2019/09/12更新0like10459view

著者:佐藤ゆうか

防火地域で木造住宅が建てられる、木造耐火建築物のメリットとは

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

「木造住宅は火災に弱い」というイメージを持っている方が多いようです。木造は骨組が木材なので、鉄筋コンクリート構造や鉄骨造に比べると、そう思いがちですよね。しかし近年は火災に強い木造住宅もあり、防火地域でも建設が可能になってきています。この記事では「防火地域とは何か?」という説明や、火災に強い耐火木造建築物を建てるメリットについてお伝えします。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

防火地域って何?

日本で建てられる建築物は、火災が発生しても周囲の建築物に燃え移ることがないように、建物自体に防火性能を持たせることが決められています。

防火性能の度合いについては、地域によって厳しさが4段階に分けられており、防火地域とはその中でも最も制限の厳しい地域のことを言います。

防火地域の建物への制限は、次のように定められています。

・最低でも準防火建築物とする
・3階建以上の建物は耐火建築物とする
・延べ床面積が100平方メートルを超える場合は耐火建築物とする

防火地域は、耐火建築物か準耐火建築物しか建てられない地域だということですね。

防火指定がない地域に建てられる建物は、周囲からの延焼のおそれがある部分のみを防火設備でつくればOKであることが多いです。

一方、耐火建築物は、建物の内部や周辺で起きた火災に対してその火災が終了するまでに建物が倒壊しないことを目的としていて、主要構造部を耐火構造とし、開口部などを防火設備でつくる必要があります。

準耐火建築物とは、耐火建築物に準ずる構造の建物のことを言います。

木造住宅は防火地域で建てられるの?

防火地域が建物の耐火性能に最も厳しい地域であることはお伝えしましたが、そのような場所でも木造住宅を建てることはできます。

その方法は以下の2つです。
・延べ床面積100平方メートルを超えないようにする
・国土交通省の認定を受けた木造耐火建築物にする

木造耐火建築物は取り扱いできる会社が限られるため、事前に建てられるところを探してから土地を購入することがおすすめです。

また、述べ床面積100平方メートルというのは30坪くらいなので、2~4人で暮らすには広すぎず狭すぎず、ちょうどいい広さと感じる人も多いでしょう。

防火地域の土地を購入する場合、100平方メートルを超えない広さの家を建てることも検討してみてください。

防火地域で木造住宅がおすすめの理由とは?

防火地域で木造住宅を建てる場合、さまざまなメリットがあります。次のメリットを確認して、検討材料にしてください。

・コストが安い
鉄筋コンクリート構造や鉄骨造の建築物と比較すると、安い費用で建物をつくることができます。

・工期が短い
他の構造と比較して、工期が短く済みます。スケジュールが厳しい場合や、仮住まいなどの諸経費の削減につながります。

・狭い場所でも建てられる
防火地域は道が狭く建物が密集している場合が多いため、鉄筋コンクリート構造や鉄骨造で必要な大型重機が使えない場合があります。木造建築であれば、そのような場合でも対応できます。

・火災時も長く強度が保てる
鉄を使った建築物は火災に強いイメージがありますが、鉄は550度を境に突然強度が低くなり、建物が一気に倒壊する恐れがあります。一方で木造建築物は、火災時でも芯が燃え尽きるまで強度を保ち粘り続ける特性があります。そのため、消火活動も行いやすいといわれています。

・設計の自由度が高い
木造は鉄筋コンクリート構造や鉄骨造の建物に比べて、設計の自由度が高いという特徴があります。将来的にリフォームで間取り変更を行いやすく、家族の変化に柔軟に対応できる構造といえます。

・火災保険が安くなる
木造住宅のデメリットとして火災保険が高いことが挙げられますが、耐火構造の場合は木造住宅でも火災保険が高くなることはありません。
防火地域とは何か?ということから、木造耐火建築を建てるメリットについてお伝えしました。木造住宅はこのほか、「人が暮らす構造として人の脳波を安定させて心を安らげる」「環境にやさしい」などのメリットもあります。防火地域に土地を購入した場合でも、従来の構造だけでなく、木造耐火建築物を建てることも検討してみてください。

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