2023/12/10更新0like2466view

著者:岩間光佐子

掃除がしやすい住まいとは?プランニングで検討したい間取りや収納、設備・建材選びについて

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

快適な家づくりのために、生活動線やインテリア・性能などさまざまな工夫のほか、掃除やお手入れのしやすい環境づくりも重要なポイントです。
日々のお手入れの積み重ねで、年末の大掃除もグッと楽に!
ここでは、掃除がしやすい家づくりを実現するために知っておきたい、間取りや収納、設備機器・建材の選び方などをまとめました。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

掃除やお手入れのしやすい住まいとは?

住まいはいつも、いつまでも、美しく清潔に保ちたいものです。そのためには、家づくりの際に、掃除やお手入れのしやすさを意識することが大切でしょう。

日々の掃除やお手入れがラクな住まいにするためには、まず、間取りプランや空間のつくり方にポイントがあります。
例えば、
・ シンプルで凸凹の少ない空間とする
・ 汚れやすい水まわりをまとめて配置する
・ 物が散らからないように使いやすい収納を設けておく

といった検討が必要でしょう。

また、汚れがつきにくく、お手入れがしやすい設備機器を取り入れる、掃除のしやすい床材や壁材を選ぶ、カビが生じないように風通しのよい窓プランなども合わせて検討しておきたいものです。

1. シンプルな形状の間取りと空間構成

間取りプランで配慮しておきたいことは、まず、シンプルな空間をつくること。床の凸凹や段差は、掃除機が使いにくくなったり、ホコリが溜まりやすくなることも。すっきりとした空間構成を意識することで、汚れに気が付きやすく、床掃除用のワイパーなども使いやすいでしょう。平面的な構成は、床だけでなく、壁や天井も同様です。室内を囲む全体に検討することが必要です。

間取りとしては、回遊プランなども掃除がしやすいと言われています。行き止まりのスペースがなく、行き来しやすいため、効率の良い家事動線が生まれるケースが多いようです。

また、階段の形状もポイント。階段の踏み板が一般的な四角になるように、できるだけ単純な形状の階段は掃除もしやすいでしょう。90度に曲がるタイプなどで、踏み板が三角形のようになると、掃除がしにくくなりがちです。

そのほか、掃除の手間がかかる水まわりは、配置を集約させると掃除の効率も高まるもの。家事動線はもちろん、掃除の動線を短くすることが手間を減らすポイントのひとつです。

2. 収納プランの充実

収納計画の良し悪しも日々のお手入れのしやすさに大きく影響します。壁面収納を設けたり、ウォークインクロゼットやシュークロゼットをプランニングすることで、すっきりとした空間となり、また、置き家具を設置しないことで床面が生まれ、掃除もしやすくなります。掃除機やお掃除ロボットなどが動作しやすい床面を確保することもポイントでしょう。

収納計画の基本である「出しやすく、しまいやすい」プランとすると同時に、収納するモノに合わせて、扉を設けるなどホコリが溜まらない工夫もしたいもの。デザイン的なバランスも必要ですが、開放的な見せる収納が多いと、掃除の手間も増えてしまいます。

また、必要な場所に、掃除用具の収納スペースの確保しておくと使い勝手がいいでしょう。掃除機など、電源や充電が必要な用具を用いる場合も多いので、コンセントの位置や数にも配慮しておくことも大切です。

3. 掃除をラクにする設備機器選び

水まわりを中心に最近の設備機器は汚れにくくお手入れのしやすい工夫が随所にみられます。各商品の特徴を確認した上で、わが家に適した機能を持つタイプを選ぶようにしましょう。

キッチン

新築でもリフォームでも多く取り入れられるシステムキッチンは、各メーカーともにお手入れのしやすい商品を提案しています。特に掃除が面倒に感じる方が多い換気扇は、フード本体やフィルターなどの形や加工に工夫を施したものがみられます。汚れが溜まりにくいフードや 特殊加工したファンやフィルター、長い期間掃除が不要なタイプも増えてきています。

また、シンクや排水口も素材や形状が工夫されていたり、表面加工などによって汚れにくく、掃除のしやすいタイプが多くみられます。水栓金具もタッチレス水栓といった、汚れがつきにくいものを選びましょう。

