2021/06/12更新3like9160view

著者:岩間光佐子

土間のある家をつくるときに注意してほしいこと

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

内と外をつなぐ空間として、土間スペースが注目されています。一般的に、土間とは、タイルやモルタルで仕上げた床面スペースのこと。多くは玄関に取り入れるものですが、最近では、さまざまなプランもみられます。ここでは、土間をプランニングする際の考え方、素材選びなどの注意点をみていきます。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

土間とは、床をタイルやモルタルで仕上げたスペース

土間とは、一般的に、屋内に設けられた三和土(たたき/土やコンクリートで仕上げた床)部分、モルタルやタイル、石を張るなどして仕上げだ床面のことです。屋根だけが設けられた外土間というプランもあります。

通常の住宅の場合であれば、玄関スペースに土間(玄関の三和土と呼ばれることも)が取り入れられています。しかし最近では、玄関だけでなく、他の空間に土間スペースを設ける間取りもみられます。

土間を設けるメリットは、屋外と屋内の中間的なスペースを設けることで開放感を得られること。天気や外からの汚れなどを気にせず利用できるため、多様な使い方が考えられることなど。デメリットとしては、プランニングにもよりますが、汚れやすい(汚れを持ち込みやすい)こと、湿気が溜まったり、空調管理が難しいこと(冬場の寒さ)などが挙げられるでしょう。

主に用いられる床面仕上げ素材と選び方のポイント

土間の床に用いられる主な仕上げ材の種類と特徴をみていきます。

タイル

玄関の三和土に多く用いられている素材。デザインや価格帯など商品バリエーションが豊富に揃い、どんなデザインの住宅でもコーディネートしやすいのが魅力。滑りにくいタイプなどもあります。一般的にお手入れは、目地部分の埃(ほこり)を取り除き、必要であれば雑巾で水拭きをしておくようにしましょう。

天然石

高級感のある御影石や大理石などがみられ、色味や柄も多様。表面の仕上げによっても表情が異なります。吸水率が高い石材の場合は、水分を含むとシミの原因にもなります。雨水や泥水には注意が必要です。

モルタル

モルタル(セメント+砂)を用いる場合、仕上げの方法によって、洗い出し(表面を洗い出し、骨材を露出させた表面仕上げ)、コンクリート金コテ仕上げ(金コテを用いた平滑な仕上げ)、刷毛引き仕上げ(刷毛目をつけた仕上げ)などがあります。タイルや石とは異なり、目地のない仕上げとなることが魅力。顔料を用いて色を付けることも可能です。
土間スペースの床素材選びのポイントは、デザイン性や耐久性もちろん、土足での使用に適した機能を持つことが基本です。また、屋内と屋外をつなぐ空間であることから、美しさを保持できることも大切。外から入ってくる埃、雨天の際の水などに対して、汚れにくく、お手入れしやすい素材を選ぶようにしましょう。また、濡れた靴でも滑りにくい素材としたいもの。小さなお子さんや高齢の方がいらっしゃるご家庭の場合は、特に配慮しておきたいポイントです。

検討する際には、できる限りショールームや見本を取り寄せるなどして、素材の実物をチェックすること。カタログやホームページだけでは、本来の色や素材感が分かりにくいものです。可能であれば、現場に実物サンプルを持参し、床面(使用する場所)に置いて確認するようにしましょう。

土間スペースの主な使い方とプランニングの注意点

一般的な住まいでみられるプラン例とプランニングの注意点を紹介しましょう。

玄関収納(シュークローゼットなど)

最近、多くみられる間取りのひとつが、玄関の土間スペースを広げたり隣接させるなどして、シュークローゼットとしたプラン。靴のまま、土足で出入りできる収納スペースです。靴だけでなく、コートなどの衣類、アウトドア用品などを収納するケースもみられます。シュークローゼットから直接、廊下(居室)などに出入りできる家族専用の動線を持つプランもみられます。

家族、来客とのコミュニケーションの場

玄関の土間部分を広げ、接客の場とするプランも考えられます。テーブルやチェアを置いたり、ベンチを設けてもいいでしょう。靴を脱がずに利用できるので、気軽にコミュニケーションを図ることも可能。趣味のモノや家族の作品などを飾るギャラリーとしても、話題となり楽しいのではないでしょうか。

趣味空間(自転車、バイク)として活用する

自転車やバイク、釣りやキャンプ用具など、アウトドア関連の道具の収納、メンテナンスや修理などの作業空間としても土間スペースは使いやすいものです。

玄関スペースを広げることも考えられますが、外との行き来や間取りによっては、勝手口付近や庭近くに設けても。収納スペースやコンパクトな手洗いスペースなどもプランニングすることで使い勝手のいい空間となるでしょう。
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庭とのつながり、ガーデニングなどで利用

くつろぎの空間につなげて土間スペースを設けるプランも考えられます。庭に面したスペースであれば、ガーデニングや家庭菜園などを楽しむ場として利用できるでしょう。庭のテラスと一体化させれば、より開放的な空間が生まれます。

リフォームで取り入れる場合は、土間タイプのサンルームなどを設置する方法もあります。エクステリアメーカーからはさまざまなサンルームタイプの商品が提案されています。居室からも屋外からも行き来がしやすい場所に設置することがポイントです。
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ペットの居場所

室内で飼育することが多いペットの居場所として、土間スペースを利用してもいいでしょう。床の素材によっては、お手入れもしやすく、清潔さを保ちやすいものです。家族がいる場所、庭へも行き来しやすい場所にプランニングするといいでしょう。

通り土間を取り入れる

通り土間とは、玄関などからつながる廊下状の土間スペースのこと。古くからある京都の町家などでみられるプランです。間取りにもよりますが、玄関から庭、勝手口からキッチンへ通り抜けられたり、空間を分ける仕切りとしての機能を持たせることも考えられるでしょう。

取り入れる際に配慮しておきたいこと

間取りプランにもよりますが、土間スペースを設ける際に配慮しておきたいポイントをまとめました。

冷暖房

構造や断熱性能、間取りプランなどにもよりますが、土間スペースでは、冬場の寒さが気になるケースもあるようです。空間の用い方によっては、床暖房を取り入れることも考えられるでしょう。また、冷暖房効率を高めるため、土間と居室との間に間仕切り扉を設けておく方法もあります。

湿気

プランニングにもよりますが、土間スペースは、湿気がこもりやすく、結露が生じる場合もあります。換気に配慮すると同時に、内装材に調湿効果のある素材を選んでもいいでしょう。

段差

土間スペースをプランニングする場合、多くは居室の床面との段差が生じるものです。土間スペースの使用目的に適したつくりとすることが基本ですが、段差の寸法や上り下りの方法などは十分に検討を。高齢になった場合など、将来的な日々の暮らしもイメージして検討することが大切です。
谷村 茂「リビングに吹き抜け土間のある家」

空間全体で検討する

多様な使い方が可能な土間スペースは魅力的ですが、敷地条件はもちろん、家族構成やライフスタイルに合わせて検討すること。土間スペースとする目的、使用方法、必要な広さなどを明確にすることが大切でしょう。使い方に合わせて、採光や通風、内装や照明計画などにも配慮を。モデルハウスやSUVACOの実例なども参考に、居室との関連性、生活動線などを考慮して、住まい全体でプランニングすることが重要です。
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岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

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