2023/05/25更新0like1266view

著者:岩間光佐子

自然の光と風を味方に!明るく風通しの良い住まいをつくるための間取りと窓プラン

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

新しい住まいを検討する際には「明るく風通しのいい家にしたい」と多くの方が望むのではないでしょうか。太陽の光や自然の風を上手に取り込むためには、間取りプランはもちろん、窓計画も重要なポイントです。ここでは、光や風を確保するためのプランニングのコツや窓の選び方などについてご紹介しましょう。

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明るく風通しのよい住まいとは?住まい全体で検討する

太陽の光が差し込む明るい住まい、自然の風が通り抜ける爽やかな暮らしは誰もが心地よく感じるものです。もちろん、季節によっては日差しを避ける必要もありますし、花粉や黄砂などが気になる季節は窓を開けることは難しいかもしれません。しかし、光や風を上手に取り込むことは、日々の暮らしの快適さだけでなく、湿気を防ぎダニやカビの発生を抑えるなど建物を長持ちさせるためにも重要なことです。

明るい光や新鮮な風を室内に取り入れるためには、開口部の計画、主に窓のプランニングが重要です。もちろん窓には、採光や通風だけでなく、眺望、断熱性や防犯性への配慮、外観やインテリア面など、さまざまな角度から検討する必要があります。
また、実際に家づくりの中では、窓計画は換気計画と合わせ専門的な知識が必要なので、設計担当者からの提案を確認する作業になります。間取りを検討するのと同時に、家全体を考慮しながら進めることが大切です。

光を上手に取り入れるには、敷地や間取りに適したプランを

季節や時間帯よって変化する光の入り方、敷地環境に合わせる

光を上手に取り入れるためには、むやみに窓を多く取ったり大きな窓を設ければいいというものではありません。スペースに適した効果的な採光を得られるようにすることが大切です。

そのためには、季節による太陽の動き、敷地の形状や周辺環境などを把握るすこと。その上で、適した場所に適した窓を、効果的に配置することが重要です。現在住んでいる家を建て替えるのであれば、太陽光の回り方、日陰げになる場所など、気になることは事前に設計担当者に伝えておくようにしましょう。

条件に適した窓形状、設置位置を

効果的に採光を得るためには、窓の大きさや形状も重要です。ある程度の大きさの窓を確保することは基本ですが、大開口の窓やハイサッシと呼ばれる天井近くまでの窓、コーナー窓などが考えられます。縦や横に広がりのある窓であれば、空間的にも開放感を生み出すことができるでしょう。

もちろん、設置する位置も重要なポイント。例えば、道路や隣家が迫っているなど、環境やプライバシーの問題で、一般的な高さに窓を設けることが難しい場合は、天井近くの壁面にハイサイドライト(高窓)やトップライトを設けたり、床面近くの低い位置に窓を設置することで、光を取り入れることが可能です。空間の使用方法に合わせて検討できるといいでしょう。

北側スペースの採光には配慮を

一般的に、南側に比べ北側のスペースはどうしても暗くなりがちです。キッチンや洗面、浴室などの水まわりは、北側にプランニングされることが多いですが、湿気がこもりやすい場所となるため、清潔さを保つためにもできるかぎり光を取り入れたいものです。

例えば、壁付けタイプのキッチンプでは、シンク前に窓があれば、手元も明るく使い勝手がよいだけでなく、洗い物をしながらの窓の外の眺めも楽しむことも可能。収納スペースを確保するために窓を設置できない場合は、ハイサイドライトやトップライトも効果的です。

洗面室も、洗顔やお化粧もしやすいように明るさを確保することを意識したいもの。洗面化粧台や洗濯機の設置位置との兼ね合いもありますが、細長い窓(スリット窓)やハイサイドライトなどが取り入れやすいでしょう。

トップライトやハイサイドライトを上手に用いる

上部からの光を確保するためには、トップライトが効果的です。壁面に設ける窓よりも効率のよい採光を得ることが可能なので、北側のスペース、廊下や階段の吹き抜け、小屋裏などに向いています。

トップライト商品としては、固定式(フィックス)と開閉式があります。開閉式には、開手動タイプと電動タイプがそろい、スイッチやリモコンで操作する電動タイプには、雨が降ると自動で閉まるセンサーが付いた商品も。設置する場所やライフスタイルに合わせて選ぶようにしましょう。

スリット窓や小窓などを効果的に設置する

周辺環境などから大きな窓を取ることが難しい場合は、スリットタイプの窓や小窓を配するプランも考えられるでしょう。細長いスリット状の窓、小型タイプの丸窓、正方形の窓など、商品バリエーションも豊富になってきています。いくつかを組み合わせて用いるケースもみられ、配置によっては外観のアクセントにもなります。
そのほか、ガラスブロックなどであれば、外部からの視線を遮り、柔らかい光を取り入れることが可能です。
キューブワン・ハウジング「ハイサイドからの光が明るいワンフロアー間取りの住宅」

