2024/07/28更新0like1080view

著者:岩間光佐子

「ピットリビング」とは?メリット・デメリットや魅力を事例と合わせて解説

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

住宅の床面はフラットにすることが一般的ですが、あえて段差を設けるプランも考えられます。小上がりやスキップフロアといった床に上がりを設けるプランも人気な一方で、「ピット=くぼみ」をつくるケースも。

ここでは、くつろぎのリビングにメリハリや個性をプラスする「ピットリビング」のメリット・デメリットやプランニングのポイントを解説します。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

ピットリビングとは?

ピットとは、穴やくぼみのこと。フラットな床面の一部にくぼみ(多くは20cm程度)を設けるプランは、くつろぎの場であるリビングに取り入れられるケースがみられます。

最近では、LDKをひとつの空間にまとめる間取りも増えてきており、同じ空間でもそれぞれの場を明確にする方法のひとつとして、注目されているようです。

ピットリビングのメリット・デメリット

まず、床面にくぼみを設けるピットをリビングに設ける場合のメリット・デメリットをみていきましょう。

ピットリビングのメリット

・落ち着きと独立性が生まれる
床面をくぼませることによって、落ち着きを感じることができるのが大きなメリット。こもるような、包まれているような雰囲気や安心感が得られる印象です。段差などのつくりにもよりますが、ほかスペースとの区切り、仕切りの役割を果たすことも。前述のように、例えばLDKがひとつの空間の場合、くつろぎの場として、リビングにある程度の独立性を持たせることもできるでしょう。

・開放感を得ることができる
床面が下がっている分、天井が高くなるので、開放感を感じるられる特徴も。吹き抜けのある空間であれば、より広がりを得ることができるでしょう。

・多様な使い方が可能
段差部分を利用して腰を掛けられたり、段差の内部を収納スペースとしたりと、多様な用途への活用が考えられます。

ピットリビングのデメリット

・掃除の手間がかかる
ピットのあるプランだけではありませんが、床面に段差がある場合、掃除機などが使いにくい場合も。ロボット型の掃除機も有効に活用できないかもしれません。

・安全性への不安
段差があれば、つまづいたり転んだりする危険性も生じます。幼い子供や高齢の方がいる場合は、十分に検討することが大切です。

・寒さやメンテナンスへの影響も
低い場所になるため、冬場に冷気が溜まり、寒さを感じるケースもあるようです。また、床面を造作することになるので、部屋の模様替えやレイアウト変更が難しい場合もあるかもしれません。床下が狭くなることで、住まい全体の点検やメンテナンスに影響を及ぼさないようにしておきたいものです。

ピットリビングのプランニングの注意点

ピットリビングを取り入れる際に気をつけたい点をみていきましょう。

使い方をイメージ、優先順位を明確に

おしゃれな雰囲気だから、居心地がよさそうだから、と安易に取り入れては有効活用できない場合も。プランニングの際には、具体的にそのスペースで誰が、いつ、どう過ごすのかをイメージにしておくことが大切です。そして、そのこだわりの優先順位を明確にしておくこと。幼い子供の遊び場にしたい、ゆったり読書や映画を楽しみたい、友人を呼んで楽しみたい、など、ピットで過ごす時間を思い描いでみることが大切です。

ほかのスペースとのつながりや動線を配慮

ピットからダイニングやキッチン、廊下などへのつながりも十分に検討を。動線を考慮してどの位置が使い勝手がいいのか考えるようにしましょう。同時に、ソファやテーブルなど家具選びやレイアウトも早めに検討を。特にソファの座面高さ、背の高さは段差との兼ね合いに配慮することが大切です。また、テレビの位置、高さも事前に確認しておきたいポイントです。

段差利用は慎重に

段差部分を利用して収納スペースを設ける場合は、十分に検討を。引き出しを組み込むのであれば、引き出すスペースも必要ですし、開閉方法によってはソファなどを置くスペースに影響が出ることも考えられます。

素材にこだわりより心地よく

ピット部分の素材選びにもこだわりたいところ。ほかのスペースと異なる床材を用いて楽しむのもよいでしょう。くつろぎを重視してカーペットや畳としたり、幼い子供がいる場合は、汚れにくくお手入れしやすいマットなどもよいかもしれません。

さまざまなピットリビング

床面を畳スペースに

最近では、床素材としての畳が見直されています。畳スペースを設けたり、置き畳を活用するなど、多様な使い方がみられます。ピットの床材を畳とすることで、ソファなどを置かなくても、限られたスペースでも、くつろぎの空間を実現することが可能でしょう。

窓面に向かって広がりを確保

窓外の眺めを取り入れたい場合、低い視線からの外の広がりを確保したい場合など、窓近くにピットを設ける方法も。

ストーブを設けてくつろぎをアップ

暖炉やストーブを設置するスペースを兼ねて段差を設けるプランも考えられます。家族があつまる仕掛けを取り入れることで、くつろぎの空間が生まれます。

マンションリフォームでも

プランニングや構造にもよりますが、マンションでも床面に段差を設けることが可能です。少しの段差と床材に変化をもたせることで、壁を設けずにスペースを分けることができるでしょう。
ピットリビングには多様なプランが考えられます。家族構成やライフスタイルを考慮して、現在だけでなく、将来的にも使い勝手のよいプランニングを検討することが大切です。

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岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

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