前回書いた玄関は、自分にとっての『リセットと癒し』の場所。そして、お客様をお迎えする「おもてなしの場」でもあります。
では、廊下や階段はどんな場所か? 今回はその2カ所について、建築で要望したことと、わが家の暮らしの中での役割を書いていきます。
▽ 目次 (クリックでスクロールします)
廊下と階段で建築に求めたこと
機能性のある壁
階段下スペースの活用
鉄製の手摺り
キッチンまでの楽な動線
わが家にとって「廊下」や「階段」はどんな役割があるのか?
廊下と階段の植物と灯り
廊下と階段で建築に求めたこと
2階が生活スペースのわが家。玄関を入り廊下を通って、階段を上がった先にLDKがあります。ですから、廊下と階段は毎日必ず何度も通る場所です。
僕が廊下や階段について『建築』に求めたことは、
●ただの動線とならないこと
●移動のしやすさ
の2点です。
「ただの動線にしない」については、素材やスペースなどでアクセントをつけることで、普通の廊下ではなくなります。
でもあくまでアクセントなので、主張しすぎない程度に。やりすぎるとお金がかかりますよ。
「移動のしやすさ」については、2階がLDKという構造のデメリットを解消するアイデアが詰め込みました。それを考えてくれたのはもちろん、設計士さんです(笑)。
この2つを、実際の家づくりでどう具体化したかというと、
●機能性のある壁
●階段下スペースの活用
●鉄製の手摺り
●キッチンまでの楽な動線
の4つです。
では、1つづつ紹介しますね。
機能性のある壁
今ではよく目にしますが、僕が家を建てた当時(2013年)は黒板塗料が少しづつ流行り出した頃です。初めてそれを目にしたときは、率直に「遊び心があって面白い」と思いました。
ただ、チョークの粉を掃除することや、他の壁にも子供に落書きされるかもしれない……というデメリットを考えると抵抗があり、結局やめることに。
でもやはり、何か特別な「機能」を持った壁にしたい。
そこで、「ギャラリースペースになるような、飾れる壁をつくってほしい」と設計士さんに伝えました。
マグネットボードのような、磁石がくっつく壁です。
穴を開けずに気分で簡単に張り替え、模様替え、最高。
壁の横長の凹みをつけてあり、この部分にマグネットシートが埋め込まれています。
でも……実はコレ……失敗しました。塗料を塗ったら、磁力が足りなくなりました。何もはさんでない磁石ですら、落ちてしまいます(笑)。超強力な磁石でも試してみましたが、結果は一緒。
そしてさらなる悲劇も。
磁石は諦めて、フックを壁に刺して留めることにしたのですが、マグネットシートが邪魔して、壁の奥まで差し込めない……。
金槌を使ってほんの少し打ち込むことができましたが……かえって面倒なことになりました(笑)。
凹ませた壁は、雰囲気自体は気に入ってます。マグネットシートにそこまで強いこだわりではなかったので、直さずこのまま使用中。
階段下スペースの活用
あまり目に触れないような小さな場所にこそ、こだわりを。遊びを入れて小さな坪庭風のスペースに。
収納もつくれないくらいの小さなスペースなら、こういう使い道もありますよね。
鉄製の手摺り
これは、僕にとっては施工会社を決める基準だったほど、重要なポイントでした。
家の内装には木だけではなく他の素材も使いたいと思っていたこと、そして、甘くなりすぎずカッコいい雰囲気を出したいと思っていたので、アクセントとして使う素材は鉄が最適でした。
何もない階段より、アクセントとなるものがあると見て楽しめます。僕のささやかなこだわりです。
木と鉄の組み合わせは、無骨感が強くなりすぎず優しすぎず、ちょうど良い雰囲気があって、施工会社が用意してくれたこの手摺りにはとても満足してます。
キッチンまでの楽な動線
ガレージに車を停めたら、買い物した荷物はできるだけ楽に2FのLDKに運びたい。これが妻の希望でした。ほぼ毎日のことなので、大切なポイントですよね。
そこで、あえてキッチンだけは、2Fの他の部屋よりもやや低い位置に設計しました。階段自体の昇降段数を減らすためです。
キッチンの下はガレージになっています。ガレージは、居室のように下地を設けて床板を張る必要はありません。床下地がない分、ガレージの天井高は必然と低くできます。ですから、その真上にくるキッチンも、他の2階の部屋よりも地面により近く設計することができました。
また、玄関ホールを進んだ先の階段の手前に、1段の段差を設けてあります。
2Fへの階段の前に、ここで1段上っておくことで、階段自体の段数を1段減らすことができました。
設計士さんが考えてくれたこの2つのアイデアで、少ない段数で登りやすい階段となりました。
2階にリビングを検討中の方は、玄関からキッチンまでの距離や段差も頭に入れておいたほうが良いかもしれません。
わが家にとって「廊下」や「階段」はどんな役割があるのか?
「廊下」は当然ながら、部屋から違う場所へとつながる動線です。動線としての役割がある以上、通りやすいことが何より大切だと思ってます。
決して広い幅があるわけではないので、床に物を置くことはご法度。壁や階段下のスペースを使い、飾るだけです。
僕の理想としては、廊下の先の窓から漏れる光を感じられるような、静けさや落ち着きのある廊下をイメージしていました。その点では、飾りすぎ注意なマグネットボードを失敗したことも、運が良かったのかもしれません(笑)。
「階段」は、住まいのメインとなる2階へ登りながら、期待を膨らませる場所。
ここには手摺り以外、何もありません。手摺りが主役であり、脇役でもあります。
そして、ゴールの見えない階段先の視界。
友人が訪ねて来て、階段を上がり「わぁっ!!」と驚いてくれたときには、僕は心の中で「よっしゃ!!」と密かに叫んでます(笑)。
住人としてはもちろん、暮らしやすさこそ何よりも重要なので、登りやすいに越したことはありません。
妻の買い物しかり、僕が外から薪を運ぶときも。
優しい階段は縁の下の力持ちのような役割を担ってくれています。
「静寂さや期待」といった思いを込めた廊下と階段です。
建築に求めたものが失敗しながらも結果オーライとなるハプニングはありましたが、来客があることで(自分も)楽しめる工夫が詰まってます。
廊下と階段の植物と灯り
今回のテーマ「廊下」と「階段」のインテリアを少しご紹介します。
植物を育てるための採光条件や、観葉植物、枝物の定期的な水の交換が面倒なので、わが家の廊下や階段ではフェイクグリーンのみ使ってます。
できれば本物を使う方が良いとは思うのですが……めんどくさい……現実です(笑)。
灯りは、LED照明を使用して熱の心配がないものにしました。実際、息子が階段下の玉石で遊びだすこともあるので、気をつけていて良かったと思います。
ここの灯りは昼夜問わず点けてあり、日中は階段のスリットを目立たせるために、夜間は足元灯として役立ってます。
廊下も階段も、移動のしやすさが何より大切だと思います。「暮らしやすい家」の一つの条件かもしれません。
この2カ所は家づくりでつい後回しにしがちな場所ですが、お金をかけずほんの少しのアクセントを付けるだけで、面白い場所になります。ぜひ、小さなこだわりを一つ入れて自分が楽しめる場所にしてくださいね。
次回は、僕のこだわりの少ない場所「キッチン」について書こうと思います(笑)。
また読んでいただけるとうれしいです。