吹き抜けプラン、引き戸や室内窓で奥まで光を取り込む工夫を

せっかく窓から光を得られるのであれば、できる限り室内の全体に取り込みたいものです。例えば、吹き抜けの空間を設けたり、階段室など、上部からの光を取り込むのもひとつの方法でしょう。
また、スペースの奥まで明るさを確保するためには、間仕切りをなくしたオープンな間取りとしたり、引き戸や可動間仕切りを用いて開放的な空間となるようにしても。ガラスなど光を透すパーテーション、室内窓を設ける、蹴込み(けこみ)板のない階段をプランニングするなど、空間全体に光が回るように配慮したいものです。

そのほか、限られたスペースである玄関ホールや勝手口まわりでは、窓を付けられず暗い空間となってしまう場合も。採光部分のある玄関扉や勝手口扉を選ぶことで、明るさを確保することが可能です。

風を上手に取り込むには、効率のよい窓計画や換気計画を

風の向きを把握する

風通しのよい住まいをつくるためには、まず、地域特性と周辺環境を知ること。敷地の風向き、季節風の特徴なども把握しておきたいものです。隣家が迫っていたり、マンションなどに囲まれていて風通し悪いケースもあります。建て替えの場合は、風向きや強さの特徴など、事前に設計担当者に伝えておくようにしましょう。

基本は入口と出口を設けること

効果的に風を取り入れるためには、風の入口と出口を確保することが基本。新鮮な空気を取り込むためには、汚れた空気を排出することが必要なので、風がスムーズに流れるような入口と出口を確保することが大切です。

ポイントは、地域や環境の風向きに合わせて、風上に風の入り口を、風下に風の出口をつくること。ふたつの窓は風が流れやすいように、部屋の対面上に。できれば入口と出口がある程度、離れている方がいいでしょう。

また、上下に窓を設けることでも風は通り抜けやすくなります。暖かい空気は上部の窓から抜けるので、ハイサイドライトやトップライトなども効果的。ひとつの面の壁にしか設けられない場合は、床面近くと天井近くに入口と出口を設け、縦に風が流れるようしておくのもいいでしょう。

設置する場所に適した形状やデザインを

窓を設置する場所に適した、風を取り込みやすい形状やデザインのものを選ぶこともポイントです。例えば、屋外に面した窓には、全開口タイプの引き戸を選び、たくさんの風を取り込む、プライバシーが気になるのであれば、細めの縦滑り出し窓を並べても。外側に開くタイプの窓であれば、外壁に沿って流れる風を室内に取り込むことも可能です。風を取り込みやすい形状を検討しつつ、設置場所に合わせた機能を持つタイプを選ぶことが大切です。

換気に配慮したい水まわり

キッチンや浴室、洗面やトイレといった水まわりは、通風や換気を重視したい場所。北側にプランニングされることも多い洗面室や浴室などは、防犯面やプライバシーも気になるだけに注意が必要です。

例えば、天井近くの高い位置に窓を配置したり、ジャロジー窓などを用いることも考えられます。隣家が迫っているのであれば、窓の外側に可動ルーバーなどを設置して、通風と採光を確保してもいいでしょう。

引き戸などで家の中にも風を

風が通り抜けるような窓プランとしても、風を遮るような間取りでは効果を発揮できません。自然の風を効率的に住まい全体に行き渡らせるためには、光を取り入れるのと同様に、できる限り開放的な間取りとするのが理想です。

例えば、室内扉には、開け放すことができる引き戸や可動式の扉を間仕切りとしたり、ルーバータイプの建具や格子状の間仕切り建材などを用いても。階段は蹴込み(けこみ)板のないオープンなデザインとするなど、空気が滞留しないようなプランを心がけることがポイントです。

通風可能な窓シャッターや玄関扉

通風や換気を確保したいけれど、防犯面が心配、という場合もあるものです。例えば、換気機能のある窓シャッターや雨戸などを設置したり、換気のできる玄関扉や勝手口ドアを選ぶことも考えられます。防犯面だけでなく、プライバシー確保が難しい場合などにも適するアイテムでしょう。

エクステリア計画も含め、間取りと同時に検討する

そして、採光通風を確保するために重要な窓計画は、間取りと大きく関わるもの。住まいのプランニングと同時に検討することがとても重要です。
例えば、密集地で窓を設けにくい場合でも、中庭を設けた間取りとすることで、中庭を囲む壁面に窓を設置が可能になるでしょう。吹き抜けのあるプランとすれば、高い位置からの光や風を取り込むこともできます。

そのほか、建物本体だけでなく、敷地全体に風が通り抜け、光が差し込むようにエクステリア計画にも配慮したいもの。風通しのよい形状のフェンスを選んだり、テラスには光を通す屋根材を用いるなど、敷地の環境に合わせ、住まい全体をトータルで検討することが重要です。

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岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

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