2022/10/18更新0like2655view

著者:岩間光佐子

土間、ウッドデッキ、テラス...「内と外をつなぐ」くつろぎや気分転換スペースの上手な空間づくり

この記事を書いた人

岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

ライフスタイルの多様化が進んでいる中で、家にいる時間が増えている方や、住まいにちょっとした変化を求められている方も多いのではないでしょうか?家づくりの際には、くつろぎの場としてはもちろん、仕事中の気分転換の空間として、室内と屋外の中間的なスペースも確保しておきたいものです。
ここでは、内と外をつなぐ空間実例とプランニングの考え方をまとめました。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

今、求められている「内と外をつなぐ空間」

間取りプランを検討する際には、ゆったりくつろげるリビングが欲しい、快適で心地のよい部屋にしたい、とあれこれ悩むものです。働き方が変化する中、自宅で過ごす時間も長くなり、わが家の居心地にこだわる方も増えているのではないでしょうか。

くつろぎの時間を過ごしたり、ストレス解消のためには、部屋の中だけでなく、屋外の心地よさを感じるプランとしたり、屋外空間を取り込んだスペースを設けることもひとつの方法です。

SUVACOが行った住まいに関するユーザーアンケート「コロナ禍が続くこの1年間で、プランや設備などの要望に新たに追加されたもの・ニーズが増したもの」(実施時期:2022年1月12日~1月31日)の結果からも、回答者の26%の方が
・「緑が感じられること」
と回答していて、自然を感じる暮らしを求める人が増えていることが読み取れます。


このようなニーズからも、日々の暮らしの中で緑を感じられるようにするためには、庭プランへの配慮はもちろんですが、屋内と屋外をつなげるスペースを上手にプランニングすることもポイント。
例えば、くつろぎの場にウッドデッキを隣接させたり、土間空間を設けるといった方法が考えられるでしょう。これらのスペースを設けることで、空間的な広がりはもちろん、精神的な開放感も感じることができ、仕事中の気分転換のスペースとしても活用できるといったメリットも。趣味の場や家族のくつろぎの場としてだけでなく、プランニングによっては近隣とのコミュニケーションの場となるかもしれません。

内と外をつなぐ空間としては、前述の土間空間やウッドデッキだけでなく、縁側やテラス、サンルーム、ベランダ・バルコニーなども考えられます。それぞれの特徴やプランニングのポイントをみていきましょう。

さまざまな用途に利用できる注目の「土間空間」

最近注目されているのが土間空間です。

土間とは?

一般的に、屋内に設けられた三和土(たたき/土やコンクリートで仕上げた床)部分のことで、モルタル、タイルや石を張るなどして仕上げた床面スペースを指します。通常の住まいでは、玄関スペースに土間(玄関三和土)が取り入れられていますが、最近では、玄関土間のスペースを広げたり、くつろぎの場などに土間を隣接させるプランもみられます。
土間空間は天気や外からの汚れなどを気にせず利用できるスペースとして、多様な使い方が可能です。玄関に土足で行き来できるウォークインシュークロゼットを設けたり、自転車や釣りなどアウトドアの趣味の道具のメンテナンスをしたり、庭まで続けるプランであれば通り土間として利用することもできます。

注意したいのは、土足使用のため、汚れやすかったり、汚れを持ち込みやすいことも。プランニングや床材選びには十分な配慮が必要となり、湿気や空調管理なども使用方法に合わせて対処しておきたいものです。

床に用いられる主な素材は、タイルや石、モルタルなどですが、デザイン性や耐久性、土足での使用に適した機能を持つものを選ぶことが基本です。デザインや価格帯など商品バリエーションが豊富にそろうタイルは、滑りにくいタイプやお手入れしやすいタイプを。御影石や大理石などの天然石は、色味や柄も多様ですし、仕上げ方法で表情もさまざま。吸水率が高い石材は、シミの原因になるので雨水や泥水には注意が必要です。モルタルは、仕上げの方法によって、洗い出しやコンクリート金コテ仕上げ、刷毛引き仕上げなどがあるので、空間イメージに合わせた仕上げを選ぶようにしましょう。

根強い人気の「ウッドデッキ」

内と外を行き来するスペースとして根強い人気があるのがウッドデッキでしょう。

ウッドデッキとは?

グランドレベル(地面)から高さを設けた木材でつくられた甲板のこと。本来は、天然木を用いたものですが、実際には、エクステリア建材として、木粉と樹脂を混ぜるなどした人工的な商品も含むことが多いようです。天然木のデッキの魅力は、樹種によっても異なりますが、その素材感。一方、樹脂製は、耐久性やメンテナンス性の高さが特徴です。
天然木の主な樹種は、ウェスタン・レッドシダー(米杉・カナダ杉)やイペ、ウリンなどの強度と耐久性があり腐りにくい木材。防腐剤などの薬剤を注入し、腐食を防止し耐久性を高めた素材もみられます。樹脂製建材は、メーカーや商品によって素材の構成は異なりますが、木目の模様や溝などを表現した、天然木の質感を持つ素材も増えてきており、カラーバリエーションも豊富にそろいます。リフォームで取り入れやすい、施工のしやすさに工夫を施したタイプもあります。

プランニング際には、どのようにデッキスペースを利用するのかイメージすること。椅子やテーブルを置いて食事をするのか、子供の遊び場とするのかなど、具体的に考えてみることで、広さや室内とのつながりがみえてくるでしょう。食事をしたいのならキッチンからの行き来を考慮したいですし、子供の遊び場であればリビングから続くようなプランが向いているかもしれません。

どのように使用するとしても、ある程度室内の床面とフラットにつながること、開放しやすい窓サッシを選ぶこと、日差しを遮るシェードなどを設置できること、なども考えておきたいポイントでしょう。

のんびりくつろげる「縁側」

和の雰囲気を感じさせる空間づくりも注目されていますが、縁側もそのひとつでしょう。

縁側とは?

