがあります。開閉できないFIXタイプは、開閉のためのハンドルがないので、すっきりとしたデザインとなります。

縦スリット窓のメリット・デメリット

縦スリット窓を設けるメリットは、まず、サイズにもよりますが縦に長い窓を設けることで縦方向のラインが強調され、空間に伸びやかさが生まれます。天井を高く感じさせることもできるでしょう。いくつかの縦スリット窓を並べることで、個性的なインテリアを実現することも可能です。

デメリットとしては、窓が小さい場合など、横スリット窓に比較して天候によっては十分に光を取り入れることができないケースも。周囲の建物などよっても採光が得られない場合もあるようです。また、縦スリット窓をいくつか並べて設置する場合、家具の配置場所に影響が出る場合もあるので注意が必要でしょう。

その他、スリット窓に限りませんが、サイズによっては防犯上のリスクもあります。1階に取り入れる場合は、幅サイズなどに配慮を。防犯性の高いガラスを用いるのも対策のひとつです。

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横スリット窓のメリット・デメリット

横スリット窓のメリットは、設置位置にもよりますが、横に長い分、光を取り込みやすく、部屋の奥まで明るさを確保することが可能なこと。たとえば、天井近くに設ければ、より多くの光を取り入れることができ、また、開閉タイプであれば、夏場の温まった空気を外に排出することも可能です。床面近くに設置すれば、日差しの影響を受けることが少なく、換気をすることもできるでしょう。

デメリットは、高所に設置した場合の開閉方法の検討が必要なこと。加えて、掃除やメンテナンスが大変なことが挙げられます。また、低い位置では、採光を得ることができる時間が限られることも理解しておきましょう。

スリット窓はどんな部屋や空間につけるのがおすすめ?

スリット窓を設置する部屋や空間として多くみられるのは、玄関や階段まわり、廊下など。どうしても暗くなりがちなスペースに、明るさや風通しを確保するために設けられます。

また、都市部の密集地などでは、プライバシーを確保するために、リビングや寝室、子供部屋などにも用いられるケースもあります。視線を遮りつつ、光や風を取り込むために、縦スリット窓をいくつか並べたり、天井近くに横スリット窓を設けるプランもみられます。

その他、主に換気を目的に、ウォークインクロゼットやパントリー、トイレなどに設けるケースも。限られたスペースでも設置できるため取り入れやすいでしょう。

カーテンやスクリーンは設置できる?

スリット窓をくつろぎの場に設置する場合、遮光の必要がある場合などは、ロールスクリーンやブラインドなどを設置するといいでしょう。窓枠の内側に合わせて設置することで、すっきりとしたインテリアとなります。また、スタイルにこだわったカーテンを取り入れても個性的な空間が生まれるでしょう。通常の窓に比べて、種類やデザインが限られたり、設置が難しい場合もあるので、あらかじめ設置可能なタイプを確認しておくといいでしょう。

その他、開閉タイプの場合は網戸も必要になります。商品としての窓サッシには、内開きもしくは上げ下げロール網戸などが設定されているので、スクリーンやブラインドとの兼ね合いも考慮して、検討するようにしましょう。

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スリット窓を検討する際の注意点、機能性・配置などを総合して考えたい

スリット窓に限らず、すべての窓計画においてプランニングの際は、設置する目的や優先順位を明確にすることが大切ですし、単体で考えるのではなく住まい全体を考慮することが基本です。専門的な知識が必要なので、実際の家づくりの中では、設計担当者からの提案を確認していくことになるでしょう。

そしてスリット窓は目的によって、縦か横か、開閉かFIXか、どこにいくつ設置するかなど、しっかりとシミュレーションすることが重要です。採光を重視したいのか、換気も必要なのか、部屋や外観のアクセントとしたいのか、など、スリット窓を設置してどのように活用したいのか、明確な優先順位をつけ、早めに相談するようにしましょう。

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岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

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