2020/01/25更新3like27137view

著者:水沼 均

平屋の魅力とは?間取りや天井高が自由に作れる魅力を解明

この記事を書いた人

水沼 均さん

建築設計の学校で長年教師を務め、大勢の生徒さんと接してまいりました。年齢、経歴、そして住まいへの思いも大変多様で、他では得られない貴重な経験ができました。その経験を生かして、豊かな住まいづくりに役立つような記事をたくさん書いていきたいと思います。

平屋はかつて庶民が暮らす普通の家でしたが、現代ではあこがれの存在になりました。新築はもとより、築数十年の平屋のリフォームやリノベーションもさかんにされています。ここでは、平屋の住まいならではの魅力の数々をご紹介したいと思います。

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▽ 目次 (クリックでスクロールします)

平屋の魅力とは?

平屋の魅力は、一言で言うと自由さにあります。上階がないため、いろいろな意味でとても自由度が高いんですね。2階建てや3階建てではなかなかできないような住まいが、平屋でなら作れるのです。

自由な間取り

2階建てや3階建ての住まいでは、構造的な理由から上下階で柱や壁の位置をある程度揃える必要があります。また階段の位置も考慮して間取りを考える必要があります。

しかし平屋には上階がないので、これらを考慮する心配はありません。のびのびと自由な間取りを作ることができるのです。

もちろん庭も好きな場所に配置できます。下の写真の住まいは、細長い庭を住まいの中に自在にめぐらせた大変個性的な間取りになっています。
また下の写真では部屋の一部を斜めに配置しています。結果、独特の楽しい遠近感が生まれています。

こうした自由で大胆な間取りが作れるのも、平屋ならではの特徴と言えます。
森清敏/川村奈津子「成瀬の家」

自由な外観

平屋は全高が低いため、法律の高さ制限の影響を受けることがほとんどありません。したがって屋根の形状は自由に伸び伸びと決めることができます。

また2階建てでは、屋根形状はとかく2階の間取りの形に左右されがちですが、平屋では主階の間取りの形をそのまま屋根の形状に表現することができます。

そんな利点があり、設計者は平屋の外観デザインにはとても力を注ぎます。

下の写真の住まいでは、リビングとダイニングそして寝室が、中庭を挟んで向かい合っています。そしてその様子は屋根形状にストレートに表現されています。そのため、この住まいの外観の特徴と間取りの特徴がピタリと一致する、明快な魅力が生まれています。
そして下の例では部屋ごとに1つの屋根を与えて、まるで何軒かの家が建ち並んでいるかのような楽しい外観を演出しています。自分の部屋や家族の部屋がどこにあるか、遠くからでもすぐにわかる楽しい住まいです!

自由な天井

平屋は屋根の高さに自由度があるので、2階建てに比べて天井をうんと高くすることができます。

下の写真の住まいでは、リビングの天井高はおそらく4メートル近くあるのではないでしょうか。もともととても広いリビングですが、高い天井がこの広さをさらに強調しています。まるでリゾートホテルのラウンジのようですね!
スタジオパートスリー「上富田町平屋の家 H邸」
天井の形は平らなばかりでなく、下の写真のように斜めにすることも簡単にできます。上階があると天井はどうしても平らに設けざるを得ないのですが、平屋だと天井の形にも大きな自由度が生まれるのです。

大きなテラス窓で地面を身近に感じつつ、高い斜め天井で頭上にも広がりが得られるのは、平屋の住まいならではのぜいたくな魅力です。

自由な床の高さ

屋根の高さに自由度があると、床のデザインもまた自由度が高まります。単にフラットなだけでなく、床に高低差をつけるスキップフロアの演出などがとてもやりやすくなるのです。

下の写真では、高い斜め天井の下で床の高さが多彩に変化しています。土間と床の間に思い切った段差を設け、奥にはロフト状のスペースに上って行く階段も見えます。高さに自由度があると、こんなに魅力的な演出も可能になるんですね。

ロフトも作れます

そして高い天井・斜め天井と言えば、やはりロフトを設けたくなりますよね。もちろん平屋でも設けることができます!

2階建ての住まいには平屋のような自由度はありませんが、そのかわり吹き抜けや変化に富んだ階段室といった、複層の住まいならではの魅力があります。

ならば、この魅力をなんとか平屋でも味わいたいですよね。そんなときにロフトは強力な味方になってくれます。高い天井を利用して、ちょっとした半階上のスペースを作り出すことができるのです。

下の写真では、広々とした平屋の住まいにささやかなロフトが設けられています。横方向の広がりに加えて縦の広がりももたらす、大変魅力的なロフトです!
奥和田 健「蜂伏の平屋」

豊かな光

平屋は頭上が開放されているので、高窓やトップライトなどの開口部も自在に設けることができます。

下の写真の住まいでは斜め天井を活用して、高い位置に大きな窓を設けています。奥に見える庭は決して広くはありませんが、高い天井と大きな開口部のおかげで、大変豊かな光を室内にもたらしています。
ガーデナー建築家/勝田無一「プライバシーテラスの「ネコと一緒に住む家」」
また下の写真ではダイニングルームに十分な光と風を送り込むために、屋根の高さをずらして設け、すき間を高窓として活用しています。これも平屋だからこそ可能なしつらえと言えます。
道家洋「『黒一』素材感のある男前な平屋住宅」
そして下の写真では、リビングダイニングの頭上に細長いトップライトを設けています。大きなテラス窓から見える庭の景色と相まって、非常に開放感のある住まいになりました。

平屋のリフォーム・リノベーションと増築

平屋の住まいは、新築と同じくらい数多くのリフォーム・リノベーションがなされています。築数十年の中古平屋住宅に全面的なリノベーションを施した例は、SUVACOでも数多く見かけることができます。

下の写真もそんな1軒ですが、まるで新築のように自由な造形のすてきな住まいです。そして、むき出しで残された柱と梁がかつての広縁の存在を思い起こさせる、ノスタルジックな住まいでもあります。
並木秀浩「saisou house」
また、平屋は敷地にゆとりがあれば簡単に増築ができる利点がありますが、2階を新たに載せるのは構造的に難しい場合があるので注意を要します。

もし後に2階を設けたい場合には、新築時に天井を高くしておいて、あとからそこに2階室を増築できるようにするという方法もあります。
平屋には高い自由度があることがわかりました。そしてそれらは上階がないことでゆとりが生まれた結果であることもわかりました。

合理性の高い2階建て・3階建てに対して、自由度の高い平屋。あなたはどちらの住まいがお好きですか?

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