和室の外側に面した側に設ける板敷のスペースのこと。主に建物内部に設けられるもので、外部に設けられるものは、濡れ縁と呼ばれることが多いようです。
飯田貴之建築設計事務所「城里の家」
南向きの庭に向けて設けられることが多い縁側は、部屋の延長や廊下として利用されたり、庭からの出入り口として用いられることも。家事作業や読書、近隣の方とのコミュニケーションの場など、多目的に使用することができるスペースです。和空間だけではく、洋の空間でも取り入れてもいいでしょう。濡れ縁とつなげてウッドデッキと同様の使い方をすることで、多目的に用いることができます。

庭空間のくつろぎのスペースとなる「テラス」

庭のスペースにくつろぎの場としてテラスを設けるプランも考えられます。

テラスとは?

土地の一部を盛り上げて、平らにしたスペース部分のことで、石やタイル、コンクリートなどを敷き詰めたプランが多くみられます。
シンプルにコンクリートを敷き、テラス屋根を設置して洗濯物干し場とするケースもみられますが、石やタイルなどを用いて心地よさを高めることで、多様な使い方ができるでしょう。ウッドデッキと同様に、くつろぎの場としたり、子供の遊び場やペットの居場所としても利用しても。ガーデニングを楽しむ空間としても適しています。リビングの掃き出し窓からつなげるケースが多くみられますが、居心地のよさを高めるために、パーゴラやオーニングなどを設置して、日差しを遮る工夫をしておくといいでしょう。

セカンドリビングや洗濯物干し場にもなる「サンルーム」

サンルームを設置して、内と外の中間的なスペースとするプランも考えられます。

サンルームとは?

一般的にガラスの屋根や壁、扉などを用いて、自然の光を多く取り入れたスペースのこと。スタイルやプランはさまざまですが、建物本体の部屋すべて、もしくは一部をサンルームにする場合と、建物つなげて外部に設けるケースがあります。日本の住まいでみられるプランは、エクステリアメーカーのサンルーム商品を建物外部に設置するスタイル。リフォームで取り入れるケースも多いようです。
若林秀典建築設計事務所「米原の家」
サンルームのメリットは、太陽光を取り入れ明るい空間が実現すること、つながる部屋に広がりが生まれること、子供の遊び場やペットの居場所としても利用でき、天気や花粉などを気にせずに洗濯物を干すことができること、などが挙げられます。

プランニングする際には、設ける目的や建物本体との動線、広さや開口部のつくりなどを検討すること。ガラス面が多いだけに、夏の暑さ対策などにも配慮が必要です。メーカー商品は、豊富なラインアップがそろっているので、さまざまなプランが可能。ショールームで実物を確認し、空間のボリューム感や扉などの操作性などをチェックすることも大切なポイントです。

多様なプランが考えられる「ベランダ・バルコニー」

厳しい敷地条件の場合、庭を確保することが難しい場合もあるかもしれませんが、ベランダやバルコニーを設けることで、開放的な暮らしは実現できます。

ベランダ・バルコニーとは?

一般的にベランダとは、外に張り出した屋根のあるスペースのことで、形状や広さなどにもよりますが、雨の日でも過ごすことが可能です。

一方、バルコニーは、屋根のない開放的なスペースのことで、外とのつながりをより楽しむことができるでしょう。通常のバルコニーは、建物本体から外側にせり出して設置されているものを指しますが、建物の内側に入りこんでいるプランの場合は、インナーバルコニーとも呼ばれています。
ベランダやバルコニーの使い方として、最近多くみられるのが、お茶を飲んだり、読書を楽しむなど、もうひとつのリビングのようなくつろぎのスペースとしての活用です。特に、2階にLDKを配した住まいでは、リビングやダイニングと一体化させることで、多様な使い方が可能でしょう。

プランニングの際には、使用する目的や方法など検討し、住まい全体で検討することが大切です。せっかく設けても、道路や隣家が接近していたり、日当たりが悪ければ、くつろぎの場としては使いにくくなってしまうケースも。屋内空間からのつながりや動線はもとより、周辺環境などにも十分に配慮したいものです。プランニングにもよりますが、建物内部に入り込むインナーバルコニーであれば、プライバシーを確保しやすいでしょう。

また、ベランダやバルコニーへ続く、窓は広々と開け放つことができるタイプとしたり、室内の床と段差を抑えたり、内と外に用いる床材に統一感を持たせれば、より広がりのある空間となります。夜間にも利用するのであれば、照明器具もプランニングしておくと便利でしょう。
内と外をつなぐプランはさまざまですが、どのようなプランを取り入れるとしても、敷地全体、住まい全体で検討することは重要なポイント。それぞれの広さや室内外の動線、素材選びなどには注意が必要ですし、外観にも影響を与えるケースもあるのでデザイン性も十分に配慮したいものです。
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岩間光佐子さん

ハウスメーカーでのインテリア設計を経て、住宅情報誌編集部に。編集長として、リフォーム誌などの創刊に携わった後、フリーエディター&ライターとして独立。住宅設備機器を中心として、家づくり情報を発信中。二級建築士、インテリアコーディネーター

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