2020/02/28更新4like81707view

著者:佐藤ゆうか

上棟式はやるべき?しないと失礼?施工会社のホンネと当日の流れ・費用・準備物

この記事を書いた人

佐藤ゆうかさん

2級建築士。
工業高校卒業後、中小規模の建設会社に勤務。
木造住宅を中心に新築やリフォームの設計に携る。
現在は3児の育児を中心に在宅ワークに励み、いつか現役復帰を夢見ながら建設業界にしがみつく日々。

注文住宅が着工し、基礎工事が無事に済むと行われることになるのが上棟式(棟上げ式)です。順序としては、地鎮祭の次に行われる家づくりの行事になるのですが、多くの施主はこの上棟式をやるか?やらないか?を検討することになります。地鎮祭も上棟式も両方やる場合が一般的ではありますが、もちろんどちらも行わないという選択肢が選ばれる場合もあり、やる・やらないは施主の事情によって異なります。

この記事では、とある中小建設会社の設計者として多くの新築工事に携った私の経験から、そもそも上棟式とは何なのかということから、一般的な上棟式の流れ、上棟式をやった場合とやらない場合に対する施工側の気になるホンネをお伝えします。

▽ 目次 (クリックでスクロールします)

そもそも上棟式とは何なのか?

上棟式とは新築の際、棟上げのタイミングで行われる神道の祭祀のことを言います。

棟上げや建前とも呼ばれ、工事の安全と家族の幸せ、住まいが無事であることを願うことを目的としています。

棟上げのタイミングとは、柱、梁、棟が建ったタイミングのことを言います。神道の祭祀ではありますが、住宅の場合、神主を呼んで行うことは少なくなりました。

近年の上棟式は略式化し、住宅の骨組み(軸組み)を建て上げる日の作業が終わる時間帯に、大工の棟梁や鳶の頭、住宅会社の関係者が中心となって集まり、施主が工事に関わる人達へのねぎらいを伝え、工事の安全を願うことを目的とすることが一般的となりました。

上棟式の一般的な流れとは?

一般的に住宅の新築工事で行われる、略式の上棟式の一日の流れをお伝えします。

① 必要に応じて、午前10時にお茶出し
② 必要に応じて、正午に、昼食をその日現場に入る職人の人数分差し入れ(平均10名)

※必要に応じてと前置きしたのは、昔の上棟式ではこのお茶出しと昼食の差し入れは一般的でしたが、近年ではとても丁寧な行為となるためです。そのため、①と②については無理の無い範囲で行えばOKということで、無理な場合は行わなくても全く問題はありません。

③ 棟上げが済んだタイミングで、棟梁が幣串を棟か家の一番高い位置に固定する(午後3時くらい)
④ 祭壇と宴席の準備
⑤ 午後3~5時頃作業終了後、上棟式開始
⑥ 棟梁が祭壇をお祓いし、施主から順番に全員で祭壇二礼二拍手一礼を行う
⑦ 施主と家族の代表者で建物の四方に酒、塩、米をまく
⑧ 2階から建物の四方に向かって餅を投げる(投げ餅を行う場合)
⑨ 施主の挨拶(工事のねぎらいや安全を願う旨を伝えることが一般的)
⑩ 乾杯
⑪ 歓談
⑫ 施主からご祝儀を渡す
⑬ 手締め
⑭ 引き出物を渡す

近年の上棟式で一番多いのは、③から始まり、餅投げを行わない形式のものです。

飲酒運転に対する取締りも厳しいため、歓談も長くて30分ほどで手締めとなり、全体で1時間程度で終わることが一般的です。

施主が準備するもの

施主が行う準備としては以下のものが挙げられます。

・お清め用品 合計3000円程度
米(桝一杯程度)、神酒(1升)、塩(桝一杯程度)

・お供えもの 合計10000円程度
尾頭付きの鯛等の魚、 海の幸3種程度(するめ、昆布、ワカメ等) 野菜3種程度(大根、人参、胡瓜、キャベツ、ナス等旬のもの)、果実3種程度