そのほか、加熱機器では、お手入れのしやすさが特徴のIHクッキングヒーターもバリエーションが豊富に。ガスコンロは、天板の素材やコーティングなど、メンテナンス性を高めたものが多く、簡単に外して洗うことが可能なシンプルでコンパクトな形状のゴトクなどもみられます。

バス

システムバスも素材や形状に工夫を施して、ラクにお手入れできる工夫が多くみられます。
床材は、表面の形状や処理加工に工夫し、水が残りにくく、速乾性を重視した床材が標準的に。排水口も流水でゴミがまとまるものや、すっきりとした形状で汚れや水アカが溜まりにくいタイプもあります。

浴槽は、素材の表面に工夫を施し、汚れがつきにくく、掃除がしやすいタイプも増えており、商品によっては 自動で浴槽を洗う機能を持つタイプも。また、カビや汚れが溜まりにくい、換気口の位置や形状を工夫した出入口扉の商品もそろっています。浴室暖房乾燥機などを設置して、カビ対策を施しておくのもいいでしょう。

トイレ

汚れが気になるトイレでは、衛生陶器である便器や便座がポイント。いずれも形状や表面加工などで、汚れがつきにくく落としやすい工夫が施された商品が多くみられます。継ぎ目やフチ裏を無くした形状の便器や、表面に加工を施した、汚れがつきにくく落しやすいタイプ、水アカの付きにくい新素材や独自の洗浄方式で汚れを落とす商品も。

また、便器内部を除菌したり、ボウル面にミストを吹き付けるなどして汚れの付着を防ぐ機能などもみられます。そのほか、床から浮かせて設置するフロートタイプのトイレであれば、床面の掃除がしやすいでしょう。

4. お手入れのしやすい建材選び

内装材や建材にも、お手入れのしやすさを意識したいものです。空間の使い方や掃除の仕方に適した素材を選び、それぞれの耐汚性や耐水性、メンテナンス性などを事前に確認しておくことが大切です。

内装材

住宅に用いられている床材は、木質フローリングやカーペット、クッションフロアなどが一般的です。多く用いられているのは複合フローリングの場合、表面加工などによって性能が高められています。汚れやすい水まわりには、耐水性はもちろん、汚れ防止や耐傷性のあるものを。室内で犬や猫を飼っている場合は、粗相(そそう)や傷の対策を施したタイプを選ぶことでお手入れもラクになります。

また、壁装材にも性能を高めたタイプが多くみられます。多く用いられるビニールクロスなどは、空間に合わせて、汚れや傷に強いタイプなどを選ぶといいでしょう。調湿性のある素材は、カビの発生を抑えるメリットがあります。

室内建具

室内建具の選び方も家事のしやすさに影響します。例えば、室内扉をドア(開き戸)ではなく引き戸とすれば、開け放しておくことが可能。扉が邪魔にならず、掃除もしやすいでしょう。床面がフラットになる(枠・レールのない)上吊タイプとすれば、ゴミもたまりにくく、掃除機がかけやすいメリットもあります。

掃除が面倒になりがちな窓。採光・通風のために設けた高窓やトップライト、階段や吹き抜け周辺の窓など、手が届きにくい窓は事前に安全に掃除ができるかの確認を。屋外側からの掃除方法も確認しておきたいものです。
また、窓の開閉スタイルによって掃除のしやすさは異なります。比較的窓拭きがしやすいのは、内開き窓や回転窓など。設置場所と合わせて窓のスタイルも検討するようにしましょう。

そのほか、家じゅうに風が通り抜けるような窓計画も重要なポイントです。カビの発生の原因となる湿気がこもらないような配置、窓スタイルを掃除のしやすさとのバランスを考えながらプランニングするようにしましょう。

外壁

室内だけでなく外まわりも意識したいものです。メンテナンスフリーの建材を選ぶことも方法のひとつ。雨で汚れを洗い流すことができる機能のある外壁材、耐久性のあるタイルなどもあります。イニシャルコストが高くなる場合もありますが、長期的なメンテナンスコストを考慮して検討しておきましょう。
わが家を美しく保つためには、家づくりの際に掃除やお手入れのしやすさに配慮することが大切です。プランニングや取り入れる設備や建材を含め、トータルで検討を。日々のわが家の暮らし方、将来的のライフスタイルの変化などもイメージしながら、必要な機能を持つアイテムを選ぶようにしましょう。

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岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

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