・宴会料理、お菓子、お茶 合計10000円程度
宴会と言っても略式の場合30分程度なので、お茶とお菓子程度で十分なことが多いです。季節に合った簡単な手料理(煮物やおつまみ等)があると話題性もあり、喜ばれます。

・祝儀 平均10万円程度
一般的には職人・建設会社関係者一律3千円~1万円、棟梁1~3万円、鳶頭・現場代理人・設計士5千~1万円程度となります。

予算に限りがある場合、出席人数を把握した後に合計金額を決めて割り振ると金額を決めやすいです。どうしても決めかねる場合は住宅会社に相談しましょう。

・引き出物 合計2万円程度
祝いのお酒、紅白餅か紅白饅頭、お赤飯をセットにして引き出物とするのが一般的です。上記のセットの場合、費用としては2000円程度ですが、銘菓とお茶のセットや、お酒とおつまみのセット等、予算1000円程度で用意しても、施主の人柄や個性が感じられて喜ばれます。

こちらも一人当たりにかけられる金額を決めておくと用意しやすいです。

上棟式は絶対にやるものなの?

上棟式は絶対にやるものではありません。

平均で15万~30万円の金額と時間が掛かることですから、やる・やらないは施主が現在の経済状況や心理状況、予定の空き具合から判断して決断するべきで、地域の慣習に囚われる必要は全くないと言い切れます。

上棟式をやらないと工事で手抜きをされるのではないか、嫌な印象を持たれるのではないか……という心配から上棟式をやる、やらないという決断を悩まれることもあると思います。

その場合は、心配ありません。

家づくりに関わる人達はプロですから、上棟式をやる施主とやらない施主で仕事の出来が変わるということは全くありませんし、上棟式をやらないというだけで嫌な印象を持つこともありません。

ですから、施主とその家族が納得の行くかたちで家づくりを進められることを最優先に考えて、決断ができるといいですね。

上棟式をやらない場合の施工側の気になるホンネとは?

上棟式をやる、やらないの判断は施主次第ということをお伝えしましたが、まだまだやるという選択肢を選ばれる施主が多いのが現状です。

その中で、やらないという選択肢を選ばれる機会も増えていますが、施工側のホンネとしては、前にお伝えしたように、その場合でも悪い印象を受けることは全くありません。

施工側としては、上棟式は施主から改めて感謝を伝えてもらえる場という認識があります。もちろん感謝を伝えられて嬉しくない人はいませんし、ますます頑張ろうという気持ちになることは間違いありません。ご祝儀ももらえればお小遣いや生活費になりますし、嬉しいものです。

上棟式を行う棟上げの日は、工事の節目の日でもあり、家づくりの中で最も危険を伴う作業を行う日でもあります。もしも、上棟式にお金を掛けられないために上棟式をやらないという選択肢を検討している場合は、作業が終わるタイミングを見計らって現場の様子を見に行くだけでも、職人にはねぎらいの気持ちが伝わるものです。

仕事の様子を施主に見てもらうのは、家づくりを仕事とする人たちにとってとても嬉しいことだからです。

施工側のホンネとしては、可能であれば上棟式は行わなくても上棟の日には現場を少しでも見に来てもらえれば嬉しいというのが正直なところです。
上棟式は平日に行われることが多いので、施主の都合がつきにくいことで断念されることもあります。多忙を極める現代の施主は、工事中も現場に足を運ぶ機会が作れず、現場が休みの日にしか足を運べず、職人と顔を合わせる機会が全く無いということも多くなっています。

それでも職人達はプロなので、全く問題なく家づくりは進むものですが、仕事の様子を施主に見に来てもらえるとますます仕事に対する士気が上がり、現場にも良い緊張感が生まれることは間違いありません。

一生に一回の家づくりですから、忙しい合間でも自分達が住む家づくりの現場と、その家づくりに携わる人たちの様子を見に行ける時間が作れるといいですね。

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